表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
迷宮管理者の掟  作者: 鶴燈
第四章 - ヴェルラートへ
39/47

ヴェルラートへ 第六節

 「……ええ、私も同じ考えでした」


 未だ光弾の雨が止まぬ中。なんとか合流を果たしたフラムは、最低限の説明だけで、そう賛同の意を示してくれた。


「では、私が斬り込み役でよろしいですか? 空中での機動も利きますし、ノルドさんなら相手が龍種であろうと、短時間の拘束ならお手の物でしょう」


「二人同時に仕掛けるつもりでいたが……単独の方がやりやすいか?」


 こちらの問いに、フラムが強く頷き返す。


「全力の一撃を叩き込むとなると、互いを巻き添えにする可能性もありますから……特に今は、咄嗟に障壁を出しても、十分な強度が得られるかは怪しいところですし」


 ……覚悟と決意に満ちた顔でそう諭されては、それを止める気も起きないというもの。危険な役割であることは、フラムとて承知の上に違いない。

 自分がするべきは、フラムの作戦を却下することではなく、斬り込み役を請け負う彼女の危険を、少しでも減らすことだ。


「……了解だ。なら、こっちは拘束に集中しよう。状況によっては、時間差での追撃も視野に入れる」


「お願いします。魔力の方は大丈夫そうですか? 私はまだ、手持ちの薬が二本ありますけど」


「……余裕があるわけじゃないが、大丈夫だ。消耗はフラムの方が激しいだろうしな」


 その言葉を聞いたフラムは苦笑いして、自身の切り札たる武器を一瞬だけ見遣った。

 ――右手に握られた剣の柄は、今は火の粉の一つも発さず沈黙している。


「しかし、まあ――あちらはよく飽きもせず、同じ戦法を続けますね」


 視線を上へと戻したフラムがそう言って、飛来した光弾をひらりと躱した。床に当たった光弾が、火花と共に白煙を巻き上げる。


「……理に適った戦法とは思うが、さすがに芸がないな」


 足元で魔力を弾けさせ、ほぼ垂直に跳躍する。……少し、魔力を加減しすぎたようだ。壁を蹴って追加の跳躍。

 ――煙の向こうに、龍の影を捉えた。光弾をひとつ弾いてから、こちらも相手の弾幕に負けじと、大量の氷柱を生成していく。


 それに気づいた白き龍が、忌々しそうに唸り声を上げ、光弾の狙いをこちらへと定めた。正確、かつ数の多い攻撃――それを、多量の魔力を費やした大跳躍で、なんとか回避する。

 さらに二度、三度と、細かな跳躍を繰り返す。動きを読まれないよう、なるべく複雑な軌道を描くように。

 そして同時に、生成した氷柱による反撃を仕掛ける。……この攻撃が命中するかどうかは重要ではないものの、氷柱の幾つかは、龍の翼や尻尾に当たったようだ。どのみち、傷はすぐに再生してしまうだろう――向こうにしてみれば、致命傷になり得ないなら回避する必要もないのだ。

 そうして飛ばした無数の氷柱は、純白の壁に着弾、固着する。――急激に魔力を消費した反動が、疲労感として身体に表れ始めたが、まだ終わりではない。

 もう一度光弾を避けながら、目標の位置へと移動する。避けきれなかった光弾が腕を、脚を焼くが、治療は後回しだ。


 ――壁に林立した氷柱が丁度、龍を挟んで反対側に。ここだ――氷の魔剣に魔力を纏わせ、前方に構えた。


「――凍れ」


 氷柱群から一斉に魔法が発動する。それぞれの氷柱と魔剣を繋ぐように氷が伸び、間にいる龍へと殺到――幾筋もの氷が、その体躯を包むように拘束した。


 ……これだけ大量の氷柱を使えば、いかに龍種といえど、数秒は動けないはず。

 ほぼ全ての魔力を使い切り、眩暈すらしてきそうな反動を受けて自由落下しつつも――すれ違うように空へと翔け昇る紅蓮の炎を、確かに見た。

 翼と四肢を氷に閉ざされた龍だが、その首から先は例外的に氷に覆われず、ゆえにフラムが仕掛ける炎の斬撃を阻むことはない。


「――お覚悟を」


 魔剣セラフの、業火の刃が怒涛の如く勢いを増し、白銀の龍の首へと振るわれた――。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ