福井県 70代漁師より提供
「何か不思議な話を知らねぇかって?そんな話を聞きにこんなとこに来るなんてアンタも物好きだねぇ。あー、俺がまだ若かった頃だから40年ぐれえ前か?朝から船さ出して漁さ行ったんだけどな。網を引き揚げたら高値のモノから雑魚まで色んな魚がかかってたんだけどよ。そん中に頭が三つあるカラスが引っかかってたのよ。しかもまだ生きててな、ガラガラ鳴きながら他の魚を喰ってんのよ。こりゃあ気味悪いってなってな、殺すのも何か祟られそうだって話になってよ、放ったらかして捕まえた魚を生簀に離して間にどっか飛んでったようでよ。港に戻ってから漁師仲間にこんな事があったなんて話して酒の肴にしてたんだけどな、今度は別の漁師の網に引っ掛かってたなんて言うもんだからよ、こりゃただ事じゃねえって話になって年初めに祈祷してもらってる神社に相談したんだよ。そしたらよぉ、泡食った様子で詳しく教えろって言うもんだからよ、頭三つのカラスがあっちこっちの網に引っ掛かって気味悪いって話したらよ、明日自分も漁に行くから船さ乗せろって言うから俺の船乗せてったのよ。誰の網に引っ掛かるかなんて分かんねえだろって思ったんだけどよ、また俺の網にいたのよ。それを見つけたのと同時によ、足首掴んで振り回して気絶させたのよ。えれぇ事すんなぁって思って見てたんだけどよ、殺してはいねえようでグッタリとしてたのよ。そんでな、そんカラスどうすんのって聞いたらよ、知らねえ方が良い。また出るようだったらすぐに教えろって言うのよ。まあ、引き取ってくれるっつうならこっちとしてもありがてえけど、やっぱ気になるもんでよ。爺さんに聞いたわけよ。これこれ、こういうカラス知らねえかって。そしたらよ、あれは人の手に負えるもんじゃねえ。昔は有り難って食う奴もいたけど揃って頭おかしくなって、人しか食わなくなったなんて言うのよ。そんなんで一つの村が無くなりそうだって時によ、神社にお祓いを頼んだらおかしくなった人はもうどうしようもないから、カラスを全部捕まえて殺すしかないってなってな。漁師やら近くの人間が集まって何とか始末をつけたらしいのよ。そんなもんであの神社はそん時のカラスを飢えさせて死骸はお焚き上げしたらしいのよ。だから、俺たちがカラスを見つけたらとっ捕まえて神社の人に渡して引き取ってもらった訳よ。そん時を最後にカラスを見たっていう話も聞いてねえし、この辺りにゃもういねえんじゃねえかな?まあ、石川の方で人の死体が出てきたなんてテレビで言ってたからよ、そんカラス喰っちまった奴がまだいんじゃねえのかな」




