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定休日?


翌日


帯人は昨日触ったゲームが気になり、仕事に集中できずにいた。


担当者を間違えていたり、麦茶と間違えて紅茶を買っていたり、誤字脱字が目につくレベルで点在していたり、普段しないミスをしたりと、このままでは影響がありすぎて上司に怒られてしまうと判断し、半休を取る事にしたのだ。


そう、半休を取ってまでゲームをやりに来ていたのである。


…なのだが結局、半休を取る事にした帯人は上司にネチネチと愚痴を言われたのだった。


「皆が働いてるのに、当日に急遽私用で休めるような精神が俺も欲しいなぁ。ついでに仕事も持って帰ってやって来てくれる優秀な人材が欲しいなぁ」


そんなことを言われて「はい!喜んで!」なんて言うのは居酒屋の店員さんくらいなもんだ。


その店員さんもあくまでも仕事だから言ってるだけで心の底から言ってる人なんて少数だろう。


横目で見ていた良識のある同僚は、私用で有給を取る事は当然の権利と思っており、気にするなと送り出してくれた。


現場が崩壊する直前とかで無ければね…という枕詞は付いたが仕方がない事だろう。


多分立場が逆だったとしたら、俺も同じ事を言ったに違いない。


仮に1人が居ないと回らない会社だとしたら、それは人材を確保して居ない会社、または回らない程の業務形態にしている現場が悪いのである。


サボってばかりで仕事が出来ない人でない限り、業務量のコントロールはしっかりとするべきなのだ。


「まっ、文句言われようが、今はもう休みの時間だ。せっかく作った時間をわざわざ仕事の事を考えてムカムカしてもしょうがないし、切り替えて例のゲームやりに行きますか!」


帯人は気持ちを切り替えて、先日入ったゲーセンに向かった。





◆ーーーーー◆





居酒屋が並ぶ裏路地の片隅にある入り口が若干分かりにくいお店。


飲み会帰りに寄っただけなら、きっと忘れてしまう場所。


昨日入ったのは昼間だし、一日前に行った場所だし、細かいところは勘違いする事はあるかもしれないが流石に忘れない。


それが自分の好きなゲーセンであれば尚更だ。


目印に看板があったし、扉にはゲーセンで使われているポスターが貼ってあった。


「昨日も思ったけど、この見た目からゲーセンの入り口とは思わないよなぁ」


喫茶店のような扉。


猫のマークが入ったドアノブ。


ただし昨日は表に出ていた看板は無く、今日この道を通っていたら素通りしていたに違いない。


「あれ?昨日は下にポスター貼ってあったよな?」


扉の下を見ると昨日は貼ってあった気がしたポスターがなかった。


大手のゲームセンターは定休日は基本的に無いが、個人の店だと店主の裁量で定休日があったりする。


副業で経営していたり、趣味で経営していたりすると休みがあったりするのだ。


それ以外にも機器の入れ替えや工事などで休みになったりもする。


ただ、そういう場合は大抵扉などに休業日とか貼られてたりするものだが…。


「今日は看板出てないけど、時間的にはやってるよな?」


時間は13時を少し過ぎたくらい。


普通は開いている時間だが、どう見ても個人店だし、開いてない可能性があるのを忘れていた。


(まさか、あるのかわからないけどホームページやSNSでのみ告知していたとか?)


開店している保証はないけど、開いてなければ鍵かかって入れないだろうと思い扉に手をかけるとすんなり開いた。


「第一関門クリアと。コレで下の扉だけ鍵がかかって入れないとかだったら悲しいな」


地下に降りて二つ目の扉に手をかける。


すると難なく開き中に入る事ができた。


「よしよし、やってるな」


表に看板もなく昼間という事もあってか店内にはお客さんはおらず、店の奥にあるカウンターで今日もグラスを拭いてる店員さんが居るだけだった。


しかも、筐体の半分くらいしか電源が入ってない状態。


もしかしたら今日は定休日とか、臨時休業とかメンテナンス日とかそういう日の可能性があったかもしれない事に思い至った。


開いてない店に入って好き勝手にするのは人としてどうかと思うし、場合よっては店に怒られるだけじゃなくて不法侵入、不審者として警察に突き出されても仕方がない。


恐る恐るカウンター内にいる店員さんに声をかけてみた。


「すいません、勝手に入ってしまいましたが今日ってもしかして休みだったりしますか?」


ずっとグラスに目線を落としていた所に声をかけたせいか、視線をゆっくりあげてコチラを見た。


「………やってます」


渋めの声で答えてくれた。


バーテンダーのような服装も相まってかとても様になっている。


映画とかならお酒以外にも武器なども売ってくれそうだ。


ともあれ、開いているならゲームはできる。


店員にお礼を告げ、目的のゲームに向かった。


選択式の筐体だが、最初から昨日と同じゲームが表示されていた。


昨日と違うのはタイトルの下に<コンテニュー>が表示されていた。


「他の人が触ってなければ、昨日の続きができるって事になるが、この感じだと本当に自作ROMをアーケードにでも繋いでるのかな」


セーブ方法を推測しながら、プレイする為に100円を投入しスタートボタンを押す。


画面が切り替わり、昨日も見た村が表示された。


確かココ村だったかな。


「おはよう!昨日はゆっくり眠れたかしら?慣れない寝床だとうまく眠れないって聞いた事あるのだけど、大丈夫だったかな?」


確かメリルという名前の少女だったな。


「このゲームが気になって上手く寝れなかったけど、やる気は十分ある。」


なんて言ったって今日は大人の財力を使ってクリアまで進めるつもりだからな。


「あら、やっぱりそうだったのね。それじゃあ後で眠気覚ましにカカア持ってきてあげる」


カカア?ココアかコーヒーみたいな物かな?


「それと、ゲームって何?」


少女の声が耳元から聞こえた。

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