【第79話】 バンさんに叱られる
お早うございます。
投稿です。
「無意識に回復、それでこその魔王なのだが、この者!修行不足じゃ!皆に心配させおって!わが娘の涙、安くないぞ!」
(ただただ、ごめんなさいです)
「見よ、この眷属たちの姿を!本来ならば、これで自由だと逃げ出す者達が大半だ!」
逃げ出す?魔王のもとから?
「魔王はその魔力で眷属を縛る、だがこの者達は、お前を心より心配している、この姿、決して忘れるでないぞ!」
はい、決して忘れません、忘れるわけにはいきません。
刻みます。
前世でこんなに思われたことはない。
真逆の扱いは散々受けたが、この扱いは……戸惑いを覚える。
心配してくれるの?
見捨てられこの俺を?
ん?リイン?何か言いたそうだけど?
「サキュバス・バン?」
「なんだカムカナ?」
「カムカナは死んだ、俺は魔王ア・キュウガ・テニイさまの第二使徒リインだ。この状態で説教か?テニさまに聞こえているのか?」
「十分聞こえておる!この者、必ず復活する、安心しろ!シーシナ、陰を施してみろ!」
「……お母さま、私の魔力がテニお姉さまに届くでしょうか?」
届く?
「必ず届く、第一使徒ファーさんの魔力は十分魔王テニを包んで癒しているし、虫達の治療も十分有効だ、あとは魔力で動かすだけだ!この者、蛇族に飲まれたのは肉体だけではない!心も、気持ちも!情熱も飲まれて委縮しておる!自ら星雲のごとき魔力を止めておるのじゃ!この根性なしめ!」
ひいいいっ容赦なし!?
自分で止めているの?自覚ないよ!
「自覚?魔王としての自覚も無いようだが?わが娘の魔力、しかと受け取れ!」
うう、怒られてばかりだよ。
確か、魔法って基本プレゼントだっけ?
攻撃魔法は攻撃の意思を相手に渡す、ぶつける。
回復魔法は癒しの気持ちを、魔力に変えて相手に渡す。
(頭をぶつけた時みたいに、魔力で私を癒すのですか?膝枕?)
(魔王テニ、陰の癒しは肉体を通して、その内なる心、眠ってしまった星雲のごとき力を動かし引き出すのだ)
?
(初めて意中の者と心通わせ、手を握る、どんな気持ちだ?)
(え?いちゅう?好きな人と!?そ、それは、ドキドキのわくわくでは?)
(では次に抱擁し、唇を重ねる、どうだ?)
……ほうようってなんだろ?うう、国語の教科書にこんな言葉あったかな?
でもキスはわかるぞ、ちゅーだよね。
(想像もつかない気持ちでは?)たぶん。
経験ないからわかんないや。
(それを利用するのさ)
え!?
(その感情を利用するから、我々は魔族と言われている)
(!?)
(この感情を強く与え、快楽を植え付ける、虜にし、思うが儘に操る。悦楽、快楽を貪らせ弄ぶ。インキュバス、サキュバスの魔物たる所以)
(俺にそれを施すと?)
(そうだ、ただし、癒しとして留める、前にも述べたが、我ら森の魔族は貪婪が嫌いなのだ)
どんらんってなんだろう?あとでファーファ聞こう。
(それで癒されるの?)
(ああ、快楽による癒しだ。この陰の魔力は確実に肉体を喜ばせ回復させる)
(肉体?快楽だから聖女さまは嫌うの?)
(聖女の癒しは陽の癒し、心を癒してその影響で肉体を癒すのだ。我らは逆、肉体を癒して心を満足させる)
怪我が治るのなら、どっちでもいいような気もするけど?
大人の世界は難しいのかな?
!!!!!!!!!!
突然、胸の中央が熱くなった。
あっつう!
(ほう、熱く感じたか?それはわが娘、シーシナの思いだ)
次回サブタイトルは 【第80話】 一点を刺す です。




