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アイテムボックスしか使えない俺が異世界最強になった話  作者: スリーキャッスル
プロローグ 〜其の者異界の地に降り立ちて…
2/4

第2話 暗闇の救世主 〜ケーキがむぎゅ‼︎

説明回です。

前回までの経緯を描いた物語になります。

あと、ユーキとリリーナはその呼び方に慣れるために普段からそう呼び合っているという設定です。

さて、とりあえず意味不明な現状を大体は理解したつもりになれた。


ここは異世界で、俺たちはなぜかそこにいてそして無一文なにも持っていない。


「やばいな…。詰んでる。」

「ねぇユーキ、私たちって転生なのかな?それとも転移なのかな?」



それがどういう違いがあるんだろう?

「もし転生だったら俺たちはどうなるんだ?」


「これが転生なら地球には戻れないと思うよ。だって転生って一度死んで生まれ変わったってことだもん。」


「転移ならどうなんだ?」


「転移ならまだ救いがありそうだけどね〜。そっちなら何かの拍子に飛ばされたとかだから。帰る方法があ?かは別問題なんだけど…」


なるほど。

だけど今の俺たちにはこれが異世界転生か異世界転移かなんて分かるはずがない。


「お前やけに詳しいんだな。」


「まあね〜。そういうアニメとか小説とか読んでたから。……!!あっ、どうしよう!この世界にはスマホもパソコンもないから小説が読めないしアニメも見れない!」

「うわっほんとだ!俺のpubcのランキングが!」

「ユーキはpubcに命をかけてたからね〜」

「本当にそうだよ。せっかく30連でドン勝つしてたのに…」


「あっ、ポケットにスマホ入ってた!」

「おっ。本当だ。けどネットが繋がってないぞ。」

ネットのないスマホなんてただの箱じゃないか‼︎


「あはは。異世界にきて真っ先に嘆くことがそれ?」

「お前もな!」

「家族の心配とかあるんじゃない?」


いや、特にないな…

あんまりいい思い出がない。

というかあんまり思い出したくないな。


「リリーナこそ大丈夫なのか?」

「私は…まあ心配かけているだろうし、家族にべったりなとこあったからけつこうつらいかな。」


いつものように振舞ってはいたが、やはり辛いのだろう。声が少し沈んでいる。


「でもさ、ここでうじうじしてても、食べ物は手に入らないしお金も手に入らないと思うんだ。だからさ、ユーキ、これからもよろしく。」


「おう任せとけ。こっちこそよろしくな!」


なんか、よく話しているリリーナが相手でも、女子にこんなに頼られるってのはドキドキするな。


「とりあえず、俺たちがひとまず目指すのはこの世界での生存だ。帰る方法は余裕ができてからでいいんじゃないかと思うんだけどどうだろう?」


「いいんじゃない?で、まずどうするの?身元不明の無職、財産なしっていう詰みゲーなんだけどね。」


「どこかローノンとかマクドノルドとかのアルバイトを見つけようか。」


「地球かよ!?異世界にローノンもマクドノルドもないよ。」


ですよね〜

あーあ、考えたくもない。

身元不明の俺たちを雇ってくれるところなんてあるわけないじゃないか。


「でもさ、異世界モノの小説の流れだと、冒険者になるっていう選択肢も多かったよ。」


「それだ!さっきの冒険者さんに話して少し助けてもらおう!」


「お〜。他人のすねをかじるわけだウッシッシ。」

「確かカルネール地区にあるんだっけか。」



そうして、俺たちはカルネール地区へと向かった。

その途中でいくつかのことに気づいた。


まず言葉だが、ここの人は地球とは全く異なる言葉をしゃべっている。しかしなぜか俺はその意味を理解できるし意識していなければ違和感が全くないレベルで会話することができる。

日本語で考えていることが自然とこの国の言葉らしきものに置き換わって出てくるのは何か不思議な感覚だった。


また、街を見たところ、よく小説とかであるような獣人はおらず、人間だけのようだ。


俺は何人かに聞きながら冒険者ギルドへとようやくたどり着いた。


「なんかイメージしてたのと違うねー」

「おう、そうだな…」


なんというのだろうか、俺はてっきり、小さな建物の中にカウンターとか掲示板があって…

という感じのものを思い浮かべていたのだが、そこには狭い空間にフードコートのようなテーブルと椅子がたくさん並んでおり、カウンターが部屋の奥にある。

どちらかといえばレストランのようなデザインであった。


「とりあえず…。あの、すいません、ダークトルネードバーンの方は今いらっしゃいますでしょうか?」


ひとまずカウンターへ向かい何かガサゴソやっている職員に声をかける。


「ふほ?はんは?ひはへーひふふへふほほははらほっほはふへふれ!」


顔を上げてこっちをみたのはいかつい顔を真っ白に染め上げたおじさんだった。


「ん〜?どうしたの?あれっ?美味しそうなケーキ!」

「おいこらリリーナ、職員にたかろうとするなよ」

「もーユーキったら。そんなことするわけないじゃん。

ねぇおじさん、そのケーキ美味しそうですね。ギルド長さんには内緒にしておきますから私にもく…フベッ!」


「おいこら。たかってんじゃねーかよ」

とりあえずリリーナの頭にげんこつを落としながら俺は呆れてため息をつく。


「いやいや、気にしないでいいさ。久しぶりのケーキだったのにな…。ちなみにギルド長に言いつけてもらっても構わないぜ?だって俺がギルド長だからな。」


「おいっ!ギルド長が仕事中にケーキかよ?!」

思わず突っ込んでしまった。


顔についていたクリームを拭いたおじさんの目の上には大きな傷跡があり、それがなんとも言えない威圧感を出している。


小さい子が見たらきっと泣き出すよ…


「おう、でなんだ?にいちゃん達はダークトルネードバーンの奴らに用事か?

あいにくついさっき依頼を受けて出て行ったところでな…まあ、2、30分もすれば戻ってくるだろうよ。」


「2、30分って、冒険者の仕事ってそんなに楽なんですか?」


「いや、ちげーよ。あいつらが特殊なだけだ」


「はい!しつもーん!あの人たちってなんかすごい技使えたりするんですか?」


「嬢ちゃんや、初めて見る顔だし、こういうところへ来るのは初めてなんだろうが、俺たち冒険者はそういう相手の戦力に関する話はなるたけしないのがマナーなんだよ。」


「ごめんなさい」


やけに素直だな。

まあ、あんな怖い顔で凄まれたら、そりゃそうなるか。


しばらく大人しくギルドの中で待っていると、やがてダークトルネードバーンの4人が入ってきた。


「お!さっきの兄ちゃんか。どうした?」


「いや、それが倒れている間にお金とかカバンとかを取られたみたいで無一文なんですよ。田舎の方からこっちに出てきたところでどうしようもなくて…」


とりあえずここに来るまでに考えていたストーリーを話してみる。


「そうなのか…まあ大丈夫だ。俺たちでなんとかしてやろう」


やったぜ!


「ブラント、あんたまたそうやって!」

「いいじゃないかレーン。お前だって冒険者になって右も左も分からない時期があっただろ?」

「ったく、ブラントは甘すぎよ。まあいいわ。少しだけな面倒見ても構わないわ。」


なんだか女性陣は反対気味だけど、なんとかなりそうだな。


ちなみにダークトルネードバーンのメンバーは、ブラントさんというらしいがっしりとした男の人の他に、男の人が1人と女の人が2人いるようだ。


「ってことで兄ちゃんの面倒をこれからしばらくみてやろう。俺の名前はブラントってんだ。

こっちのもやしみてーなのがグレイス、この魅力的なお姉さんがルシー、この怒りん坊な控えめさんがレーンだ。」


「どうも、グレイスです。」

「ルシーよ。よろしくねー」

「おいブラント!何が控えめだ?髪の毛焼き焦がすぞ?」


グレイスさんはあんまり冒険者ぽくない細くて色白な男の人だった。


ルシーさんは確かに綺麗だな。


そして…ブラントさん、確かにそうだけど、それは禁句だと思うぞ?


「俺はユーキって言います。よろしくお願いします。こっちはリリーナです。」


「リリーナでーす。よろしくお願いします!」


一通り自己紹介が済んだところでブラントさんはおもむろに、持っていたバックの中から一本の剣を取り出した。


あれ?どうみても剣の入るサイズのバックじゃないぞ?

もしかして4次元ポケット的な?


「よし、それじゃあ兄ちゃんたち、この剣をやるからさっさと今晩の宿泊代でも稼いで来い!」


えっ?


「いやいや、無理ですよ。剣なんて少ししかしたことないし…」


中学校の頃に授業でやっただけだしな。


「いや、お前らでも大丈夫だ。ギルド長、まだ今年の分のミニゴブ討伐残っていたっけか?」


「ああ、まだ数件あるぞ?だけど大丈夫か?駆け出しのやつにそんなんやらして」


「なーに、失敗しても逃げ帰って来りゃあいいだろ。別に死ぬわけでもあるまいし。」


なんと適当な…


そういうことで、俺たちはその後簡単に冒険者登録を済ませたのち、異世界初日にして初のゴブリン討伐依頼を受けることになったのだった。

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