第二十九話
朝食を終えたルイリ達は使った食器はそのままにしてすぐに水路掘りの作業を始める事にしたのである。
ただ少し予定の変更が行われた。
その変更内容は二人が水路掘りの作業をして一人は正面玄関の前の階段の更に前の広場の草刈り兼見張りをする、というものであった。
そしてその見張りにはヴィクトリアも連れていく事になったのである。
更に見張りは交代制で最初は朝から他二人の昼食後まで、次に昼食後から夕食前までにして、夜の見張りはとりあえずしないという事にして、最初はルイリから見張りを行い次にヨハン、そうしてフランク、そしてまたルイリという順番で見張りを行う事に決まったのである。
こうして役割分担が決まった三人はすぐにそれぞれの持ち場に移動して作業を開始したのであった。
「さて、誰が見てるのか…そして目的は何なのか…。色々とわかったら助かるんだけど…」
ヴィクトリアを連れての草刈りを始めたルイリはそう言うと草刈りを始めたのである。
その後は特に何も起こらずに静かな時間が続き、ヴィクトリアもルイリの近くでのんびりと草を食べていた。
そうして二時間ぐらい時間が経った時、突然ヴィクトリアが草を食べるのを止めて辺りの様子を気にし始めたのである。
またヴィクトリアの変化はこれまで手綱を腕に巻き付けていたルイリにもすぐに伝わった為にルイリはすぐに草刈りを止めて立ち上がり、ヴィクトリア同様に辺りを見回したのであった。
すると正門から中に入ってくる六つの人影がルイリの目に入ったのである。
(男が六人か…さて何しにきた?)
男達の姿を見てルイリは頭の中だけで言葉を発すると近付いてくる男達を黙って見つめていた。
そうして領主館の敷地内に入ってきた男達はどんどんルイリに近付いてきてそれぞれの顔がはっきり判別出来る距離まで近付いたところで男の一人がルイリに話し掛けてきたのであった。
「すいません、あなたは新しい領主様のメイドですか?」
「ええ、そうですが…。領主様に何か御用でしょうか?」
とりあえず今の段階では男達の正体がわからない為、相手の会話に合わせて自身をメイドだと説明したルイリはこのまま会話を続ける事にしたのである。
「はい、この地に新しく領主様が来られたと聞いて村の人間を代表して自分達が挨拶に来たんです」
「そうでしたか。では領主様を呼んできましょうか?」
「はい、お願いします」
「わかりました。それでは領主様を呼んできますのでしばらく御待ちください」
自分達を村の人間の代表だと話す男達と会話したルイリはその会話の内容を実現させる為に領主館に戻っていき、ヨハンとフランクに事情を話してこの場に連れてくる事に今決めたのであった。




