第三十三話
ルイリ達は捕虜にした男を連れて厨房に戻るとひとまずヨハンを見張りに残してルイリとフランクの二人は領主館一階の一部屋を掃除する事にしたのである。
その方針を不思議に思ったヨハンとフランクがルイリに尋ねるとルイリは捕虜にした男を見ながら、
「その人に話を聞くのに厨房だと気が散りそうだし、寝泊まりさせるのにも普通の部屋の方が都合が良いでしょ?だから掃除しようかな、って思って」
と、説明したのであった。
その説明にヨハンとフランクは、
「「……なるほど」」
と、微妙に納得していない感じの返答をしたのではあるが二人共にルイリの方針どおりにヨハンが捕虜の見張り、そしてフランクがルイリと共に部屋の掃除、という役割分担で行動する事になったのである。
なお、この後すぐに見張り役のヨハンには追加で昼食作りのミッションが課せられたのだが、それはまた別の話である。
そうして始まった部屋の掃除は気合いを入れて掃除を行ったルイリの活躍(?)もあって一時間で終わったのであった。
こうして部屋の掃除を終わらせたルイリとフランクは厨房に戻りヨハンが現在何をしているかを見ることにしたのである。
するとヨハンはもう昼食をほぼ作り終えていて、ルイリ達が戻ってくるのがもう少し遅ければヨハンの方からルイリ達の様子を見に行こうとしている、そんな状況になっていた。
その為、三人はすぐに昼食を食べる事にして、その際に捕虜の男にも昼食を食べさせる事にしたのであった。
「ほら、あなたも食べなさい」
「い、いいのか?」
「ええ。まあ、もし食べたくないって言うなら食べなくてもいいんだけど?」
「いや、食べる!食べるから飯をくれ!」
「…だって。ヨハンさんお願いね」
「わかりました」
こうしてルイリ達三人と捕虜の男の計四人で食べる事になった昼食は全員がほぼ無言で、そして手早く食べ終わらせるとルイリは食器洗いをフランクに任せてルイリ自身はヨハンと共に捕虜への尋問を行う事にしたのであった。
その為ルイリはヨハンと二人で捕虜の男を縛り上げて昼前に掃除した部屋に連れていったのである。
そうしてルイリとヨハンによる捕虜の男への尋問が始まったのだった。
「さて、色々と聞かせてもらうわよ」
「……」
「それじゃ早速だけどあなたの名前は?」
「……」
「…あなたの名前は?」
「……」
「…あのさぁ、私、痛いのとか熱いのとかは嫌いなんだよね。だから早く話してほしいんだけど?」
ルイリのこの言葉にやっと男が口を開いた。
「…答える前に一つ聞きたい」
「…質問してるのはこっちなんだけど?」
「…答えてくれたら俺も答える」
「…わかった。で?何?」
「…領主はそっちの男じゃないのか?」
男はそう言ってヨハンを見たのであった。
そしてその質問にルイリは、
「ええ、ヨハンさんは領主じゃないわ。本当の領主は私よ」
と、答えたのである。
そうしてルイリは続けて、
「こっちは答えたわ。今度はそっちよ。あなたの名前は?」
と、再度男に彼の名前を尋ねたのだった。
その質問に男はようやく、
「…グレイ」
と、答えたのである。
そうして男の名前を聞いたルイリは、
「グレイか。わかったわ。それじゃグレイ、これから他の事も話してもらうわよ?」
と、言って尋問を続けていくのであった。




