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錬金術師の傭兵団 ~古強者は死に場所を求めて世界戦争に再臨する~  作者: 結城 からく


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第105話 新たな道へ⑥

 しばらく雑談していると、シュアとミハエルとブラハが部屋にやってきた。

 三人が加わったことでやや狭くなり、椅子の数も足りなくなる。

 壁を背に立つミハエルはミザリアに報告する。


「子供達を寝かせてきた。食事の片付けも終わっている」


「助かるよ。あんた達も座りな」


 ミザリアが指を鳴らすと、床の一部が裂けて骨の椅子がせり上がってきた。

 死霊術で固定しているのか、かなり頑丈そうな印象を受ける。

 ご丁寧にも分厚い布を敷いており、座り心地にも配慮されている。


 骨の椅子に躊躇なく座ったブラハは、前のめりになって話しかけてくる。


「アッシュよ。わしの最新兵器はどうだった。まだ性能報告が来ていないが」


「部下に書類を作らせている。概ね好評だそうだ」


「がははははは! 当たり前じゃろう。わしの自信作だからな。そこらの魔導器には負けぬよ」


 ブラハは得意げに笑う。

 ゴーレムになったので表情は読めないが、その心境はよく伝わってくる。

 肉体的な死にも頓着せず、悠々と兵器開発に取り組む様には羨ましさを覚えてしまいそうになる。

 何時でも楽しむ心を忘れないブラハの姿勢は見習うべきなのだろう。


 一方、ミザリアはミハエルの装備に注目する。


「呪槍もだいぶ育ったね。使いこなせているのかい?」


「問題ない。よく身体に馴染んでいる。今ならお前のアンデッドにも負けないだろう」


「ほう……言ってくれるじゃないか。若造があまり増長するもんじゃないよ。後悔することになるからねえ」


 両者の間で殺気が衝突する。

 もちろん本気ではないものの、気を抜ける代物でもなかった。

 俺はため息を吐いて仲裁を試みる。


「喧嘩はよそでやってくれ」


 二人はそれで殺気を鎮めた。

 続けて俺はミハエルに指摘する。


「最近は新兵に出番を譲っているらしいな。それで悶々としているんじゃないか」


「……否定できない」


 ミハエルは下を向いて答える。

 彼の手足同然である呪槍は、静かに脈動を繰り返していた。

 巡る魔力は新たな獲物を求めている。

 適切に制御しておかねば無差別に生物を襲いかねない状態であった。


「ミザリアも殺し合いを欲するなら戦場に出ればいい。たまには運動すべきだろう」


「まあ考えておくよ。死霊術が鈍っちゃ困るからね」


 皮肉っぽく笑うミザリアは、肩をすくめて呟いた。

 修道院を経営する彼女は隠居した身だ。

 実戦から離れて久しいが、その実力は微塵も損なわれていない。

 かつて大戦で猛威を振るった死霊術師として、未だに肩を並べる者はいないほどである。

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