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英雄領主様の奮闘記  作者: 篠原2


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第八十六話

「ちょっとそこの人!大丈夫ですか!?」


ルイリは倒れている旅人に近付くとシャスールから降りて声を掛けたのである。

しかし旅人は目を覚ます気配が全く無く、ルイリは、


「早くしないと追跡部隊が襲ってくるだろうし、かといってこのまま放っておくわけにはいかないし…。仕方ない、このまま連れていこう!」


と、言って旅人を抱えるとそのままシャスールに乗り込んでファビオ達の元に向かったのであった。

一方のファビオ達は約二十分前から山の中が急に騒がしくなった事からルイリが侵入した事が敵にバレたのだと理解していつでも逃げられるように準備をしてルイリが戻ってくるのを待っていたのである。


「隊長、ルイリは戻ってくるんですよね?」


「…たぶんな」


「…あれだけ山が騒がしかったら無事なんだろうし、捕まってもいないんだろうけど…」


「…もう逃げた方がいいんじゃないすか?隊長?」


「…もうちょい待って、それでダメそうなら俺達だけで逃げるようにしよう」


「…もうちょいってどれぐらいっすか?」


「…もうちょいと言うか、山が静かになってから十分ぐらいだな」


「…わかったっす」


こうしてファビオ達がいつまでルイリを待つかを決めた数分後、シャスールが自分達に近付いて来るのを見たファビオ達は、


「来た!」


「無事だったか!」


「すぐに逃げるようにしましょう!」


と、口々に叫んで自分達からもャスールに近付いていったのである。

そうして合流したルイリとファビオ達は、


「ごめん、待たせた!」


「それはいい!それより状況は!?」


「見つかって追い回されてる!逃げるよ!」


「わかった。行くぞ、お前ら!!」


「「「「「「「はい!!」」」」」」」


と、言葉を交わすと全員で逃げ始めたのであった。

そして逃げている間、ルイリはシャスールで最後尾を担当して追跡部隊の襲撃に備えたのである。

そのままの状態で三十分ほど全力で逃げ続けたルイリ達は背後から敵部隊が来ないのを確認した上で一度休憩する事にしたのであった。


「いや~、走ったねぇ」


と、ルイリがシャスールに乗ったまま座ってファビオ達に話し掛けた。

それにファビオが、


「…お前はゴーレムに乗ってるから楽なんだろうが…俺達は普通に走ってるんだからな…?」


と、答えたのである。

その言葉にルイリは、


「それはそうなんだけど、今の私にはシャスールから降りられない理由があるんだよね」


と、返事をしたのであった。

するとこの返事にファビオは、


「理由って何だよ?変な理由だったら一発殴るぞ?」


と、言ったのである。

これにルイリは、


「いや、それがね、あの山から出てきてすぐに行き倒れてる旅人らしき人を見つけてね、今シャスールに乗せてるんだよね」


と、ファビオ達に説明をしたのであった。

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