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地味な彼女の高校生日記  作者: ぼっぼい
1/4

全巻コンプリート

~女子生徒Aの高校生活リポート~


彼女(以下、仮にAとする)は小さい頃から大人しかった

高校生になってもそれはあい変わらずだった


彼女は特にスポーツや芸事はやっておらず、熱中する趣味もなさそう・・と周囲には見られていたが、実は人知れず少数(約3名)のホラー漫画家の事をこよなく愛好しており、それら作家の作品を初期から最新まですべて買い揃えて本棚に綺麗に並べて毎日愛でまわしていたいという強い願望を密かに持っていた・・が、彼女には金が無かった

家は貧しいわけではなかったが親の方針により小遣いは月500円で、親に強くおねだりしたり学校に黙ってバイトをする類の行動力はなかった

なので「大人になるまで我慢」することにしていた


高校1年の秋、所在無さを解消出来るかと、同級生が誘ってくれていたとある運動部に思い切って入部した


性格もさることながら運動も得意そうではなく「どうせすぐ辞めるだろう」と噂された・・が、生来の真面目さもあって思いの他溶け込む事ができた

しかし学年が上がり2年になってしばらくすると部内のいざこざに巻き込まれて結局1年経たずに辞めるはめになった


それからは「とりあえず、出来るだけ良い大学に行こう」と勉強に励んだ


彼女は毎月500円の小遣いをほぼ使わず貯め続けていて、高2の初夏ごろ、それは6,000円になっていた

その金で、高校近くのリサイクルショップで中古の自転車を買い、これまでの電車&バスでの通学から、こっそり片道約25kmの自転車通学に切り替えた

自転車は高校の駐輪場、および家の近くの公園に停め、浮いた交通費は懐に入れた

彼女はたちまち毎月10,000円近い自由に使える大(?)金を手にするようになった・・


チャリンコの機動力、

月に10,000円の資金力、

10ヶ月程続けた運動部生活とその後の毎朝欠かさぬ往復50kmのママチャリ爆走により向上した体力(および体格)、

順調に伸びる学業の成績


それらは心にいくばくかの自信と余裕をもたらし、彼女を少し明るく、社交的にした


また高3の初夏、「大人になるまで我慢」と一度は諦めたホラー漫画のコンプリートも、金銭的に余裕が出来たのに加え、下校時に自転車であちこち古本屋巡りをした事も功を奏して早々に達成する事が出来た


「いざ揃えてしまうと案外何の事っちゃないな・・」と寂しさを感じたが、

「これで次に進めるぞ」的な解放感も感じた


自分の生活にささやかな充実感があらわれてきたような気がした

そして希望と、その希望がかりそめであったらどうしよう?という一抹の不安を彼女は覚えたのだった

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