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錬金術師の傭兵団 ~古強者は死に場所を求めて世界戦争に再臨する~  作者: 結城 からく


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第34話 不埒な来訪者②

 防衛設備の完成から数日が経過した。

 俺達は拠点内で平和に生活をしている。

 傭兵団としての活動を本格的に進められる段階になったので、ここは一旦落ち着くことにしたのだ。

 あまり派手に動きすぎるのも面倒なことになりかねない。

 少し間をあけることで、周辺諸国の反応を窺うのも狙いであった。


 ちなみにブラハは樹海に帰還している。

 正式には傭兵団の所属ではなく、独立した勢力だからだ。

 仲間意識を持って助け合うよりも、自由に開発を進める方が本人に合っているに違いない。

 それでも連絡は取れるようにしており、双方の状況を知れるようにはしている。

 樹海では散発的な小競り合いが発生しているそうだが、今のところブラハに対抗できる戦力は皆無だそうだ。

 よほどのことがない限り、彼の戦力を凌駕する国は現れないものと思われる。


 俺は城内の一室で今後の計画について考える。

 事前に予定から変わった部分に修正を入れつつ、よりよい形を目指して案を出していた。

 そろそろ休憩を取ろうかという時、異変に気付く。


(この反応は……)


 俺が立ち上がったのと同時に部屋の扉が開いた。

 駆け込んできたシュアが端的に報告する。


「敵軍、接近中」


「俺も感知したところだ。防衛準備は万全か」


「問題なし」


「さすがだな。このまま警戒態勢を維持してくれ。俺が出向く」


 部屋を出てシュアと別れる。

 具体的な指示はしていないが、丸投げしても大丈夫だろう。

 拠点内に限定した場合、シュアの能力は他の追随を許さないほどに高い。

 地形操作の面でも俺より強いと言えよう。


 城下街を歩いていると、そばにミザリアが出現した。

 彼女は不思議そうに尋ねてくる。


「朝から騒がしいね。一体どうしたんだい」


「感知できないのか」


「魔力汚染を無視できるのはあんたくらいだよ。それかブラハの改造を受けたシュアだね」


 ミザリアはじとりとした目で言う。

 確かにそうだ。

 あまり気にしていなかったが、魔力汚染とは特殊な環境である。

 そもそも人体に有害であり、その中で正確な感知ができる魔術師は稀だろう。

 さすがのミザリアでも、遠隔の上に魂の一部だけで感じ取るのは不可能なのだ。

 俺だって普段通りの感知精度を安定させるのに三日はかかっている。


 足を止めずに進みながら俺は事実を伝える。


「拠点にどこかの軍が攻めてきたようだ」


「へえ、そいつはまた大胆だねえ。勝ち目なんて無いだろうに」


「上からの命令には逆らえないのが軍であり兵士だ。たとえ無謀だと分かっていてもな」


「いつの時代も難儀だね、本当に」


 ミザリアはこれみよがしに息を洩らす。

 彼女の目には複雑な感情が浮かんでいた。

 なんとなく考えていることは分かる。

 立場は違えど、戦争の醜い部分を散々に見てきたのだ。

 それが繰り返されていることに何とも言えないしこりを感じていた。

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