【第88話】 別世界の記憶2
お早うございます。
投稿です。
《東の森は自由の森だ!そのような横暴、王都の騎士団、勇者が許さん!》
「テニ、これ未来?違うよね?魔王ヲダなんて聞いたことないし、でもお母さんは、お母さんだよ!」
息遣いまで感じるぞ!この幻、リアルすぎる!あ、でも匂いはしない?
《ここは自由の森、誰のモノでもない!金やミスリルが欲しくなったか?魔昆虫が怖くて近づけなかったくせに!》
《金鉱やミスリルが見つかったそうだな?よこせ!》
「蛇族は何を言っているの?あれは私なの?お母さんも、タロもいる!これって、これから起こることなの?それとも、テニが見せている幻の魔法なの?あっ!?タ、タロが!」
蛇族に呑まれるタロ。
《タ、タロッ!》
トラ子さんとミケの悲鳴だ。何度見ても恐ろしい場面だ!
《奴隷か?死か?次はお前だ》
リーダーがミケを見つめる。
恐ろしい目だ。
「え!?やだ!誰かあのタロを助けて!お願いっ!タロをっ!テニ!」
《返答は?》
「あああっ!?私が!」
目の前で呑まれるミケ自身。
呑まれる自分を見て青ざめ、小刻みに震えるミケ。
俺が、見せているのか?
この魔力の流れ、止まらない!
こんなもの見せてどうしろと!
ドゲシイイイイイッ!
豪快に蛇人を蹴り上げるファーファ。
《ぐっげええええっ!》
タロを吐き出す蛇人。
「ファーさん!あ、テニが!あれ!?テニ、男の子だ!」
スパアアアンと分断されるリーダーの女蛇人。
傷口からどろり、と吐き出されるミケ。
《トラ子しゃん!手当を!きょい!ファーファ!》
ドゲシイイイイイッ!
「うわっ!?」
え!?
け、蹴られた!?
「……ファーファ?」
「シッカリシロッ!」
きょろきょろと辺りを見回す。
どこだここ?
あ、今いる世界だ。
「お姉ちゃん!ミケお姉ちゃん!?」
タロくんの声が響く。
「あ?」
ぱちぱちと瞬きするミケ。
ミケは私を抱きしめ震えている。私もだけど。
「お姉ちゃん、どうしたの!?お顔の色が……気分悪いの!?」
タロは泣き出した。
「お姉ちゃん!?大丈夫なの!?」
ああ、獣人族は不死ともいわれているように、丈夫で頑丈なのだ。
その獣人族が不調を訴えるなんて、稀なのだ。
ミケはゆっくりと私を手放し、タロくんを抱きしめる。
「ど、どうしたの?お姉ちゃん?」
「う、う、ううううっ……」
あまりの異常さに、慎重になるタロくん。
「ぐ」
「ぐ?」
「ぐうわああああああああん!タロォ無事だったんだぁああああああ」
「え?え?お、お姉ちゃん!?」
すっ、と私に近寄るサキュバス・シーシナさん。
「テニお姉さま、あなたは何者なのです?」
「え?」
もしかして、シーシナさんも見た!?
「見たの?」
「ええ、見ました」
「ガロウザは?」
「いえ、私は見ていません、幻視できるほど魔力が高くないので。キュウガさまが見せるのであれば見れますが」
「テニお姉さま、あの風景は市の風景です、近々市があります、警戒が必要ですね」
「シ、シーシナ、どういうことなの?」
ミケがタロくんを抱きしめながら目を向ける。
タロくんはじっとして心配そうにミケを見ている。
「ミケちゃん、あれは、テニお姉さまが見せた幻なんかじゃない、あれは実際に起こったことだよ」
シーシナさんの雰囲気が変わった。
次回サブタイトルは 【第89話】 別世界の記憶3 です。




