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錬金術師の傭兵団 ~古強者は死に場所を求めて世界戦争に再臨する~  作者: 結城 からく


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第63話 まだ見えぬ高み④

 周辺諸国の動きを確かめつつ、傭兵団は本格的に活動を開始した。

 俺は密かに各地を巡り、適した戦場に英雄を配置していく。

 そして彼らの行く末を見守った。


 同行するのはユエルとミザリアだ。

 戦力的には過剰だが、不測の事態に備えての構成である。

 両者の口喧嘩さえ無視すれば完璧と言えよう。


 ミハエルとシュアには留守を任せている。

 どちらも傭兵団の中では新人ではあるものの、十分な実力を持っている。

 防衛のついでに鍛練を指示し、二人で組み手をするように伝えていた。

 互いに学ぶことが多く、ちょうどいい機会のはずだ。

 念話で定期的に状況を報告させており、魔術ですぐさま帰還できる。

 不安な要素は一つもない。


 傭兵団の活動で多くの国々に影響が出ているが、戦争の大勢が覆ることはない。

 懸念はあれど、国家の利益のために動くしかないのだ。

 俺達はそこに付け入って掻き乱す。

 変わりゆく戦いの動向を利用して、着々と目的の達成を果たしていた。


 そうして数カ月が経過した。

 一区切りが付いた俺達は拠点に戻り、ブラハを除いた全員を集めて作戦会議を行う。

 城の一室で円卓を囲んで座る光景はなんとも奇妙だ。

 空気感もそれぞれで統一とは程遠い。


 別に厳格なものは望んでいないのでこれでいい。

 むしろ傭兵団に相応しいのではないか。

 そんなことを考えていると、ミザリアが話を切り出した。


「今の時点で何人の英雄が死んだんだい?」


「三十四人だ。死に損ねて彷徨っている奴もいるがな」


 俺は即答する。

 忘れるはずがない。

 これまで死んだ英雄は欠かさず数えていた。


 戦場に合わせて彼らを蘇らせてきたが、時には失敗をすることもある。

 具体的には戦いで勝利してしまった者だ。

 生き延びた英雄に今後の望みを聞いたところ、俺達と行動を共にしたいという者はいなかった。

 それぞれ独自の目的や理念があるか、協調性に乏しかったのである。

 終戦を迎える前に死にたいという焦燥感も大きい。


 正直に言うなら身勝手だと思う。

 ただ、傭兵団と利害が衝突する者はいなかったので放任している。

 身勝手なのは俺達だって同じことであった。

 下手なことをしないのなら好きにすればいいと思っている。

 再び路頭に迷うことがあれば、また封印してやればいい話だ。


 彼らの大半は現在も死ぬための戦いを続けている。

 名目上は傭兵団に所属し、しっかりと宣伝活動に貢献してくれていた。

 常に位置は捕捉しているため、何か問題があれば急行できる。

 戦場を荒らすことはあっても大戦そのものを破壊するような者はいないはずだ。

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