第三十六話
遅れました…。
ごめんなさい…。(土下座)
グレイは差し出されたルイリの手を見て、
「…あんたに雇われるかどうかは条件で決めたい」
と、話してすぐにはルイリの話を受けなかったのである。
このグレイの言葉にルイリは、
「なるほど、条件次第か。確かに同じ立場なら私もそう言うでしょうね。…にしてもさっきまで怯えてたのによく条件で決めたいとか言えるわね」
と、話して差し出していた手を引っ込めたのである。
そんなルイリにグレイは、
「…怖いけど…大切な事だから…」
と、まだ多少震えながら答えたのであった。
その言動を見たルイリは、
「…そうね、雇用条件は大切な事ね。それじゃ雇用条件についての話し合いをしましょうか?」
と、話してグレイの雇用条件についての交渉を始めたのであった。
「まず最初の一年間は試用期間にするつもりでいる」
「……試用期間…?」
「最初の一年は給金が出ないって事」
「…は?…一年タダ働きかよ…?」
「落ち着いて聞きなさい。まだ領内を見れてないって言ったでしょ?だからまだ税金を徴収出来るかもわからないもの。だから領内を見て回って、税金の徴収が出来るとわかって、後はグレイが使える人材だとわかれば一年待たずに本採用に切り替えるわよ」
「……本採用…?」
「簡単に言うと給金払うって事」
「な、なるほど?」
「それに試用期間中は給金は出ないけど衣食住の内、食と住はしっかり面倒見るし」
「食と住…?食い物はわかるけど住…家か?家もくれるのか?」
「さすがに家は無理よ。けど住む場所は用意するわ。用意すると言うかこの部屋ではダメかしら?」
ルイリにそう言われたグレイはぐるっと一周部屋を見渡して、
「…いいけど物が無い…」
と、答えたのである。
ルイリはグレイのその反応に、
「それは数日前まで領主館自体が廃墟同然だったんだから仕方ないじゃない。それに物が無いって言うなら給金が入った後で好きな物買って部屋に置けばいいでしょ?」
と、話してグレイに部屋に物が無い理由を理解してもらおうとしたのであった。
その言葉にグレイも、
「…わかりました。そういう事だったんだということはわかりました」
と、答えてルイリの説明を受け入れ、そうして続けて、
「…でも残り十四人の仲間をどうやって捕まえるんだ?そんなに簡単な事じゃないと思うんだが…?」
と、話して残りの仲間達の捕縛方法についてルイリに尋ねたのである。
そう聞かれたルイリは軽く笑って、
「さっきグレイは全員で襲撃してくるって言ったわよね。だったら襲撃してきた時に全員の足を弓矢で狙い撃ちにして逃げられないようにしてゆっくり捕まえるわよ」
と、平然と答えたのであった。
その答えを聞いたグレイはルイリのあまりの余裕ぶりに、
「いや、十四人だぞ?いくらなんでも三人で相手にするには…」
と、ルイリの言葉に反論しようとしたのだが、ルイリはグレイの言葉を途中で遮り、
「たった十四人に三人もいらない、私一人で十分よ」
と、さっきよりも自信に満ちた言葉をグレイに聞かせたのである。
その言葉にグレイは、
「………え?」
と、一言だけ発して、何言ってんだこいつ?と、いう表情でルイリを見つめたのであった。




