【第58話】 私の名前、再び!
お早うございます。
投稿です。
「それは……人狼は約束を守る生き物だから。狼は裏切らない」
「!」
黒猫の目がまん丸になる。
昔、街の図書館で読んだ本。
狼について詳しく書いてあった。
その狼の気高い心を持った人狼が、活躍するお話し。
目の前のタロも狼だ。
きっと気高い心を持っているに違いない!
今はまだ、眠っているだけだ!
「私、体罰キライなんだ」
そう言って私は、じんわりとひのきの杖+3を握り締める。
「言っても聞かない、どうする?話聞かないヤツ、多いぜ?」
さて、何と答えようか?
ミケはさらに言葉を綴った。
「特に力あるモノは自分勝手で、話なんて聞かないよ。ならば、そいつより大きな力でねじ伏せ、言うこを聞かせるしかない、どうだ?」
この時、勝手に私の口が動いた。
「聞くまで……封印する」
その声はとても大人びていて、明らかに私の声ではなかった。
「!?……お、お前、こえーなー?出来るのかよ封印」
「さあ?」
「……封印は無理だろう?そんな術技、精霊クラスだ。でもお前はタロを黙らせ、約束させた。それも一番良い方法で」
「一番良い方法?」
「そうさ、タロ、ちゃんと分かって返事した。これはいいことだ、私だって可愛い弟、殴りたくない」
そう言って右手を差し伸べた。
右手とは言っても、ネコの右前足である。
「?」
「倒れているのに、悪口言って悪かった。助けないといけなかったのに。ごめんよ」
あ、気まずそうなお顔だ。
「仲直りの握手?」
「そうだ」
ミケの大きなネコの手を、私は小さな手で掴んだ。
凄い感動が私の右手を包む。
「に、肉球が……!」
「私はミケだ、お前、名前は?」
にぎにぎ。
うわぁ!にぎにぎしてくれているっ!
「……あ…あ……に、肉きゅう、が手に!」
「ア・キュウガ・テニィ?どこの種族の名前だ?呼びにくい!今からお前、テニ、な?」
「え?」
「お前の名前だよ!」
これ、前回と!
こうしてミケとは和解できた。
でもミケやタロとはうまくいったけど、周りの皆はどうしよう?
壊れた狼亭、ファーファに蹴られて怪我した者達。
謝ったけど、みんなファーファを許してくれたかな?
どうする?
このまま旅を続けていいのか?
ここは泣き虫弱虫スキルが発動する前に!勇気を出して!
「あの……トラ子さん」
「なんだい?テニ?」
「こ、こ、こ」
「こ?」
「ここで働かせて下さいっ!」
「は?」
「少しの間でいいのです!狼亭やトラ子さんのお家が直るまででも!」
「うちで働く?」
「はい、お客さん、沢山怪我させたし!お金はいりません、手伝わせて下さい!」
動きが止まるトラ子さん。
あ、考えている!って事は脈あり?
「うーん、一日三食、銅貨二枚だよ、それでいいかい?」
「はい!」
こうして私は狼亭で働くことになった。
短期だけど。
「テニサマ?」
「いや、ファーファ、何かしないといけないと思ってさ」
次回サブタイトルは 【第59話】 いきなり噛まれる です。




