【第470話】 普段通りで
おはようございます。
投稿です。
雷の後、呆然とするメンバー。
「お、お母さま、今のは?大テニさま?」
「そのようだな」
バンさん、余裕?あ、でもトンビ座り?していないか?
余裕のバンさん以外、みんな固まっている。
え?飛龍夢魔も!?
(わ、我は雷に、驚いただけだっ!)
自然とバンさんに、皆の目が集まる。
「仲の良い者達との旅、結ばれるのはよくあることだ。特に我々の魔王の旅は、命懸けの旅、本能で子を残そうと、強く働いたのかもしれん」
「え?私が原因?」
「いや、今回は我々夢魔が集まりすぎた、我々の、夜の力の影響もある。まぁ、もともと梛はあの鬼を慕っていたようだし。そこにテニさまの……大テニさまの祝福だ」
お肉を焼いていたベリナの手が止まる。
「テニさまって傾くというか、粋というか、悪ノリ?なんだろう、あたい、うまく表現できないけど、皆を楽しませること、多いよな」
そうなの?
いや、それは『葦の君』では?
ん?だいたい楽しませるって何だよ!楽しませた覚えは、ないんですけど!
もしかして、ベリナ、梛達見て楽しんだの!?
もーっ!合流した時、どう接すればいいんだよ!
ここでケインくん登場。
……お顔が赤い……気がする。
「雷、びっくりしたね」
……ビックリしたのは、雷だけかしら?
「いい薬草、沢山採れたよ、あ、僕もお肉、いいかな?」
ここでケインくんと目が合った。
……何だろう?恥ずかしいぞ!
なぜかお互い、赤くなって目を逸らす。
それからは、先程のこと忘れるかのように、お肉の奪い合いが始まった!
まぁ、ファーファの熟成お肉、とんでもなく美味しいんだよねぇ。
一通り食べ終わると、バンさんが口を開いた。
「皆の者、よく聞け」
ジロリ、と周囲を見渡す。
「あの二人、朝帰りになると思うが、普段通り接するように!よいか?」
こくこく。
全員、激しく頷く。
「決してからかったり、笑ったり、怒ったりするな、よいな?」
しないよ、そんなこと!
それに怒るとは?
(魔王サマトノ旅、不謹慎ト捉エル者モイルカモ知レナイ)
不謹慎!?……思いもしなかったよ!
ん?視線?
飛龍夢魔?
「今後のことだが、我は鬼の治療が終わったら……」
「なっ!?ど、どこへ行くつもりだっ!?」
バンさん、反応速っ!
「……世界を見て回りたい、世界に触れたい……」
「ヨイデハナイカ?」
(ま、魔王!止めてくれないか!い、いや、ここは子供の自由に……くっ)
お母さんとしては複雑?
(大テニさま、聞こえるか!?我は泣きたいっ!どうしたらいい……)
え?
(一度は捨てた子供だ……だが……一日たりとて……忘れたことは……)
姿形は小っちゃな飛龍になったけど、バンさんにとっては……とんでもないハンカチを、惜しむこと無くプレゼントする優しい子供?
ポケットの中で、握り締めているのはハンカチだろうなぁ。
「魔王、おまえには感謝しているが、馴れ合うつもりはない」
「ふーん、お腹減ったら、いつでも帰っておいで、お肉、焼いてあげるよ」
「われは犬かっ!」
「分っていないなぁ」
「何をだ!?」
「夢魔飛龍、よく聞いてね?君の体の大半は私の魔力と呪符で、作られている」
「……!」
「あ!あと食べたファーファのお肉!」
「?」
「私が、落ちた賢者達や何者かに討たれたら、君もそこまでだよ」
「「「「「「!」」」」」
次回サブタイトルは 【第470話】 黒騎 の予定です。
投稿は遅れるかも知れません。