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宅間裕司という男とディブクという悪魔

「あんなの覚えられるわけがなかったのよ!何考えてんの!?」

『お前がやるって言ったんだよ!』


「はじめは誰でもシェークスピアからって言うのになんで先生は

こんなキモタクの脚本やらせたんだろうな!?あーわかんね」

『お前らだってノリノリだったじゃないか!』


「いちいち注文つけてんじゃねーよ!キモタクのくせに!

お前がガチャガチャ言ったせいで大恥かいたんだぞ!」

『練習時間はあったのにお前がろくに部活にも出てこなかったくせに』


「あのキモタクなんで勝手にアツくなっちゃってんの?

ただの部活じゃん。本当にキモいなキモタク」


「全部キモタクのせいだ!」


「あんな奴やめればいいのに」


「妹とは大違いだな。きっとあれだ。

優れた部分だけ紗栄子ちゃんが取って

キモい部分をあいつにおしつけられたんだ。哀れなやつ。

死ねばいいのに」

『・・・ちくしょう』


「先輩!絶対一緒に映画祭の赤絨毯歩きましょう!!

先輩の想像は絶対活きます!!」

『嫌だよ!なんだよこいつは!針生戸?・・・』


「お兄ちゃん、針生戸君演劇部に入るって。戻っておいでよ」


「お兄ちゃん、針生戸君の作った台本読んでくれた?・・・」


「裕司、お前の高校の演劇部、市のコンクールで入賞したそうじゃないか。

お前も続けてればなぁ・・・」


『映一、お前の芝居なんか見ねえよ。俺の居場所を盗みやがって・・・。

どうせ紗栄子押しのありきたりな話なんだろ・・・。俺のなんかな、

・・・難しい芝居になるのはわかってた。

立ち上げたばかりの高校の演劇でやることじゃない。でも、

先生や友達だったヤツらも応援してくれた。なのに・・・。

もっと真面目に練習してくれてれば・・・

もっと熱意を持って練習してくれれば・・・

「「先輩!」」


「うるさい!!!!』」


狭い部屋に男の声が響いた。ほの暗い空間にカチコチと

時計の音が聞こえている。男はゆっくりと体を起こす。

ぼーっとする頭。そして一言。

「夢か」

部屋の外から足音が近づいてくる。

ドアで止まりノックとともに声が聞こえる。

「おにいちゃん?起きた?どうしたの?」

「あ、ああなんでもない」

「そう、ご飯もうすぐだよ」

ドアから離れる足音。部屋の外から雀の鳴き声も聞こえていた。

男は頭を右に向ける。乱雑に積まれた箱の塊の奥にかかった時計が見える。

部屋の暗さに慣れた男の目が時計から時刻を読み取る。

「6時・・・」

男はゆっくりと足をベッドから下ろす。

『早起きとは珍しいな。飯に降りるのか?』

男だけに聞こえる声。

「そんなんじゃない。起きるだけだ」

『ふ~ん、でもいつもはギリギリまで寝てるじゃないか。ん~?』

茶化すような口調で声は続く。

『うなされてたな。あいつのせいで』

「・・・。」

ベッドから降りて重い体をドアへと向ける。

『二つ目の願いさぁ。あいつを殺して演劇部に戻してやろうか?』

ノブに手をかけて開いたドアをまた閉める。

「あんな場所もう戻りたくねぇよ!それにそれだとあいつ殺すのと

演劇部に戻るのと二つになっちゃうじゃないか」

『アハっ!バレた?・・・って訳でもないんだよな~・・・。』

言葉に引っかかった男は足を机に向けて椅子に座って心で言った。

『どういうことだ?出てこいディブク』

男の頭から黒いもやが煙のように濃くなり人の形を作っていった。

煙のような影のような塊は見えない口で言う。

ディブク『お前まだ演劇に未練があるんだろ?

アイドル候補の妹のおっかけでオタク装っちゃいるが・・・

俺に嘘は付けねーよ。お前は妹に偏愛を向けることで

現実から逃げようとしているだけ。本当に偏愛を向けるなら

身内なんだから手軽く襲っちまえばいい!しかもオレ(悪魔)がいるのに。

俺に言えば簡単にあの女を奴隷にしてやれるのに・・・。

決めちゃぁどうだ?未練を断ち切って妹を奴隷にするか』

「おい!」

思わず声に出る男

『・・・演劇部に戻るか・・・。俺はお前の偏愛によって

現世に呼び出された。狂おしいほど偏った愛にな。

・・・嬉しかったねぇ~!現世に出れるなんて

天文学的な確率だからな!しかもまさか俺を呼んだのが

お前みたいな子供なんだからびっくりしたぜ』

「・・・。」

男は黙っている。

『ところがだ・・・俺を呼んでもお前はたいして願いを叶えようとしない。

おかしいだろ!?悪魔の力を借りてでも!悪魔に魂を売ってでも

叶えたい野心や夢を持ってる人間なんざ星の数ほどいる!

お前は奇跡的に俺を魔界から引っ張り上げるほどの偏愛で

俺を現世に呼んだんだぞ!妹を自分のモノにしたいんだろ!?

自分だけのモノにしたいんだろ!?・・・なのに叶えた一つ目が

「いじめられないようにしてくれ」だったな。

あの情欲の力はなんだったんだろな~?まぁ、願いを一つ言った。

そして叶えた。この時点で俺との契約は結んだことになる。

お前は自分の魂と引き換えに俺が叶える三つの願いの契約を結んだ。

もう逃げられはしないんだ。それとも・・・やっぱ・・・

脚本家になりたいのか?』

「え?」

男が驚く。

影の塊が笑ったような気がした。

『ふふっ俺はお前の心につながっってるんだぞ?

それくらい気がつくに決まってるだろう』

と得意に言う影。

『まぁ本当はこいつの深層に開けられなかった意識があったが

カイン達と会ってあの針生戸とかいう奴との結びつきから

カマをかけただけだけどな。

開けられなかった深層意識の周りに妹の負ではないイメージ、

針生戸という男のイメージが強くあった。針生戸は演劇部で

名監督と言われ期待されてる男。裕司のあとを引き継いだと聞いた。

裕司の後と聞いて最初いじめられたが簡単なエチュードだの

基本的な演劇をやりながら目上ばかりの演劇部の中で指導できる立場を

作っていったというすげえガキだ。

去年の演劇コンクールでは市の優秀賞とかいうのを受けたらしい。

しかもその時の脚本は・・・』

影は男の動揺を誘った事に内心でいきさつを思いふけっていたが、

「別に俺はもう脚本なんか興味ねぇよ!でも、俺がいなくなって

針生戸のガキが調子に乗ってるっていうのも許せない!

俺が演劇部を辞めたら部自体がなくなった。いい気味だと思ったら

途端にいじめられた。俺は真面目に演劇に向かいあってたのに、

あいつら舞台に上がりたいだの目立ちたいだのだけでやりやがって!

ろくに練習しないのにいざ本番になったらアガり倒してめちゃくちゃで!

終わったらそれを全部俺のせいにしやがって・・・!

先生はフォローしてくれたが・・・結局廃部。

でも気づいたら演劇部が出来てた。

針生戸とかいう一年がまた作ったと聞いた。誰か知らなかったが

あいつが勝手に俺を演劇部に誘ってきた!嬉しかったけど以前の連中もいて

そいつらの目や態度が痛かった・・・だからやめたんだ!

そもそも今演劇部があるのはあいつの力じゃない!

妹の演劇部の写真を誰かが盗撮してそれを投稿した雑誌から

問い合わせが来た!そして紗栄子がチヤホヤされて演劇部も

人気になったんだ!

あいつがどんな芝居作ったのかなんて興味もない。でも紗栄子のおかげで

今の演劇部があるのにあいつが調子に乗ってるのは許せない!」


『きた!』


「ディブク、あいつを、針生戸を殺してくれ!」

男は長く喋ってはいたがそのトーンはかなり低くどんなに熱くなっても

大声に出ることはなかった。しかし何年ぶりなのだろう。

自分の言いたいことを直接言葉として出した事で男の表情はどことなく

清々しかった。


『それが二つ目の願いでいいか?よく考えろよ?』


影はわざと男に猶予を与えてやる。気持ちの爆発からの欲求で

契約を満了させるのは簡単だ。だが悪魔は、カインも殺そうと、

余計な欲をこの時から持ち始めたのである。


『それにその願いは別にお前が願わなくともな、実は

近いうちに叶っちゃうんだよ。サービスだぞ~?教えてやるのは』


「え?」


『実はな・・・』



                        続く。


久しぶりの更新です。今回は何かしらの説明っぽいですね。

もっと文章力つけないと。誤字脱字おまだまだ多い。

難しいですが、自分の想像をカタチにするのって楽しいです。

よかったら読んでください。

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