第97話 クチノッタ島4
「まずはワシから! 『ウォーターボール!』」
「次はあたしね! 『マジックシールド!』」
シモンが作った水の玉を、イザベルのシールド魔法で覆い囲む。
「これで仕上げじゃ! 『ファイアーボール!』」
シモンが作った火の玉が現れ、シールドの中の水を沸騰させ水蒸気に変化させた。
「それじゃあ、ニコラちゃん、ジャクリーヌ、いくぞい!」
『せーの!』
シモンとイザベルはタイミングを合わせ、火の玉と水の玉を左右に放った。それは、洞窟の壁を沿って円を描くように動き、ミノグランデを左右から挟み込むように迫っていった。
「こんな目立つ真似をして、オレ様によけろと言っているようだ!」
ミノグランデがスッと後ろに下がり、2つの玉を交わした。
「どりゃぁぁあ!」
2つの玉がぶつかる寸前に、待ち構えていたジャクリーヌが水の玉を包んでいるシールドを叩き割る。
ドカーン、ぶつかった2つの玉は大爆発を起こし、ジャクリーヌの剣の衝撃により、その爆発は全て前方のミノグランデへと向けられた。
「よし! 今だ!」
ミノグランデに迫る爆風に、勇者が風の力で起こした追い風を送る。爆風は威力を増し、ミノグランデに直撃した。
「綺麗に決まったようだな!」
パシーン、後列で魔法職の2人が、前列で戦士職の2人がハイタッチを交わす。
「ニコラちゃんの風の力を加えて、以前の2倍近く威力が上がっておるはずじゃ! これで終いじゃよ!」
「いや、そうはいかないかもしれないわ!」
「どういうことじゃ?」
そのとき、爆発で起こった煙が消え、中の様子が見え始めた。
「なんだと!? あれを喰らって立っているだと!?」
煙の中から現れたミノグランデは、傷をおっていたがその場に立っていた。
「やはり、そういうことだったのね! 一旦作戦を練り直す必要があるわ!」
「そうじゃの! ヤツも回復のため、しばらくは動けんじゃろしな!」
シモンは勇者とジャクリーヌを呼び寄せ、イザベルの前に集まった。
「それで、なにがわかったというんじゃ? イサベルよ?」
「さっきの爆発、ぶつかる寸前にシールド魔法がでていたの。ほんの一瞬だけどね」
「なるほどな。それでダメージを軽減されて倒しきれなかったのだな」
「ちょっと待つのじゃ! それはおかしくないかのう! ミノグランデのヤツが、魔法を使えるわけが無いじゃろて」
全員で悩んでいる間に、ミノグランデの傷はどんどん回復していく。
「皆さん、そんなに悩んでどうしたというのですか?」
「おおっ! ロレンツォ戻ったのか!」
ロレンツォは、薬師フランコを縄で縛り上げ戻ってきた。
「2体相手とは、皆さんも苦労されているようですね」
「そうなんだ! あのミノグランデというヤツが、硬い上に自然回復のスキルを持っていて大変なんだ!」
「!? ちょっと待って! ロレンツォさん、今2体相手って言わなかった?」
「ええ、たしかにそう言いましたが……それがなにか?」
ロレンツォはイザベルの言葉に首を傾げている。どうやら意味が通じていないようだ。
「あたしたちは、あの牛の化け物1体と戦っていると思ってたんだけど、そうじゃないのね?」
「なるほど、そういうことですか! 皆さんには、あそこにいる魔術師の魔物の姿が見えていないのですね。まあ、隠蔽の類の魔法使っていますから、仕方がありませんね」
「あの方向ね! 『マジックキャンセル!』」
イザベルは、ロレンツォが指差す方向に魔法解除の呪文を唱えた。すると……
「本当におったわい! デカいゴブリンの魔術師がのう!」
そこには、大きな錫杖を持ち袈裟のようなものを着た、青肌の大きな魔術師ゴブリンが立っていた。
「ちなみに、牛の化け物は自然回復のスキルなど持っていません。あの魔術師が、回復呪文をかけていただけのようですね。魔術師を抑えつつ、牛の化け物を倒すのはいかがでしょうか?」
勇者たちはロレンツォの提案に顔を合わせて頷くと、勇者とシモンはミノグランデに、ジャクリーヌとイザベルは魔術師に向かっていった。
「2人が魔術師を抑えとる間に、ワシとニコラちゃんでミノグランデを倒してしまうぞい!」
「うん! わかった!」
勇者とシモンは、様々な魔石の力とシモンの魔法を連携させて戦うが、なかなかミノグランデを倒し切ることができない。
「くっ! こやつ予想以上に硬いのう! せめてここが外であればよいのじゃが……」
「あれっ? 急に明るくなってきたよ!」
シモンが悩んでいると、洞窟の中が突然明るくなった。
「わあ! 月だ! 月が見えるよ!」
勇者が空を見上げると、まん丸から少しだけ欠けた月が少し赤みがかった白い色をして出ていた。
「なんとここは、上が空いておったのか!」
月にかかっていた雲が無くなり、月の明かりが洞窟の中に差し込んだのだった。
「それじゃあ、ニコラちゃん! アレを試すとするかのう!」
「アレだね! わかった!」
シモンはそう言うと、杖を構えながら念じ始めた。
「なんだ? いきなり暗くなったぞ! きさまら、なにをした!」
空に雲が集まり月の明かりが遮られ、再び暗くなった。ミノグランデはなにが起こったのかわからず、焦っているようだ。
「いくぞい! 『ライトニングボルト』!」
「いけ! 雷の力!」
ピカッ! ずずーん!! 辺り一帯が激しく光ったかと思うと、轟音と共に2つの雷が降り注ぐ。
「ぐわぁぁああ!!」
2つの雷を同時に受けたミノグランデは、美味しそうなローストビーフになった。
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