【第87話】 別世界の記憶1
お早うございます。
投稿です。
「!?」
え?それって!?
「俺、食べられて、溶けるんだ、そんな夢。夢だけど凄くリアルで怖いんだ。父ちゃんは予知夢かもしれないって」
「ミケお姉ちゃんも、そうなの?」
あ、こ、声が震える!
そんな様子をじっと聞いている、シーシナさんとガロウザ。
「ええ、私も食べられるんだ……でも助けられて……」
これはどういうことだ?
一週目の記憶か!?それがミケとタロくんにも!?
助けられる?誰に?
たしか、一週目ではファーファが蹴って助けたはず!
「……誰に?」
「タロは……弟に」
え?弟!?
「俺、弟はいないんだけど、弟みたいなんだ。そいつが助けてくれて、いつも目が覚めるんだ。夢の中でしか会えない可愛い弟……」
……いったい?どういうことだ!?
あの時、助けたのはファーファだったはず!
ファーファが蹴り飛ばしたはずだけど!?
その記憶、間違いだよ!
「ミケは?」
「……笑うなよ?私はとても高貴な、魔力が眩しく輝いている……その……王子様みたいな男の人に助けられるんだ」
ぶっ、俺は思わず噴き出した。
マジっすか!?
王断鳳道でぶった切ったのは俺だけど!王子様!?
でも、一週目の記憶が夢として残っている!?
「わ、笑うなって言っただろうっ!ひ、ひどいよ!テニッ!テニ嫌いっ!」
「ちょっ、ちょっと待っ……!」
「テニサマ、ヒドイ、笑ッタラダメ!」
「そ、それはそうだけど!俺?王子様ぁ!?ファーファだって助けたじゃん!」
物凄い速さで走り出すミケ。
さすが、獣人族!足、速っ!
だけど、私からは逃げられないよ!
ふっ、とジャンプ・アップで先回り!
「え!?テ、テニ!?」
「あ、まず!」
ドカン!と私にぶつかるミケ。
「「きゃっ!」」
弾き飛ばされようとするが、私はミケにしがみついた。
「待って!お話聞いて!」
とは言うものの、どう話せばいいんだ?
すっ、と魔力が動いた。
うう、蛇族に食べられた時には動かなかったのに!
「え?あ!テ、テニ!?」
《おい!蛇人だ!子供達を逃がせ!呑まれるぞ!》
「テ、テニ!なにこれ!?ま、幻!?」
あ、魔力が!?周囲が!?
《ミケちゃん、トラ子さん!みんなを呼んでくる!》
「シ、シーシナだ!シーシナが見える!」
《お父さん!早く帰ってきて!》
「なにこれ?テニ!これは?説明して!周りが!」
再現される一週目の事象。
私にしがみつくミケ。
私もミケにしがみついた!だってこえーもん!
《早く抜け!毒矢だ!》
目の前に横たわる私。
かなり衝撃的な映像だ。いや、映像というより、そこにいる?
《ぬ、抜けないよ!どうしよう!?》
《血が……テニッ!うわっ!?》
うわあぁ、これ痛そう……いや、実際すごく痛かったけどさ。
ああ、私って、あまり……いや全然変わっていないよ!
《テニッ!テニ……うわーん》
《つよい子だよ、普通なら死んでいる、心臓まで矢が……しっかりおし!気を強く持つんだよ!》
《……ひゃい》
「テ、テニ……大丈夫なの?」
《何してんだい!早く解毒草を!》
《今より、この東の森は、西の魔王ヲダさまの領地となった、領民よ!ミスリルと金を献上せよ!》
「テニ、魔王ヲダ?そんな魔王いないよ!?」
どう説明する?
次回サブタイトルは 【第88話】 別世界の記憶2 です。




