浮気調査なのかい
「ただの友達だったってことはないかな」
「二人は深い仲だったと思うわ。勘だけど」
僕はダムチャンネルに目をやった。聞いたことのない音楽ユニットがどこかで見たことのあるアイドルと楽しげに話していた。「ポウッ」とユニットの一人が言った。その真似をしてアイドルがおどけた格好をしながら「ポウッ」と言って、ユニットの他のメンバーもポウッ、ポウッ、流れに乗っかった。みんなが叫び終わると、お互いに笑って、「ダムチャンネル!」という宣言のような言葉とともに画面がそのユニットのミュージックビデオに切り替わった。
「それから、君はどうしたんだ?」
「男、というより王さんが隣を通った時はバレるんじゃないかと少し不安だった。私は髪を垂らして横顔を隠しながら俯いてた。王さんは気がつくことなく横を通って、お金を払って喫茶店を出て行った。私もすぐに会計をして、店を出た。王さんはちょうど黒い車に乗るところで、王さんが中に入ると、車はすぐに出発してしまった。急いで歩道の脇に立って手を挙げると、何台か見えていたタクシーのうち一台が止まってくれた。急いで乗って、前の方に見える黒い車を追って、と私は言った。すると、『どの黒い車だい?』と年取った白毛の目立つ、髭まで白い運転手が聞いてきたから、王さんの乗ったもの以外にも、二つあることに気がついた。
『一番手前の』
『はあ、あのベンツか。てぇっと何か、お嬢ちゃんは浮気調査か何かでもしてるのかい?』
『なんでわかるんですか?』
『いや、そういう小説を読んだことがあるような気がしてね。ふーん、本当に浮気調査なのかい。こりゃ、責任重大だな』




