第七十五話
集中力を高め、闘志を燃やすファビオを見たルイリは、
(ふぅん、なるほど…。さすがは元兵士、ただの山賊だと思って軽く見てると痛い目を見るわね…)
と、心の中で呟いてファビオへの警戒度を一段階引き上げたのである。
そうした上でルイリは、
「それじゃ始めましょうか?それで、あまり近くだとすぐにぶつかり合う事になるからちょっと離れてからゴーレムを呼び出した方がいいと思うんだけど、ファビオはどう思う?」
と、話してファビオに尋ねたのである。
これにファビオは、
「…それで離れてのゴーレム戦が始まった途端にお前が弓矢を射ってこないのなら離れる」
と、言ってファビオはルイリのゴーレムでの弓矢攻撃に強く警戒している事をルイリに話してしまったのである。
これにルイリは、
「うん、それもありかもとは思ったけどさすがに開始直後は無いわよ?」
と、言って初手弓矢攻撃は無い、とはっきり口にしたのであった。
これを聞いたファビオは、
「わかった、それなら離れてゴーレムを出そう。どのくらい離れればいい?」
と、ルイリに尋ねたのである。
これにルイリは、
「…そうねぇ、さっきの私の弓矢の的当てぐらい、三百歩離れてからゴーレムを出しましょうか?」
と、提案したのである。
この提案にファビオは、
「…三百歩か…わかった、それでいい。…それでどのように離れる?」
と、言ってルイリの提案を受けると同時に次の質問をしたのであった。
この質問にルイリは、
「ファビオが館を背にして戦う図はなんか嫌だから、ファビオが館の正門に向かって三百歩離れてほしいんだけど」
と、言ってファビオが離れるように言ったのである。
これにファビオは、
「…いいのか?離れるように見せかけて逃げるかもしれないぜ?」
と、言ったのだがルイリは、
「別にいいわよ?もしそうなったらあなたの部下二十四人は全員処刑して、あなたの事は部下を見捨てて一人で逃げた最低野郎だって噂をあっちこっちにばらまくだけだから」
と、言ってファビオを脅したのである。
これにファビオは、
「…わかった、絶対逃げない。最後まで戦う。だから処刑はやめてくれ…」
と、言ってルイリに部下の処刑はやめてほしいと懇願したのであった。
この言葉にルイリは、
「私は最初から処刑する気は無いわよ?でもあなたが、逃げたらどうする?って聞くんだもん」
と、言ってファビオを見たのである。
これにファビオは、
「…そうだったな、俺が言った事か。わかった、それじゃ離れる。三百歩だったな?」
と、言って、ルイリに尋ねて、ルイリも、
「ええ、三百歩離れたらそこでゴーレムを呼び出してね。私も続けてゴーレムを呼び出すから」
と、言ってファビオに伝えたのである。
これにファビオが、
「わかった」
と、短く返事をすると正門方面に三百歩歩いていき、三百歩になったところで館の方に振り返ると、
「出ろ、ドルトベルチェ制ゴーレム、タイプツヴァイ!」
と、叫んで自身のゴーレムを呼び出したのであった。




