表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

37/122

第37話 王都リットベルガー2

 リアだと思って連れてきた人物は、王女エバ=マリアであった。


「ただいま!」

「お主ら、どうしたんじゃ? 店の前で突っ立って?」


 勇者とシモンが探索(たんさく)から帰ってきた。


「皆の者、声を小さくなさい! 店主よ、私とこの者たちを、すぐに店の中に案内しなさい!」


 王女は、目線を前に向けたまま、(はっ)した言葉とは違い、笑顔を作って、真後ろにいるゲルベルガにギリギリ聞こえる音量でそう言った。


「さあ、ジャクリ……隊長たちも中に入ってくれ!」


 ゲルベルガはぎこちない笑顔をつくりながら、王女と勇者たちを店の中に(まね)き入れた。


「これで、安全は確保できたわね。ゲオルゲ! 話をしてあげなさい!」


 店の中に全員が入ると王女はそう言った。店の中は魔術具(まじゅつぐ)を使って、盗聴(とうちょう)防止の魔法がかけてあったのだ。


「ちょっと待つのじゃ! こやつはゲルベルガではないのか? 一体、なにがどうなっておるんじゃ?」

「ちんぷんかんぷん!」


 イザベルとジャクリーヌも、ポカンとした顔をしているが、勇者とシモンは現状が全くわからず、ただ戸惑(とまど)っている。


「まず、俺がゲルベルガに変装(へんそう)して、店の対応をしていたことを()びよう。すまなかったな」

「だから様子が可怪(おか)しかったのだな!」

「ゲオルゲさん! 茶の入れ方(くらい)、覚えておいたほうがいいわよ!」

「それは、面目(めんぼく)ない」


 とりあえず、謎の1つは解けた。


「そしてこちらは、王女エバ=マリア様だ。お前たちが言っていた、リアなる者ではない」

「ねえ、どうしてここに王女様がいるの?」


 勇者が(たず)ねる。(となり)のシモンも首をかしげ、同じ疑問を感じているようだ。


「それはね、あたしたちが買い物中にリアとはぐれて、見つけたと思ったら、王女様だったのよ!」

「そして、そのままここへ連れてきてしまった。というわけなんだ。と言っても、王女様だとわかったのは、今さっきなのだがな!」

「それなら、本物のリアはどこにいるの?」


 勇者の言葉に、全員がハッとする。


「いかん! 急いでリアを探さねば!」

「4人で手分けすれば、見つけられるはずよ! ゲオルゲさんも手伝ってくれない?」


 店の出口に向かって走る、勇者たち。


「皆の者! 止まりなさい!」


 王女の一喝(いっかつ)で、勇者たちは立ち止まった。


「ゲオルゲ。作戦の詳細をこの者たちに伝えなさい。もちろん、あの事は抜きでね」

「ははあ! それでは……」


 王女が変装(へんそう)して街に出ていたり、ゲオルゲが、甘味処(かんみどころ)の店主に変装(へんそう)していたのは、とある作戦のためらしい。城の中に(ひそ)む、間者(かんじゃ)を動かしている者が、王女をさらうという情報を(つか)み、(おとり)として、王女が(みずか)ら動いていたということだった。


「それでは王女様は、わざとさらわれるようなまねをしておられたということですか?」

「その通り。間者(かんじゃ)を動かしているものの正体を(つか)むには、今しかない。このために、10年もの間、こんな目立つ首飾(くびかざ)りを付けて、街に出続けていたのですからね」


 王女は、10年前から週に1度、視察(しさつ)という名目(めいもく)で街に変装(へんそう)し出歩いていた。そのときは必ず、魔石のついた首飾(くびかざ)りを身に着け、それが王女であるという目印になるように、まわりに印象付けていたのだった。


「王女様が首謀者(しゅぼうしゃ)の正体を(つか)んだ後、ある魔術具(まじゅつぐ)をつかい我ら応援を呼んでいただき、一網打尽(いちもうだじん)にするという作戦だったのだ」

「しかし、その作戦は無理のようだ。私たちが店の中に入ってから、敵の見張りとおぼしき者たち全てが、いなくなってしまった」

「つまり、リアなるものが王女様の代わりにさらわれてしまった、ということだな」


 ゲオルゲの言葉を聞き、勇者たちの顔が()(さお)になる。


駄目(だめ)じゃ! ワシらには、リアが何処(どこ)に連れ去られたかわからぬ!」

「敵の拠点(きょてん)は、王都の地下水路の何処(どこ)か、というところまでは(つか)んでいる。しかし、あまりに広く入り組んでいるため、王女様が(おとり)となり、場所を特定する手筈(てはず)だったのだ。しかも、地下水路は魔力を遮断(しゃだん)し、魔法による通信は行うことができない。そのため、特殊(とくしゅ)魔術具(まじゅつぐ)をわざわざ準備していたのだ」

「そんな場所から、リアを探し出すなんて、無理だわ!」


 リアの探索(たんさく)を誰もが(あきら)めた、そのとき……


「ねえ! 王女様の首飾(くびかざ)りの魔石、リアのとそっくりだね!」


 勇者が突然話しだした。


「たしかにそっくりじゃが、今はそんな話をしとる場合じゃ……!? そうじゃ!」


 シモンがなにかに気付いたようだ。


「王女様、その首飾(くびかざ)りは、王族に代々伝わる魔石をつかったもので、間違いないじゃろか?」

「ええ、その通りですが、なにか?」


 シモンの言葉に、王女は疑問を抱いたまま答えたようだ。


「王女様は、イザベルたちに連れてこられる前に、首飾(くびかざ)りを1度、落としたのではないかのう?」

「ええ、たしかに、急に飛び出してきた女にぶつかり、首飾(くびかざ)りを落としてしまいましたが」

「ニコラちゃん! 探求(たんきゅう)羅針盤(らしんばん)じゃ!」

「オッケー!」


 勇者は、(ふところ)から探求(たんきゅう)羅針盤(らしんばん)取り出し、(ふた)の中を見た。


「北を指して、物凄く震えてるよ!」

「これで、リアを救えるぞい!」


 ハイタッチをして喜ぶ、勇者とシモン。


「シモン! どういうことか説明せよ!」

「それでは、順を追って説明するかのう!」


 勇者とシモンは、探求(たんきゅう)羅針盤(らしんばん)をつかい、王都内にある5つの魔石の探索(たんさく)をしていた。しかし、針はあっちこっちに動き、位置の特定ができなかったため、一度、ゲルベルガの店に戻ってきた。


「おそらく、王女様がぶつかった人物は、リアじゃ! そのときに首飾(くびかざ)りが入れ替わってしもたのじゃろな!」

何故(なぜ)、王女様の首飾(くびかざ)りが入れ替わったものだとわかるのだ? シモンじい?」

「それは、魔力じゃよ! リアの首飾(くびかざ)りには、魔石の()(がら)がつけられておった。そう、魔力を持たぬただの()(がら)がのう」


 イザベルが王女の首飾(くびかざ)りに両手をかざして調べた。


「たしかに、その魔石からは、魔力を感じ取れないわねえ!」


 イザベルの話を聞き、シモンは自分の考えが正しいと確信を得たような、そんな顔で大きく(うなず)いた。


「針が動き続けておったのは、リアがさらわれ、何処(どこ)かに運ばれている最中だったのじゃろうな! 容姿がそっくりな人物が、目印となる首飾(くびかざ)りをつけておったんじゃ。間違うなという方が、難しいじゃろうな!」

「しかも、本物の5つの魔石の首飾(くびかざ)りだしね!」


 勇者が補足(ほそく)を付け加える。


「ちょっと待つがよい。私のつけていた首飾(くびかざ)りが、5つの魔石の1つであると何故(なぜ)わかるのだ?」

「それは、探求(たんきゅう)羅針盤(らしんばん)が位置を示しているからじゃよ! 魔力の遮断(しゃだん)されている、地下水路にあるものを指し示しておるんじゃ。5つの魔石は、通常の魔力とは異なるものを(はっ)しておるのじゃろう。そうでなければ、世界に()らばるたった5つの石など、見つけ出すことなどできんからのう!」


 さっそく、リア救出(きゅうしゅつ)作戦の会議に移行(いこう)する。


「ゲオルゲは王女様を城までお連れした後、ワタシたちと敵陣に乗り込むぞ!」

「私の事は考えずとも良い。ジャクリーヌほどではないが、それなりに強いのでな」


 そう言って、腕まくりをし力こぶを作る王女。力こぶはかなりでかい。


「王女様は、俺とエミーから剣と魔法の鍛錬(たんれん)を受けているからな。(おさな)い頃から(ひそ)かにだが……誰にも話してはならんぞ!」


 そう言って、人差し指を口に当てる、ゲオルゲ。ごつい顔に、可愛らしい動作というギャップが、意外とマッチしている。


「いや、私とゲオルゲは、一旦城へ戻る。お前たちに、発信(はっしん)魔術具(まじゅつぐ)を渡しておくので、敵の正体を突き止め次第(しだい)、使うが良い。ジャクリーヌよ、こちらに来るが良い。魔術具(まじゅつぐ)の使い方を説明しておく」


 ジャクリーヌは、王女から魔術具(まじゅつぐ)の説明以外のことも聞いているようだが、詳細を聞き取ることはできそうにない。


「シモンじい、お前たちは、この店の裏口から出て、少し先にある水路から、地下水路に侵入(しんにゅう)してくれ。俺と王女様は、少し時間をおいてから城に戻る」

「それじゃあ、リア救出(きゅうしゅつ)作戦はじめるとするか!」


 王女から魔術具(まじゅつぐ)を渡された、ジャクリーヌを先頭に店の裏口へと向う。


「しっかりやれよ!」

「どうぞ、ご武運(ぶうん)を!」


 ゲオルゲと王女に見送られ、勇者たちは地下水路へと向かっていった。

お読みいただきありがとうございます!

続きが気になる、面白い!と思っていただけましたら、ブックマークや評価をぜひお願いします!

このページの下にある、

【☆☆☆☆☆】をタップすれば、ポイント評価出来ます!

ぜひよろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
cont_access.php?citi_cont_id=818740172&size=135  ツギクルバナー
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ