【第109話】 優しい手
お早うございます。
投稿です。
「!」
しっとりとした優しい手。
心臓が大きく一回ジャンプした。
どきっ、である。
そしてドキドキが行進し始めた!
や、やわやわのぷにぷにだっ!
せ、聖女さま!?に、肉球が付いているのでは?
あの、私、魔王なんですけど?
いいんですか?
触って、変な化学変化とか起きませんか?
思い出す先程のお姿。
聖女クルルンはお肌が凄い!
なんかキラキラしているのだ。
実際、魔力を使って聖女クルルンを見ると、金色の魔力が周囲に溢れ出て、巨大なLEDみたいに発光しているのだ。
いや、違うな、LEDは暖かくない冷たい光りだ。
聖女クルルンの光りはほんのりと暖かく、力強い白熱球?見たいな、なんとも言えない愛おしい光りだ。
ああ、でも白熱球は触ると火傷する、とても熱い光りでもある!
そしてその魔力が時々強く出て、肉眼でも見える!
魔力の量やその金色の質、凄いなぁ。
「おや、いつの間にそんなに仲良しに?」
「「えっ!?」」
狼亭に辿り着くと大盛りの焼きそばでトラ子さんが迎えたくれた。
慌てて手を放そうとすると、ぎゅっと握られた。
「!」
(あなたは本当に魔王ですか?魔力、質、量、確かに魔王級ですし、あの森も毒の森でした。ですが……)
(魔王ですよ、あなたを苦しめているその『上』とやらの組織、お望みとあらば消します)
「!」
「本気だよ、聖女クルルン。きっとそんな組織、他にも色々と皆を苦しめているはず」
リインを使って虫達に調べてもらえれば分かる。
まあ、面倒いから今はしないけど。
「個人のために組織を壊しますか?」
「壊す」
「それは個人のために世界を壊す、と同じですよ?」
「ファーファ、私は誰だ?」
ザッ、と跪き礼をとるファーファ。
「魔王ア・キュウガ・テニィサマ」
「ファーファを傷つける者、許さん!一緒に旅をした聖女クルルンを苦しめるモノ同じく許さん」
「一緒に旅?」
あ。
ぐりぐり。
「ファーファ、ぐりぐりしないでぇっ!」
「何喋っているんだい?冷えちまうよ!」
「あ!トラ子さん!いただきますっ!」
「食べよう!聖女クルルン!」
「「いただきますっ!」」
青空の下、ぱくぱくと聖女と二人で焼きそばを食す。
「ト、トラ子さま!こ、この焼きそばっ!?」
「どうだい?聖女さま?おいしいだろう!ファーさんの熟成肉だ!このお肉、価値が計り知れん!お値段付けようがないんだ!」
「お、おいしいですううっ!これ、体力や魔力が!いや、心が癒やされますっ!」
ん!?
聖女クルルン?
(美味しい、こんな美味しい焼きそば食べられるなんて!……でも、似たような味、お肉、何処かで食べているような?)
え?
(どこでだろう?朝からお肉ばかり食べていた?いつのことだろう?)
1周目の記憶が!?
ん?
ゾロゾロと集まってくる森の住人達。
「おい、いい匂いしないか?」
「いつもの匂いより、強いぞ?」
「今日の焼きそばはスペシャルか?」
「おい、あれ、聖女さまじゃね?」
「まさか、ここは狼亭だぞ?」
「いや、俺王都で一度見たことがある!」
「嘘はだめだぜ?聖女さまが焼きそば食べるか?不敬だぞ!」
あ、まずい?
次回サブタイトルは 【第110話】 バレたら困ります です。




