【第48話】膝枕
今日は。
投稿です。
ブーツ、ぴったりの靴を脱ぎ捨てた!
ぴったりの手袋も外した!
凄みのある黒いパンツ、ファンシー&フェミニンも素早く脱ぎ、小川に投げ込んだ!
腰紐を外し、王断鳳道を外し、ひのきの杖+3を大地に突き刺す!
ボロボロの白いワンピースを脱ぐ暇はないっ!
あと一歩で小川だ!
しかし間に合わなかった……。
「う……うわああああああああん」
「ナ、泣カナイデクダサイ!テニサマ!」
「だ、だって、だってファーファぁ……うううう、うわああああん、シクシク」
弱虫泣き虫弱スキルは盛大に発動した。
本日二回目のお漏らしである。
実は、ゾンビ兵やスケルトンを見た時点で、怖くてお漏らしをしていたのだ……。
(作者注:【第26話】オークの里、攻防戦!力の贈り物 の時点で)
それで、なるべく皆に近づかないように戦っていたのだ。
……そして戦い続ける度に怖くて、緊張し、更に襲ってくる尿意。
ハッキリ言うと、もはや後半戦は、戦いどころではなかったのだっ!
格好いいセリフもシーンも、全てぶち壊しになるかも知れないが、私はこの汚れた服装一式をごしごしと洗濯し、ジャンプ・アップでギルドのお風呂か、この小川に一秒でも速く行きたかったのだ!
しかし間に合わなかった!
結果!
「うわああああああああん」
頑張ったのに、なんで?酷いよ!
この怒りと悲しみ、何処にぶつければいいのだっ!
聖女クルルンさまやユキちゃんはどうしているの?我慢しているの?それとも戦いはなんともないの?
「テ、テニサマ、大丈夫デス、泣カナイデ!ファーファガ、オ体、洗ッテアゲマス!オ洗濯モシマス!綺麗ニシテアゲマスカラ!」
「ひいいいいん、ウグ、ウグ、ヒック、あ、あじがとうファーファ……」
それからファーファが目まぐるしく動き始めた。
「コノ服ヲ、タオルノ代ワリニシマスネ」
まず、服を洗い、それから私の身体を小川に浸け、コシコシと優しく洗ってくれた。髪先から爪先まで。
小川は深いところで膝くらいだろうか?それ程冷たくなかった。
髪を洗ってもらうのは、とても気持ちよく何だか眠くなってきた。
「ファーファ、眠い……」
ああ、この世界に来てから、戦い尽くめだ。
おかしいなぁ、魔王だから不眠不休のはずなのに!
ぷしゅーっと抜けていく魔力。
私はみるみる縮んでいき、元の姿に戻った。
「眠イ!?テニサマ、魔力ハ無尽蔵デスガ、身体ガ……」
「無理している?」
「ソノヨウデス……ファーファガモット早ク気ガツイテイレバ……」
ここまでは覚えていた。
ここから先は夢の中である。
どのくらい眠ったのだろう?
とても気持ちがいい。
こんなにゆっくりと眠ったこと、あっただろうか?
私にとって、眠りは恐怖でしかなかった。
親からの虐待、先に寝ると蹴られ、遅くまで起きていると、さっさと寝ろ!と殴られる。
いじめや虐待は呪いだろうか?いつまでも憑いて回る。
忘れたいのだが、いつまでも心に刺さっている。
悲しくて苦しい思い出だ。
パチリっと目が覚める。
ん?……とても気持ちいい目覚めである、珍しいな?
それは、誰かに包まれているような目覚めだった。
次回サブタイトルは 【第49話】暖かい膝枕 です。




