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錬金術師の傭兵団 ~古強者は死に場所を求めて世界戦争に再臨する~  作者: 結城 からく


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第88話 英雄の墓場③

 英雄の死にも動揺せず、俺は新たな結晶を落とす。

 次に登場したのは"賢者"イワンコフだった。

 多種多様な魔術を習得した秀才で、総合的な火力だと俺では足元にも及ばない。

 魔術の神に愛された男である。


 イワンコフは怒涛の魔術の嵐でベイドに仕掛けた。

 近・中・遠距離すべてを網羅した漆黒の術が猛威を振るう。

 漆黒に染まっているのは複雑奇異な属性が混ざり合った結果だ。

 ちょうどブラハの砲撃と同じ原理であった。


 災害級の威力を秘めた術に対し、ベイドは正面突破を選ぶ。

 鎧を破損されながら前進し、イワンコフの喉に剣を突き刺した。

 イワンコフは魔術による蘇生を試みるも、その前に高速の剣術で粉微塵になるまで切り刻まれた。


 その直後、ベイドを背後から強襲したのは"竜騎士"スグゥだった。

 スグゥは同時封印していた邪竜に乗り、高らかに声を上げて突進する。


 ベイドは振り向きざまに青炎の盾を行使した。

 そこにスグゥの槍が突き立てられる。

 突進の勢いに任せた猛速の刺突は、こじ開けるようにして青炎の盾を貫いた。


 槍の穂先がベイドの首を掠めて肉を抉る。

 あと少し角度がずれていれば、首に風穴が開いていたはずだ。

 青炎の盾による防御が紙一重で明暗を分けたのである。


 槍を伝うようにして、スグゥの腕が青炎に呑まれた。

 彼は焼かれる苦痛も厭わず追撃を繰り出すも、ベイドは淡々と受け流していく。

 邪竜も高熱の息吹を浴びせるが、青炎の防御を破るには至らなかった。


 やがてスグゥと邪竜は青炎に包まれて息絶えた。

 たった一度の強襲の代償だ。

 命を投げ打ったその行為さえ、ベイドを討ち取るには至らなかった。



 スグゥと邪竜の亡骸が炭化した時、"罠師"ニアは既に陣地の形成を終えていた。

 彼女はベイドを包囲するように無数の魔法陣を張り、空中にも執拗な密度で固定する。


 色鮮やかな魔法陣もあれば、透明で視認しづらいものも多い。

 内包された魔力も不規則で匂いや味のするものもあった。

 いずれも五感を混乱させて罠にかかりやすくするための工夫である。


 どれか一つでも発動すれば連鎖的に罠が機能し、格上の存在すらも嬲り殺す。

 術者が自発的に発動できないという弱点を抱えるが、ニアは冷静に仕掛けを構築して万全な領域を生み出していた。


 ベイドは無数に張られた罠を見回す。

 そして、足元から一気に青炎を噴出させた。

 炎は一帯を覆い尽くすように広がり、当然ながら罠を発動させる。


 次々と爆発が炸裂し、轟音に合わせて土煙が舞い上がった。

 そこから振り払うようにベイドが飛び出してくる。

 彼が険しい表情を浮かべるのは、魔力の消耗が大きかっただろう。

 或いは爆発で鼓膜を傷めたのかもしれない。


 ベイドの肌のうち数カ所を黒い痣のようなものが這い回っていた。

 それは呪術だ。

 どうやら爆発に仕込まれていたらしい。


 物理的な破壊をやり過ごしても、厄介な二段構えで確実に損傷を与える。

 "罠師"ニアの矜持が前面に押し出された性質である。


 当の彼女は連鎖爆発に巻き込まれて死んでいた。

 人体がバラバラに千切れて原形を留めておらず、荒れ果てた大地に埋没している。

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