第7話 いざ冒険者ギルドへ
やっと土曜日になったので祐樹は電車とバスに乗って東京駅周辺の土地を買い取って作られた冒険者ギルドに来ていた。ここに作られた理由は東京駅のダンジョンは人の出入りが多かったことで日本一番巨大なダンジョンとなってしまったと予想されている。そんな、東京駅に異変が生じた場合、直ぐ対応するためにこの冒険者ギルドは周辺を国の所有地としてしまったのだ。
「結構沢山の人が冒険者になろうとしているんだな」
祐樹の視界に入る人を見ると自分と同じぐらいの学生と思わしき人やおじさん、女の子のグループまで多種多様な人がそこにはいた。祐樹はそんな人混みをかき分けて冒険者ギルドの受付に向かう。こういう時ギルドの受付は美人だと言うのが定番だが普通におじさんだった。
「冒険者ギルドへようこそ。本日はどのようなご用件でしょうか?」
「冒険者になるための試験を受けたいんですけど」
「試験の受験ですね。では、こちらの用紙に住所と生年月日をご記入してください。講習は10時から本館の3階3-13講義室で行うのでそちらに移動して下さい。そして、用紙は試験時に回収いたしますので無くさずにお持ちください」
「ありがとうございます」
講義は4時間あったのでまとめてしまうとこういうことだった。
・ダンジョンで怪我、死亡しても自己責任であること。
・魔物を一体でも倒せばステータスが見ることが可能になる。
・スキルはその人によって違っており、レアなスキルを持っている人もいれば、逆に一つも持っていない人もいる。だが、スキルの書と呼ばれる本があり本を開いた人がそのスキルを習得することができるそうだ。
・ダンジョンで入手したアイテムは自分で保管するもよし、ギルドで売るのも自由に選んで大丈夫らしい。ただし、転売は禁止。摘発されると最大で懲役50年、冒険者資格の永久剥奪という重い罰が科せられる。
・上から順にS→A→B→C→D→E→Fランク制を導入しており、試験官と1対1で模擬戦をして実力を証明出来れば昇格することができる。ランクがC以上になると特典があり、買い物をするときの割引、買い取り価格の上乗せ、一定額の補助金を毎月支給される。その見返りとしてCランク以上は国の危機にかかわるような緊急性の高い依頼を拒否することは出来ない。
・ダンジョンコアの破壊を原則禁止。
・力を悪用して犯罪を犯せば現行法の定める3~5倍の刑罰が科されるうえに、冒険者としての資格が永久に剥奪される。
講習を受けた後は前述の内容を問う90点以上で合格のマークシートによるテストが行われた。最終的に祐樹は100点で試験を通過して見事、ギルドカードとバッジを手に入れることが出来た。
ギルドカードは運転免許証と似たようなカードで右側に顔写真、左側の有効期限の下にランクが記されていた。バッジは剣が2本クロスしたカッコいいものだった。
「よし、これで正式にダンジョンに入ることができるようになったから、装備品でも買いに行こうかな」
祐樹はギルドの5階にあるショップに移動した。防具を扱うお店、武器を扱うお店、ダンジョン産のアイテムを販売するお店、薬を取り扱うお店を見た祐樹は日本にこんな日が来るなんてと感動していた。お目当ての防具を取り扱うお店に入ると初心者セットを発見した。
「初心者セットなんてあるんだ。えっと、オークの皮鎧、鉄剣、リュック、ランタン、下級ポーション2本、非常食(缶詰5つ)のセットで10000円か。オークの皮って防御力高いのかな?」
オークの皮を信頼しても良いのか分からない祐樹は店員さんを呼んで聞いてみた。
「すいません。この皮鎧って丈夫なんですか?」
「初心者セットに入っている皮鎧は多少の衝撃を和らげ、包丁程度の刃物では切れないぐらい頑丈なんですが、剣や弓などの攻撃を受けてしまうと防ぐことが出来ません。下級ポーションは飲んでご使用ください。小さい傷であれば直ぐに治ります」
店員さん曰く初心者セットがあれば間違いなしだそうなので、今日はこれを買って家に帰ることにした。ダンジョンの攻略は明日にする。