第三十五話
「それじゃ改めて、あなた達は盗賊団ね?」
「は、はい…」
ルイリに完全に怯えてしまったグレイはこれまでの態度とは打って変わって素直にルイリの質問に答え始めたのである。
「ちなみに団の名前は?」
「…と、特にないです…」
「そうなのか、まあいいんだけど。それで何人いるの?」
「…お、俺を入れて十五人です…」
「という事は残り十四人か…そのぐらいならなんとかなるかな」
「…え?十四人がなんとかなる?」
ルイリの言葉を聞いて思わず聞き返したグレイ。
そんなグレイの言葉はあえて聞かなかった事にして、ルイリはグレイに続いての質問をぶつけたのである。
「その残りの十四人なんだけど、まだ襲撃してくると思う?」
「…多分してくると思うけど…」
「してくるか。グレイは何人ぐらいでくると思う?」
「…俺が考えるんですか?」
「仲間達の事だからグレイの方が詳しいでしょ?だからよ」
「…うーん…。…全員で来そうな気はしますけど…」
「お、全員でくると予想するか。それなら一気に無力化出来そうだね」
グレイの予想に嬉しそうにそう話すルイリ。
そうしてルイリは続けてグレイに、グレイだけでなくヨハンも反応する質問をしたのであった。
「それじゃあグレイ、あなたここで働いてみない?」
「…え!?」
「ん?彼を雇うんですか?」
ルイリの言葉にグレイも声をあげる。
そんな二人にルイリはヨハンまずはヨハン、次にグレイに話し掛けたのである。
「今の私達が人手不足だっていうのはヨハンさんもわかってるでしょ?館の掃除もまだ全然終わらないし…」
「まあそれはそうですが。それにしてもまた現地徴用ですか?」
「私らしくていいでしょ?」
「まあそうですけど。しかし雇うにしても給金はどうするんですか?」
「それは色々と考えてる。さてグレイ、どうする?このまま盗賊で一生を終えるか、それともまともな職業に就くか。好きな方を選びなさい」
「…そりゃあまともな職業には就きてぇけど…でも仲間達を見捨てるようなのはちょっと…」
「仲間達の事なら大丈夫。仲間達も全員雇うつもりでいるから」
ルイリのこの言葉はグレイだけに掛けたものであったが、
「「…え?全員?」」
と、グレイだけでなくヨハンも反応して思わずグレイとヨハンの二人でハモってしまったのであった。
しかしルイリはヨハンが上げた声には反応せずにグレイだけに声を掛けたのである。
「言ったでしょ?人手不足だって。館の掃除も全然終わってないし、もっと言うと着任してからまだ一度も領内を見れて無いんだもの。領内を見て回る事になれば必ず何か問題が起きるわ。その時に人手不足で対処出来ませんでした、とか言うのは領主失格でしょ?だから雇う。グレイだけでなく、グレイの仲間の盗賊団も全員雇う。…グレイ、これでどうかしら?」
ルイリはそう話すとグレイに向けて自身の手を差し出したのであった。




