第九十二話
夕食の用意をヨハン達に任せたルイリは行き倒れていた旅人の様子を見に、旅人を寝かせてある部屋に向かったのである。
「…ふむ、まだ起きないか」
部屋に到着して旅人の様子を見たルイリはそう言って少し考えると、
「パッと見て怪我はしてないんだけど…目に見えない部分で怪我してるのかもしれないし、治癒魔法発動」
と、言って旅人に治癒魔法を掛けたのであった。
そうしてルイリは夕食の用意が出来るまでの間、旅人の様子を見守る事にしたのである。
「…顔色は…良くなった…かな?…それにしてもこうしてると本当に人形みたいだな、この娘…」
と、行き倒れていた旅人の女性を見ながらルイリはそう呟いたのである。
そして、
「何歳ぐらいなんだろ…十五歳ぐらいかな…十四歳かな…。そのぐらいだとしたらなんで一人で倒れてたんだろ…。…まさか一人旅じゃないよね?」
と、色々と考えては口に出して話したのである。
そうしてルイリは、
「…うーん…色々と音を聞かせてたら起きるかな~、とか思ってたけど駄目か…。どうやったら起きるんだろ…?やっぱり待つしかないのかなぁ…」
と、言って眠り続ける女性の顔を眺めていたのである。
するとそこに夕食の用意が出来たとヨハンにアミール、ファビオの三人がルイリを呼びにやってきたのであった。
「ルイリさん、夕食の用意が出来ましたよ」
「ん、わかった。すぐに行くよ」
「…目を覚ましませんか…」
「…うん…」
「…自然に目が覚めるのを待つしかないんでしょうかね…?」
「うーん…」
「まあ食事が冷めてしまいますから行きましょう」
「うん、わかった」
ヨハンの言葉に頷いて部屋を出ていこうとした時、ダビデの女性が微かに声を出したのである。
それを聞いたルイリは、
「…!!あなた目が覚めたの!?」
と、興奮気味に女性に近寄っていったのである。
そしてルイリは続けて、
「ごめん、ヨハンさん、私やっぱりここに残ります」
と、言って女性の寝ているベッドのすぐ横に持ってきていた椅子に座ったのであった。
そんなルイリにヨハンは、
「ええ?それじゃ夕食はどうするんですか?」
と、問い掛けたのである。
それにルイリは、
「ごめんなさい、ここに持ってきてほしい。それとこの女性の分も一緒に持ってきてほしい。お願いします」
と、言って頭を下げたのである。
これにヨハンは、
「……わかりました。それでは持ってきます」
と、言ってアミールとファビオの二人を連れて部屋を出ていったのである。
そうして再び部屋に二人きりになったルイリと旅の女性。
そんな旅の女性にルイリは、
「…さっきの寝言は…」
と、言って女性を見つめたのであった。




