第六十一話
ルイリは不安そうに呟いたヨハンに、
「ヨハンさんは嫌なの?」
と、尋ねたのである。
これにヨハンは、
「嫌というか…やけにこだわるな、と思いまして」
と、答えてルイリを見つめたのであった。
このヨハンの言葉にルイリは、
「ここが羊用の厩舎だとわかった時から将来的に毛糸や毛織物をこの領地の特産品にしたいって思ったの。だから今のうちから準備を進めておきたいなぁ、って思ってね」
と、ヨハンだけでなくこの場にいた全員に話したのであった。
そしてルイリは続けてダズエルに、
「ダズエル、あなた昔羊飼いをやってたって言ってたけどどうしてやめたの?」
と、尋ねたのである。
この質問にダズエルは、
「戦争がひどくなったから羊飼いどころじゃなくなったんすよ。だからやめたっす」
と、答えたのである。
この言葉にルイリは、
「全部戦争が悪いって事になってるな…。まあ実際全部悪いんだけど。それよりその頃飼ってた羊はどうなったの?」
と、戦争への感想を話した後でダズエルに羊がどうなったのかを尋ねたのである。
これにダズエルは、
「五十頭ぐらいいたけど全部軍に持っていかれたっす。そんで返ってきたのが雄三頭だけだったんで増やす事も出来なかったんでそれで盗賊になったっす」
と、答えたのである。
するとその答えを聞いたルイリが、
「本当に戦争が全部悪いって事になるな…。その三頭の羊は今どうなってるの?」
と、ダズエルに尋ねたのである。
これにダズエルは、
「アジトで飼ってるっすけど…どうするんすか?連れてくるんすか?」
と、答えてルイリに聞き返したのであった。
この答えにルイリは、
「そうだね、連れてこようか。それとこの辺りに羊飼ってる人っているかな?」
と、ダズエル達に尋ねたのであった。
この質問にダズエル達は顔を見合わせて、
「いや、いなかったと思うっす」
と、答えたのである。
その為ルイリは、
「それなら仕方ない。売ってくれそうな所から買うしかないわね」
と、発言したのである。
この発言を聞いたヨハンは溜め息を吐き、ダズエル達は、
「え?買うんすか?結構高いっすよ?」
と、ルイリに話したのであるがルイリは、
「大丈夫、500万エラが手付かずであるんだから。これで四十頭ぐらい買いましょう」
と、発言して羊を購入する事を決めたのである。
これにヨハンは、
「…本気でやるんですね?」
と、覚悟を固めてルイリに尋ね、ルイリが、
「ええ、やるわ。羊毛をこの領地の特産品にする。そしてこの領地を羊毛産業の一大拠点にする。これをこの領地の当面の目標とします!」
と、この場にいるメンバーに宣言したのであった。




