第七話
厨房に戻ったルイリは早速草刈りに使えそうな道具がないか厨房の中を一通り探してみた。
結果は何も見つからずで結局ルイリは道具無しで厨房から小川までの道の草刈りをする事になったのである。
「うへぇ…なんで道具も無しにこのレベルの草の草刈りしないといけないのよ…」
ルイリはこの領主館に来てから何度目になるかわからない不平不満を言いながら草刈りを行っていた。
ただルイリが不平不満を言ったのは草刈りを始めて間もなくの時だけでその後は一切不平不満を口にせずに黙々と草刈りを行っていた。
「…ふぅ、まだ半分もいってないな…。…ちょっと休憩して水を飲もう…」
作業開始から二時間が経過したところでルイリはそう言って少し休憩する事にした。
そしてその休憩時間に小川の水を飲む為にまだ草刈りが終わっておらずいまだに手付かずの状態の道をこれまでと同じように雑草を掻き分けて小川まで歩いていったのである。
「あ~、冷たい、美味しい…。ちょっと疲れがとれた…」
そうして雑草を掻き分け小川まで歩いていったルイリは早速小川の水をすくって飲むと小川に一番近くの道に座って休み始めたのであった。
こうして休んでいる時にルイリはふと、
「…そうだ、この小川って深さはどれくらいあるんだろう?」
と、思いすぐに調べる事にした。
「…よっと、靴と、靴下を脱いで…それでは失礼しま~す」
そう言うとルイリはそのまま裸足で小川に入っていったのである。
「…うーん、深さは私の足首ぐらいか…。ここで水を汲んで厨房に持っていくとなるとちょっと浅いな…。……掘るか…?」
小川の水深を確かめたルイリはこれからここで何度も水汲みをする事を考えた上で小川の川底を掘って水深を深くする計画を口にしたのだがその時同時に、
「…掘るにしても道具あったかな…。さすがにこれを素手で掘るのは現実的じゃないよね…」
と、いう草刈りと同じく道具があるのか問題に直面する可能性が高くなりそうな事を想像してルイリは少しテンションが下がってしまったのである。
そうして少しテンションが下がったルイリはとりあえず小川の川底を掘る計画は一旦無かった事にして今はしっかりと休憩をする事にしたのであった。
こうしてその後二十分程休んだルイリはもう一回小川の水を飲んで、それから草刈りを再開させたのである。
その際ルイリはこの雑草の中を掻き分けながら進んで厨房側に戻ってから作業を再開するよりも今いる小川側から作業を再開した方が効率が良いのではないかと考え、その考えを実行に移す形で休憩後の作業は小川側から始めたのであった。