第四十二話
ルイリとグレイがフランクを手伝い夕食作りを行う事を決める少し前、鬼のような形相で貯水池を作っていたヨハンは、
「はあ、はあ、はあ、はあ…」
と、息を切らせながら貯水池にする地面を掘っていた。
そのままの勢いでしばらく掘り続けていたヨハンだったのだがある時、
「そろそろ夕食なんだけど食べる?食べない?」
と、いつの間にか近くにいたルイリにそう尋ねられて、
「うわぁ!?ル、ルイ、い、いや、御領主!?いつからここに!?」
と、驚いてルイリの名前を言いそうになりながら後一歩のところで踏みとどまったヨハンにルイリは、
「いつからと言われると五分ぐらい前からかな。ヨハンさん全然気付かないんだもん。それで気付くまで待とうかと思ったんだけど、我慢しきれなくて声掛けちゃったってわけ」
と、話してヨハンの問いに答えたのである。
これにヨハンは、
「そうでしたか…それは申し訳ありませんでした」
と、答え、そしてその答えにルイリは、
「謝らなくていいから作業を続けるか終わらせるかは決めてほしいかな?そろそろ暗くなってきたし」
と、話してヨハンにどちらを選ぶかを改めて尋ねたのであった。
するとルイリにそう聞かれたヨハンは辺りを見回すと、
「ああ、もうこんなに暗くなり始めていましたか…」
と、呟いて、続けて、
「それでは今日の作業はこれで終わりにします。…さて夕食は何になりますかね?」
と、答えてルイリに今日の夕食には何が出るのかを尋ねたのである。
その問い掛けにルイリは、
「チャパティは変わらないけどメインは頑張ったわよ?」
と、答えたのであった。
その答えにヨハンは、
「頑張った?…何作ったんですか?」
と、重ねて尋ねたのである。
その問い掛けにルイリは、
「牛干し肉のワイン煮込み」
と、一言で答えたのである。
するとその一言にヨハンは、
「は?え?…牛干し肉のワイン煮込み?作れたんですか?」
と、少し疑い気味にルイリに聞き返したのであった。
その反応にルイリは、
「干し肉だったからちょっと難しかったけど、今日は時間もあったし、フランクとグレイも手伝ってくれたからね。三人で味見もしたしその時に全員が美味しいって言ったから上手く出来たと思うよ」
と、答えたのである。
そしてそのルイリの答えを聞いたヨハンは、
「それは楽しみですね。夕食はもう食べられるようになっているんですか?」
と、ルイリに尋ね、それにルイリは、
「ヨハンさんを呼び戻した後で盛り付けるって言ってたからまだだと思うけど、でもすぐに食べられるように出来ると思うわよ?」
と、答えたのである。
その答えを聞いたヨハンは、
「ではすぐに戻りましょう。お腹空いたんですよ」
と、言ってルイリの手を引いて厨房に戻っていったのであった。




