【第68話】 静かに動き出す世界
こんばんは。
投稿です。
「テニ!大きなイノノ、仕留めてプレゼントしてあげる!」
おお、いいのかい?そんな約束して?うれしいけど。
「ふふっ、無理しないでね?」
とりあえず、笑顔サービスっと。
ぐりぐり。
「ファーファ、足、痛いです……私、何かした?」
「フンッ!」
ぐりぐり。
「ミ、ミケ?なんでミケまで!?」
「タロは、私の可愛い弟なんだ!」
「?」
何を言っているのだ?ミケは?
当り前じゃないか?
「タロ!お姉ちゃんにも、こいつより大きなイノノ、狩ってこいよな?」
びしっ、と私を指さすミケ。
「ええっ!?」
「おい、タロ!そこは『はい!お姉ちゃん!』だろっ!」
……なんかミケ、一週目と違う。
あれ?トラ子さん?ちょっと怒っている?
「ミケ!イノノを仕留めるのは難しんだ、無理をさせてはいけないよ!」
「……え、で、でも……だって……」
「タロが無理して怪我したらどうするんだい?いくら獣人族が頑丈だからって、痛くないわけじゃないんだよ!」
「……は、はいお母さん……」
うわぁ、でも不満そう。
「お?なんだこの匂い?うまそうな匂いだな?」
オーク達が野菜を山のように持ってきた。
台車に積まれた数々の野菜、どこかに畑があるのかしら?
ん?来た方向が、オークの里と逆?
「トラ子さん!今日の野菜だ!」
「これから里に向かうのかい?」
「ああ、昼にまた来る」
「テニ、オーク達に振舞っていいかい?」
トラ子さんが聞いてくる。
「え?たくさんどうぞ!第四使……シーシナさん!お願い!」
「はい、テニお姉さま!ほれ、これで最後だ!心して食べなっ!」
あれ?言葉使いが!?
このオーク達、シーシナさんの知り合いか?
「え?シーシナ?お前、狼亭で何してんだ?」
「ひっひっ、ルーカス・マーカス、追い出されたのか?お前の乳はデカいが、尻が小さいからなぁ」
うわぁ、このオーク、セクハラオークだ!
前の世界だったら、批判殺到では?
「う、うるさいなぁ!さっさと食べな!このエロオーク!」
もぐもぐ。
「!!!!!!!!!!」
「こ、これは!?」
あ、オーク達、固まったぞ?
「美味しいでしょう?わが主、魔王ア・キュウガ・テニイさまの振舞だよ!感謝してね!」
「……これは、確かに特別な肉だな、こんな肉、いったいどこで!?」
「凄い!こんな肉、食ったことないぞ!回復薬?再生薬クラスじゃないのか?おい、見ろよ!古傷が消えていくぞ!」
「へへっ、凄いでしょう?感謝してね!」
「肉は本物だな、なら、シーシナ、魔王の名前は控えろ」
なんで?
「なんで?」
「村の畑で、勇者パーティーに出くわした」
!!!!!!
「この森を調査に来ている」
シーシナさんの顔つきが変わる。
「毒蟲魔王カムカナさまの消失、邪神さまのオークの里襲撃、森の地形も変わっている」
勇者さま御一行か……まずいかな?
……バイトとかしている暇、ないとか?
「ボウロウロ騎士団も消えたと言うし、他にも魔王が現れたとなると、近衛騎士団や聖騎士団が動くかもしれん、自称魔王でも討伐対象になるぞ」
自称?……いや、本人ですって。
次回サブタイトルは 【第69話】 それでも日常、これが日常 です。




