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錬金術師の傭兵団 ~古強者は死に場所を求めて世界戦争に再臨する~  作者: 結城 からく


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第12話 死霊術師と錬金術師②

 鼻を鳴らしたミザリアが右手の指を僅かに動かす。

 それを合図に三屍神が術を放ってきた。

 先ほどと同程度の攻撃を前に、俺は無刃剣を突き出して迎える。


 三種の属性魔術は、命中する寸前に縮小して俺の体内へと取り込まれた。

 肉体の損傷は一切ない。

 濃密な魔力を糧にした肉体は、かつてないほどに漲っている。

 無刃剣にも満足な量の魔力が充填された。


 ミザリアは過負荷による俺の自滅を狙ったのだろうが、この程度は想定内である。 

 五十年間の修行は伊達ではないのだ。

 上手く調整してやれば、まだまだ吸収することができる。


 その事実を悟ったミザリアは忌々しそうに唇を噛む。


「ふん、厄介な性質だね。魔術師の天敵じゃないか」


「これくらいしないと戦いで負けるからな。当然の措置だ」


 俺は無刃剣を起動させる。

 その名を否定するかのように、黒い魔力の刃が噴き出した。

 刃の表面からは赤や青や緑の光が小さく散っている。

 設計限界を逸脱した力を宿しているためか、力の流れがかなり不安定だ。

 制御を少しでも怠ると暴発しそうだった。

 使い手が俺だから辛うじて成立している形である。


 俺は無刃剣をかざしてミザリアに見せる。


「三屍神の魔力で作った刃だ。お前の術だって叩き斬ることができる」


「……やれるものならやってみな」


 三屍神のうち二体が突進してきた。

 一体はミザリアのそばに控えて護衛役となっている。


 攻撃役の二体が変形し、それぞれ黒い獅子と大蛇になった。

 音もなく左右から挟み込むようにして迫ってくる。


 俺は横薙ぎに無刃剣を振るった。

 大蛇はするりと斬撃を躱した。

 獅子は胴体を切り裂かれながらも速度を緩めずに駆ける。

 アンデッドなので痛覚は働いておらず、生半可な攻撃では怯ませることができないのだ。


 俺は後方へ飛び退きながら、地形操作で壁を作る。

 ところが獅子の激突で木っ端微塵にされ、合間を縫って進んできた大蛇が肩に噛み付いてきた。

 すぐに無刃剣で切り裂いて逃れるも、傷口はぐずぐずに腐って骨が露出している。


 俺は傷を観察して何が起こったかを分析する。


(死霊術による腐蝕か)


 魔力吸収でこれ以上の悪化は防げるが、直接打ち込まれるので噛まれた直後に無効化するのは厳しい。

 俺の能力の特性を理解し、さっそく対策を取ってきたわけだ。

 やはり大戦時代の英雄は一筋縄ではいかない。


 そこからも獅子と大蛇が果敢に攻め立ててくる。

 見事な連携のせいで反撃する間がない。

 無刃剣で切断しても時間経過で修復するため、戦況を持ち返す好機が一向に訪れなかった。

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