第九十三話
ルイリが女性を見守っているとヨハンとアミールがそれぞれ食事を持って戻ってきた。
そしてヨハンが、
「それではここに置いておきますね」
と、言ってテーブルの上に食事を置くと二人揃って部屋から出ていったのである。
一方のルイリはそんな二人には目もくれずに、二人が部屋から出ていく時も女性を見つめ続けていたのであった。
そうして女性の姿を見ていたルイリだったが、テーブルの上の食事を見て、
「…冷めちゃうし食べるか…」
と、言って夕食を食べ始めたのであった。
そうして食べている間も女性の様子をチラチラと見て確認を続けたのである。
そうして自分の分の夕食を食べ終えたルイリは、
「…これは明日の朝まで目を覚まさないかな…。となるとどうするかな、これ…」
と、言って女性の分の夕食を眺めたのである。
するとその時、女性が、
「…う、う……」
と、言って少し動いたのである。
それにルイリは、
「あ!?少し声がしたし少し動いた!大丈夫ですか?わかりますか?」
と、言って女性に呼び掛けたのであった。
そして女性はルイリの呼び掛けに応じるように、
「……あ、……」
と、言って目を開けて辺りを見渡し、そうしてルイリの姿を目にとめると、
「…あなたは…?…それにここは…?」
と、言ってルイリの名前と今自分がどこにいるのかを尋ねてきたのである。
これにルイリは、
「私はルイリ・ナルアヴァルって言います。そしてここはエクバート王国のアルバイン領になります」
と、説明を行ったのである。
これに女性は、
「あ、丁寧にありがとうございます。私は…」
と、言いかけたところで、ルイリが、
「あ、ちょっと待って、う、うん、あー、あー、…よし、それじゃあ…」
と、言って続けて、
『あなたはみずほのくにのにんげんだよね?』
と、瑞穂の国の言葉で女性に話し掛けたのである。
これに女性は、
『!?…なんであなたがみずほのことばをつかえるんですか!?』
と、こちらも瑞穂の国の言葉でルイリに聞き返したのであった。
この問い掛けにルイリは、
『そのりゆうは…』
と、話そうとしたところで女性が、
「あ、大丈夫です。私、この大陸の言葉での会話も読み書きも出来ますから。ですからこの大陸の言葉で構いませんよ」
と、話したのである。
この言葉にルイリは、
「わかりました。それではこのままで…私が瑞穂の言葉を使える理由は、母が瑞穂の人間だったからです。もう十年以上前に亡くなりましたが、生きている間に瑞穂の言葉は一通り教えてもらいました。だから喋れるし聞き取れる、というわけです」
と、言って女性に説明したのであった。




