ペアレンツホーム
初めてなので多めに見てください。
8月に入り、お盆が近づくと人々は次から次へと駅へ向かっていた。僕も例に漏れずその波に乗っていた。リュックサックに何日かの着替えと土産を詰め、家の鍵を閉め、駅へ向かい、新幹線の切符を購入した。
その車内には実にたくさんの人がいた。家族連れ(子供ははしゃぎすぎて母親に注意されていた)、カップル、若い男女(僕と同じように1人だった)、四十過ぎの男、それらはまるで遊園地のようだった。
僕は指定のシートに座った。僕のシートの隣に座ったのは二十過ぎの若い女性だった。その女性は美人とは言い難いが、おおよその男には好かれるであろうといった感じだった。僕は何故か緊張してしまい、手汗をかいてしまったのでズボンでその汗を拭った。そうこうしているうちに、新幹線は発車した。外の景色は次第に変化していった。最初は鼠色だった景色が青、緑、黄緑と、徐々にその色を増やしていった。時々鼠色が混じった。
目的の駅に到着し、僕はそこで大きく深呼吸をした。空気は美味くなかった。もう昔のように田舎とは呼べなくなってしまったということなのだろうか。
駅から家までの道は昔とはずいぶん変わっていた。僕が最後にこの道を通った時、ここには田んぼしか無かった。しかし今はその影すら見えない。あるのはアパートが何棟かとコンビニだけだった。しばらく歩くと家に着いた。ここだけは、まるで時間が停止したかのように何も変わっていなかった。僕は少しほっとした。
「ただいま」
何気ないただの挨拶のはずなのに、まるで母親のお腹の中のような温かみを含んでいた。
「おかえり」
その挨拶を聞いた瞬間思わず涙がこぼれ出そうになり、僕は慌てて二階の自分の部屋に荷物を置きに行った。
これから頑張ります