【第104話】 おいしい焼きそば
お早うございます。
投稿です。
「聞きましたね?」
……………………は?
「聞いてしまったのですね?」
……………………は?
いや、なんで聖女クルルンがここに?
「私の……誰にも聞かれたくない声を……」
いやそれならトラ子さんだって。
チラッ、と救いを求めるようにトラ子さんを見る。
ああっ!目えっ逸らしたぁ!
じゅううううううううう!
必要以上に油の音がっ!
「と、トラ子さん?」
「な、なんだい?聞こえないよ!?」
聞こえてるじゃん!
さっきまで普通に話していたじゃん!話していやじあああゃん!
がしっ!
腕を掴まれる私。
ぎぎぎっ、と首を回すと異様に目が光っている聖女サマが……だ、ダメでしょう?聖女サマがそんな怖いお顔、ね?
「魔王キュウガ……わ、私をどうするつもりです?こんなところに連れてきて……なんで知っているのです!」
?
連れてきたの?誰が?私が?
知っている?私は何を知っているのだ?
「あのう、聖女サマが、どうしてここに?」
「あなたが連れてきたのでしょう!」
涙目である。
「ついてきたのでは?」
……恐ろしい目で、睨まれた。
ああ、ジャンプ・アップに巻き込まれた?
「あ、あのう、それで私は……な、何を私は知っているのでしょう?」
ああ、言葉がおかしい!
「とぼけないで!」
「分かりませんよ!」
取敢えず抗議する。
「ここ『狼亭』は私が密かに『焼きそば』を取り寄せているトップシークレットのお店」
「え?なんで狼亭が?どうして秘密なんですか?」
「聖女はトイレも睡眠も不要で、食べ物は聖水のみ、らしいのです!」
・
・
・
ばっかじゃねーの?何だその設定!
「は?なんですか!?それ!」
え?今の聖女って前回と違ってそうなの?
「伝説ではそうなっているのです!」
「いや伝説だからって、それは無理でしょう?」
「伝説の聖女がそうですから、私にもそれを求められているのです!」
「誰が!?無理でしょう!?」
「無理です!死にます!」
「やめましょう!そんなこと!嘘はいつかばれます!それに馬鹿げています!それ、虚像、偶像でしょう!」
「そこは賛成、同意します!ですが表向きだけども、そう振舞ってくれと上からいわれているのです!」
「そんなヤツ!無視!人として扱っていないじゃないか!リッチナは騎士団筆頭だろう!あいつ何をしているんだ!」
前世の記憶が一瞬、蘇る。
俺は憤った。
「魔王キュウガ、あなたはお優しいのですね……うっ」
「うっ?」
「……ううううううっ……ひっうううう」
うわっ!?え?ちょっと!?泣き出した!
ち、ちょっと!聖女クルルン!
ど、どうしたら!?
パカッと開くファーファの頭。
そこからつまみ出されるハンカチーフ。
どこで仕入れた!?
ちょいちょい、と私に渡すファーファ。
え?直接ファーファが渡せばいいのに。
「あの……聖女さま、これファーファが」
「……ありがとう……ゴーレムさん、魔王キュウガ……」
次回サブタイトルは 【第105話】 二人で水浴び+1 の予定です。




