第二十五話
ヨハンが諦めの境地に到達した頃、ルイリは全ての食器を洗い終わって夕食作りに入っていた。
「さて、なに作ろっかなー。材料が少ないから難しいんだよねー。……もう面倒だから干し肉のスープと塩漬け魚のスープにしてやろうかな…?いや、もうそれでいこう」
こうしてルイリは少々危険な考えを実行に移す決意をして食材の山に目を向けたところで小麦粉の袋が目に入った。
「…小麦粉かぁ…。パンや麺は時間が掛かるしなぁ…。でも小麦粉も使いたいんだよなぁ…。…うーん……」
小麦粉の袋を見ながらしばらくうんうん唸っていたルイリはふとかつての戦場での一つの光景を思い出していた。
「…そういえば…あの時仲間の一人が故郷の料理だって言って確か…」
ルイリはそう言いながら小麦粉の袋から小麦粉を取り出すと記憶を辿ってその料理の再現を始めたのである。
「…えぇっと確か…小麦粉と水を捏ねて…生地を作って…確か少し置いて休ませてたよね?」
ルイリはそのように話しながら生地を休ませている間に干し肉のスープと塩漬け魚のスープの調理を始めたのである。
ただし調理と言ってもほとんどが材料を切って水を入れた鍋に入れるだけの簡単な料理であったのだが。
そうしてスープ二種類の調理をほぼ終わらせたルイリは休ませていた生地のところに向かったのである。
「確かこのくらいの時間休ませれば良かったはず…。次が確か…薄く丸くのばして……フライパンで焼くんだっけ?」
ルイリは作業工程を必死に思い出しながら小麦粉料理の調理を進めていく。
そうしてフライパンで薄く丸くのばした生地を焼き始めたルイリ。
「…油を使わずにそのままフライパンで焼いてたからこれで大丈夫なはず……これで後は…」
そう言うとルイリはフライパンから焼いた生地を皿に移して、フライパンを脇に置くとさっき皿に移した生地を直火で焼き始めたのであった。
「確かこれで…おお!膨らんだ膨らんだ!成功だ!」
ルイリが言うように一度フライパンで焼いた生地をもう一度、今度は直火で焼くと生地が膨らんだのである。
「おお~、出来た出来た。名前なんだっけ?忘れちゃった。まあいいや。とりあえず試食を………うん!いい!十分にパンの代わりになる!と言うかパンより好きかも!よ~しどんどん作ろう!」
こうしてこの料理の味が気に入ってテンションが上がったルイリは休ませていた他の生地を同じように薄く丸くのばして次々に焼き始めたのである。
そうこうしている間に干し肉のスープと塩漬け魚のスープも出来上がり、徐々に夕食の料理が完成していく厨房。
そこに二階と三階を繋ぐ階段の掃除を終わらせたヨハンとフランクがやってきたのであった。




