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自作ゲーム?

<YOU WIN>


呆気なく戦闘が終わってしまった。


戦闘が終わると再度暗転し、3Dダンジョン風な画面に切り替わった。


戦闘前と違うのは倒した猪が画面左側に横たわっていて、代わりに右側に少女が座り込んでいた。


少女はゆっくりと立ち上がり画面中央に立っていた。


『助けてくれてありがとう!私、ココ村のメリル!あなたのお名前を教えて!』


キャラに被るように、よくある名前入力画面が表示されていた。


プレイヤーの名前を決めるのはカード等でプレイデータを紐づけたり、スコア表示の際の英数字3文字だったりするものが大半だ。


中には英数字の羅列で貰えるアイテムや装備、またはステータスが違ったりする凝った作りをしているゲームもある。


「カード読み込みとか無い筐体だし、貰えるアイテムかステータスに変化あるヤツかな?もしくはただのプレイヤーネームを表示させるだけの可能性もあるが…。自作っぽいヤツだと作り手の意向次第だしなぁ。うーん…」


帯人はキャラメイクする際にはグラフィック等はデフォルトやセットされてる物を少しイジる程度にしか触らない。


ただし、名前や選択肢で貰えるアイテムやステータスが変わる物に対しては割と考え込んでしまうのであった。


「制限時間は…おっ、どこにも無いって事は無制限か?ならキャラ名はもう少し考えてもいいか」


画面にはどこにも制限時間が表示されておらず、プレイヤーが決めるまで進まないように見えた。


帯人は画面を見ているが名前を何にしようか意識を飛ばしていた為、画面の切り替わりに反応するのが少し遅れた。


『あの!お名前を…。あっ、まさかさっきの戦いで何処かお怪我を!?』


1:問題ない

2:怪我はしてない


名前の入力が完了してないのに画面が進んでいき、気がつけば選択肢が表示されていた。


今回は選択肢の周りに水道管のようなものがあり、ゆっくりとだが時間と共に徐々に減っているように見えた。


「さっきのも内部的にタイマーあったのか。まぁ、タイマー無いとゲーム止まったままで壊れたのかと思われるし、画面焼けとかするから当たり前か」


多分、時間制限いっぱい放置してもいずれかの選択肢が自動で選ばれるだろうと思ったが、どちらの選択肢も内容的にはほとんど同じ意味なので、帯人は自分の意思で選択した。


「問題ない」


「本当?それならよかった。魔猪に食べられそうになってて、生きて村に帰れないって思ってた所だったから本当に助かったわ、ありがとう!そうだ!お礼がしたいから村までは来て」


会話中何回かコロコロと表情が変わる少女はひまわりのような笑顔を咲かせていた。



◆ーーーーーーーーーー◆



暗転した後、画面は村の中に切り替わっていた。


どうやら先ほどの少女が言っていたココ村に移動した後のようだ。


目の前にはいかにも村長ですと言う感じの頭部が見えており左右には長髪の白髪が整っている杖を老人がいた。


『私はココ村の村長をしております、ガルムと申します。この度は魔猪からメリルを助けて頂きありがとうございます。見ての通り小さな村ですので、お望みの物をどうぞと差し上げる事は叶いませんが精一杯の感謝を込めまして、宿とお食事をご用意させて頂きました。是非受け取って頂けませんでしょうか』


<ガルムと名乗る村長の言う通り、この村はそこまで大きな村では無いようだ。

日も暮れて来た事だし、素直に受け取っておくとしよう。>


スッと背景が変わり、テーブルには食事とお酒と思われる瓶等が置かれていた。


どうやらお礼をしてくれる部屋に場面が変わったようで既に着席している状態であった。


<こうして、俺は食事とお酒を堪能した後、用意して貰った部屋のベットで休んだ>


【ここまでをセーブしますか?】

<はい>

<いいえ>


「ちょっと待てぃ!なんて言うか、分かっては居たけど作りが雑過ぎだろ!しかもアーケードゲームでセーブだぁ?カードも何も無しに?冗談だろ…?って言うか家庭用でも無いのにどうやって保存してるんだ??」


思わず大きな声で画面に向かって叫んでしまう帯人。


良い言い方をすればテンポが良く、悪く言えば雑な展開。


アーケードゲームで個人のプレイを記録するにはプレイヤーと紐付けるカードかスマホ等が必要であるが、目の前の筐体にはそれらを読み込むリーダーが何処にも見当たらない。


ましてや一台で複数のゲームが遊べる旧式タイプの筐体でどうやって管理するのだろうか。


業界の人やゲーセンで遊んだ事がある人ならば当然浮かぶ疑問である。


昔は進行具合を文字列で記憶しておくシステムを使っていた超有名な龍を倒す物語もあるがそれも家庭用の話である。


余りにも一般的なアーケードゲームとは違う動作をする質の悪い同人ゲーム(と思われる物)を帯人が訝しむのも当然の事であった。


驚きはしたが斜め上な進み方をする目の前のゲームに興味が無くなった訳ではない。


寧ろ吹っ切れて、悪い意味でどこまで予想を裏切るゲームなのかを確かめたくなった。


どうやって管理しているのか不明だが記録方法が気になるし、そもそも本当にセーブされるのかという事も気になった。


「アーケードの筐体に家庭用のゲーム積んでるって事もあり得るのか…?」


普通はそんな事はやらないし、店側も法に触れるような事は基本的にやらない。


海賊版や違法改造などではない限りあり得ないはずなのである。


しかし、ふと時計を見ると既に休憩時間は終わりかかっていた。


「くそっ、続けたいけど今は無理だ。とりあえず次までに残ってるか分からないが一旦セーブだ!」


帯人はセーブを選択した。


<セーブしました!>


そう表示された後、画面が暗転しタイトル画面に戻った。


「セーブしたら続けるのか選択すら出来ずに強制的タイトル画面かよ…。時間が無いから別にいいけど。」


そんな事を言いながら帯人は筐体から離れ後ろ髪を引かれながらも店を出る。


そして誰も座っていない筐体はタイトル画面から切り替わっていた。


ザーザッ


ブゥン


<またね>

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