【第56話】それ以上言ってはいけません!
お早うございます。
1月もあと1日です。
私を慰めようとしているのか?
よ、よく考えて口を開け!この馬鹿者!
正直すぎる者は死を招くぞ?
そんなこと言われて、聞かされて、嬉しいか!?
タロくんの後ろで、鬼のようなお顔になるミケ。
更に、般若のようなお顔になるトラ子さん。
「俺、ねーちゃん、かーちゃんで見慣れているから、気にしなくていいよ!」
お、お、お前は気にしないかもしれないがっ!周りは違うぞ!このアホタリ!
それ、絶対女の子に言ったら駄目なヤツ!もう喋るなっ!
シュッシュッ、と音が聞こえてきた。
あ、ファーファ、蹴りの練習し始めた?
がしっ、とタロくんの右肩を摑むミケ。
同じくメリメリっと左肩を掴むトラ子さん。
「なに?ねーちゃん?い、痛いよ?かーちゃん?」
家の扉が開いたかと思うと、もう3人の姿はなかった。
屋内より響き渡る凄まじい音声。
何かが壊れる破壊音!
何を言っているか詳細は分かるが、とても文字には出来ない!
家の壁が吹飛び、飛び出し駆け出す小さな狼。
「キャイン!キャン!キャイン!」
甲高い悲痛な叫び声!
その狼を追いかける巨大なトラとバカでかい黒猫!
「ノアアアアアアゴオオオオオッ!」
恐ろしいまでに大きい黒猫の怒声!あれはもはや黒豹か?
「ウゴウオオオオオオオオオオッ!」
トラ?いや未知の生物では?と思わせる恐ろしい咆哮!
「大穴狙い、狼が逃げ切る!銀貨一枚!」
え?寝ているオークが賭けを始めた!?
「はぁ?トラだよトラ!トラが狼を仕留める!銀貨二枚!」
「いやぁ猫だろ!あの黒猫動きがすげーぜ?銀貨二枚!」
「おいおいおいおい!なんだあのゴーレムの速さ!ゴーレムに金貨三枚!」
ファ、ファーファまで追いかけているっ!
「さすが俺達を蹴り飛ばしたゴーレム!俺もあいつに金貨三枚!」
「ばか、ンナ時は財布投げるんだよ!行けええっ!ゴーレム!俺は王都での稼ぎ、全部だ!」
やめなよ、賭け事!
カンを磨くのはいいけど、生活、壊れちゃうよ?一家離散だぜ?
そして見事にタロくんを捕まえたのはファーファだった。
「クウゥウウン……捕まっちゃった」
ガッチャンガチャンと、狼亭までタロくんを摘まんで持ってくるファーファ。
その後ろをのそりのそり、と力強く付いてくる二匹の猛獣。
「ゴーレムさん、足、速いね?俺を捕まえるなんて凄いや!」
「ソウデスカ?」
「うん、でもなんでかーちゃんとねーちゃん、怒って追いかけてきたんだろ?」
おいおい。
ん?ファーファ?何か考えている?
「タロサマ、女ノ人ノ胸トカ、オ尻トカ、皆ノ前デオ話シテハイケマセン」
「なんで?」
何でって……それは!
「恥ズカシイノデス」
「ええっ!?俺の自慢のかーちゃんとねーちゃんなんだぜ!ダメなの!?」
あ、なんかタロくんのこと、ちょっと分かったかも。
「グルルルルッ、ゴーレム!それ以上喋る前に、息子を渡してもらおうか?」
「ドウスル気デス?」
「躾は厳しくしなければ!ガキ共は野放しにしておくと、悪さを始めるからねぇ」
うわぁ獣人族、体罰系?
次回サブタイトルは 【第57話】 体罰 です。




