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錬金術師の傭兵団 ~古強者は死に場所を求めて世界戦争に再臨する~  作者: 結城 からく


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第54話 殻を破るとき④

 睨み合いに伴って殺気が張り詰めていく。

 沈黙を破ったのは国王だった。

 国王は静かに口を開く。


「何用だ」


「刃影国を抜けさせてもらいたい。私は新たな居場所を見つけました。不義理であるのは承知の上です」


 ミハエルが堂々と宣言する。

 声が少し震えているのは、まだ緊張しているからだ。

 国王の発する威圧感に押されている。

 武力の衝突とは違う戦いは不慣れらしい。


 国王は俺を見やると、嘲るように鼻を鳴らした。


「そこの錬金術師の傭兵団に属するのか」


「ええ、そうです。今後は飾りではない真の英雄として生きて参ります」


 ミハエルは決意を表明する。

 国王は暫し黙る。

 やがて足を組み直して見解を述べた。


「貴様の任を解こう。自由に生きるがよい」


「か、感謝致します」


 ミハエルは反射的に一礼する。

 刹那、国王の眼差しに変化が生じた。

 知啓を食い破るようにして現れたのは憤怒と殺意だった。

 国王は冷ややかな口調で宣告する。


「その上で命じる――反逆者はここで死ね」


 直後に護衛が動き出した。

 それぞれが俺達に向けて高速で接近してくる。

 さらに国王は高らかに言う。


「その三人は騎士国から貸し出された者達だ。反逆者ミハエルよ、愚かな選択を後悔させてやろうッ」


 俺は迫る護衛達に注目する。


 中央を疾走するのは藍色の髪の男だ。

 両手にまったく同じ形の剣を握っており、無気力な顔付きとは裏腹に殺気を帯びている。

 腕だけが不自然にゆっくりと揺れることで間合いを取りづらくしている。


 発光する戦斧を掲げるのは筋骨隆々な男だ。

 兜の隙間から覗く目はぎらついている。

 身体強化を全開にして突っ込んでくるのはいいが、視線がなぜか俺に固定されていた。


 二人の後方に続くのはレイピアを持つ女だ。

 片腕には円盾を装着している。

 靴から風魔術の兆しを感じるので、加速や飛行で相手を翻弄するのが得意戦法なのだろう。

 速度を活かした戦いに自信があるようだ。


 二刀流の男がミハエルに斬りかかる。

 ミハエルは呪槍で防御した。

 甲高い金属音が響き渡り、衝撃波が発生する。


 戦斧の男は拮抗する両者のそばを走り抜けると、雄叫びを上げて俺に襲いかかってきた。


「貴様の相手はオイだァッ!」


 渾身の斬撃が叩き込まれる。

 瞬時に展開した結界で遮るも、あっけなく粉々になってしまった。

 圧倒的な破壊力だ。

 即席の守りで凌げるほど甘くないらしい。

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