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錬金術師の傭兵団 ~古強者は死に場所を求めて世界戦争に再臨する~  作者: 結城 からく


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第97話 最期は訪れる④

 日が完全に沈み、周囲が闇に包まれる。

 拠点の光源は意図的に消しているため、付近の荒野は微かな月明かりだけが照らしている。


 その中でベイドが猛攻を試みる。

 魔力で視力を強化し、力の限りに長剣を振るう。

 ただし、全体の動きは戦いの当初に比べて鈍く、魔力はほぼ枯渇していた。

 もはや精神力でも誤魔化せず、肉体を繋ぎ合わせる死霊術を保つので精一杯だろう。

 短期決戦を狙った無茶な強化の反動が返ってきたのである。


 対する俺は、未だ万全に近い状態だった。

 周囲の空気とベイドから魔力を摂取することで、無制限に術を使えるのだ。

 攻撃も防御も回復も自在なので上手く調整できている。


 普通の魔術師なら気力の限界を迎えるだろうが、俺は長年の鍛錬で克服している。

 数日程度なら全力で戦っても問題ないほどだ。

 魔力が潤沢なこの場所なら尚更である。


 ベイドは瞬間的な強さを追求し、俺は持久力に重きを置いた。

 その結果、ベイドは俺を削り切れず窮地に追いやられている。

 明暗を分けたのは、互いの術の練度……一つの技能を極めた俺が戦いを制したのであった。


 俺は助走をつけて飛び蹴りを放つ。

 ベイドは長剣で防ぎ、よろめいてから止まった。

 大した威力はなかったはずだが、辛うじて立っているといった有様で、傷だらけの両脚が震えていた。


 ベイドは苦痛を耐えながら呻く。


「邪魔を、するな……もう少しなんだ」


「本気で邪魔と思うなら排除しろ。お前にはそう教えたはずだ」


 俺がそう告げると、ベイドが腕輪を使用する。

 生成された魔力の矢は錬金術で変形されてナイフとなった。

 ベイドは手首の振りだけでナイフを投擲する。


 俺は片腕を盾にして、刺さったナイフをさらに変形させた。

 魔力のナイフは極細の針となって伸びると、ベイドの片目を抉った。


「ぐっ……畜生が……」


 ベイドは針を掴んで止める。

 このまま脳内まで潜らせて破壊するつもりだったが阻止されてしまった。

 単純な力押しはまだ通用しないらしい。

 それでも片目を潰せたのだから十分だろう。


 俺は互いに刺さった針を利用してベイドの魔力を奪いにかかる。

 察知したベイドはすぐさま針を引き抜いて捨てた。

 抉れた片目を押さえてこちらを睨み付けてくる。


 その腕が唐突に外れて落下した。

 生き人形から奪ったものだ。

 魔力の欠乏で死霊術の結合が不安定になったのである。

 騎士団長ベイドの最期はすぐそこまで迫っていた。

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