表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/3

真夜中

ちょっと後半エロくなります。

でもな………。

ゴ、ゴホッ、ゴホッ、ゲホッ!

口の中が塩辛い………血?だっけ。

記憶がどうも……………あ、そっか。

麻美と泰菜の取り巻きにボコされたんだっけ。

ココハドコ?ワタシハダレ?

あっ、保健室か。な〜んだ、奴らの巣窟かと思った。

「大丈夫ですか?」

保健の先生が聞いてきた。ここでイジメのこと言ったら、もっと酷くなるだろうな。

「ええ、大丈夫です」

「どうしてこんなヒドい怪我をしたの?」

でたーーー!!定番のこのセリフ。あたしも定番に、

「いすひっくり返して自分で当たっただけです」

ベターーー!!超ベタだよ!

「じゃあこの足の傷はどう説明するの?」

保健の先生、笑顔な所が怖いよ。

足を見ると、ナイフでさっくり切ったような傷が、くるぶしから膝にかけてあった。

わ〜〜〜!!グロい!キモぃ!ヤバい!

「なっ、何ででしょうね?私はこんな傷つくった覚えはないんですが…少なくとも意識があるうちは」

「ふーん。いずれにせよ、今は3時間目ですがこの傷では授業は受けられないので、帰りまで保健室ここ

に居てもらいます」

「は〜い」

は、迫力〜。


その後、お昼ご飯も保健室ここで食べたし、授業の予習もした。昼休みになると、保健の先生は近所にある病気の生徒の為の建物の方へ行った。

と、入れ替わりにかみちゃんが入ってきた。

あたしは丁度お気に入りのジャニー○の赤西○の画像を見ている所だった。

「大丈夫?」

「だ〜い丈夫だって、保健の先生にもあんだけ言ったのにまだ言わなきゃいけないの?」

「ごめん、それでもやっぱ心配だからさ………」

「心配してくれたならいいよ」

ちょっとシュンとしてしまったかみちゃんに安心させようと言った。

ほんと、ちょっと言っただけですぐに傷ついてしまう繊細なココロなんだから。

そんなんじゃ、言えないね。


イジメられてるなんて


てゆーか、言うつもり最初っから無かったけど


ねえ、あたしはいつになったら自由になるのかな


束縛はされたくない


「本当は言いたくないんだろ」

顔を上げると、何もかも分かったような顔をしたかみちゃんがじっとこっちを見ていた。

「僕はね、嘘を付いてるとすぐ分かるんだよ。誰のでも、いつでも」

「………嘘だぁ」

「それこそ嘘だね」

……………う〜、何だコイツ─────────。

目を閉じて気持ちを整理する。

いままでもこんなに長い沈黙はあったけど、今回ほどこんなに痛いと感じた事はなかったな。

泣くもんか、屈しちゃいけない、こんな奴なんか今までの学校でも一杯居たのに…

何でだろう………今回の奴は手強い。

目を開けると、それこそ鼻先に奴の顔があった。

普通の女子なら赤面ものだから!!ってか、今あたしも赤くなってるんだけど。

「なッ、何!?」

「好きでこんな事する訳じゃないよ」

「は?何言って……んっ」

いきなり(ホント、いきなり)奴が唇を合わせてきた。

冷たい唇と舌で、口の奥まで探られて変な感じがした。

手で精一杯押しているのに退いてくれない奴は、キスしながら器用に首の後ろを撫で始めた。

「ぁっ、………んっ」

くすぐったいし、すごく気持ちいいけど、なんか嫌な感じがして押しのける力を強くしても、

奴は退いてくれるどころか、益々激しくなった。

保健室いっぱいのキスの音、きっと廊下まで聞こえてるよね。

そんなタイプには見えないんだけどなぁ。

ふと唇を離されると、真っ赤な顔をしたかみちゃんだったけど、どこか淋しそうだった。

「あたしの事……………好きなの?」

すっごい変な質問だと分かってても聴かずにはいられなかった。

「嫌いな人や友達と思っている人にキスなんてすると思う?」

「しないけど………」

じゃあいいじゃん、そう言ってまたキスをしてきた。

保健室いっぱいのキスと学校いっぱいの好きをあたしにくれたのは奴だけだった。


最近、お父さんが家に帰って来なくなった。


お母さんは「また愛人の家に転がり込んでるだけでしょ」


と言っていたが、あたしにはどうも嫌な予感がしてならない。


と、言うのも、この間家の周りをうろついているガラの悪い大人がいるからだった。


付き合うようになってから、イジメは更にエスカレートして行った。

まあ予想済みだったけど。

トイレに入ってた時に上から水が降ってくるとか、机の落書きとか、古典的なんだよ。

水が降ってくるのは傘させばいいし、机の落書きは事前に油塗っとけばいくらかは違うし。

あと日常的にクスクス笑いとか、悪口とか、陰口とか、先生の露骨なえこひいきとか、さすがに停学までは行ってないけど、いつ校長までいくことやら………。

まるであたしがゴキブリみたいじゃない、あんた達だってゴミのくせに。


ゴミは自分が汚いなんて思わない


そこら辺にあるモノなのに、個性を求める


矛盾してないと言い張りつつも心のどこかでそこを突かれるのを恐れている


ヒトなんて、所詮同じような顔をして生まれて来るもの


他人と違う点なんていくらでも見つけれる


逆に言えば同じ点も同じ位見つかるってこと


そんなことも分からないようなあんた達にイジメる資格なんか無いっつーの


かみちゃんと一緒に居るとイジメられ無いと言う事実に気付いたのは結構前だったけど、

実際に利用しようと思ったのは10月の中旬なかば

そん時は髪の毛焼かれようとしてたから、これはヤバいっしょと思って、かみちゃんのトコ

に避難した。

自慢の地毛は無くしたくないからね。


付き合う前から一緒に帰っていたけど、こんなにこの時間が気まずいなんて思わなかったよ。

逆に、この時間が愛しいって思えるようになったらいいな。

ちょっと気を抜いていたら、手を握っていてくれていた。


君が見ているのは誰?


あたしは君の何?


あたしの感情を置き去りにしないでよ


人形ぬいぐるみではないの


翻弄ほんろうするのはなぜ?


あたしには君の感情こころが見えないの


もっと自分を見せてよ


もっと好きにさせてよ


「…………んで」

「ん?」

「………なんであたしなの?かみちゃんがあたしを助けてくれたのはなんで?」

「重そうだったから」

「?」

「背負ったモノが多すぎて重そうだったからさ」

「そんなにつまらないプライドとか、しょい込んだ物なんかないし」

「ほら、打ち明けてみないと。潰れちゃったらもう戻れないよ」

…………………あんたに何が分かるの?

「そんなんなんか無いって言ってるでしょ!!」

ふわっとした物にくるまれたと思ったら、ダークブラウン色のコートの中だった。

「僕じゃ聞かせられない?そんなに深刻な問題こと?」

耳元で囁くように呟く奴の声はちょみっと掠れていて、自分が嫌な事をしているような気分にさせた。

「………………………ダメ?」

「だって逃げたら負けだもの、分かりっこない………」

「…………そんなこと無いかもよ、話してみればす」

「それならあたしじゃなくてあいつ等に言ってよ!!あたしが悪いんなら直すし」

話を遮られてちょっと面食らった様子だったけど、すぐ気を取り直して聞き返す。

「あ、あいつ等って?」

「自分で調べれば?学校にコネいっぱいあるんでしょ?」

あーぁ、最悪

八つ当たりじゃん、これじゃ

カッコ悪っ

ホント、あたしって嫌な奴

あいつ等がイジメるのも分かるな

こんな我儘わがままばっかりのあたしなんか嫌い

思春期とはよく言った物だな

反抗期だよ

彼氏にまで反抗する女子なんて、捨てられるだけ

早く捨ててよ

もうたくさん


愛されるのは嫌じゃない


でも自分が他人ヒトを必要とするのに抵抗が在るだけ


あたしの気持ちは他人ヒトを必要としているのに……………


振り返ってみれば、ほらそこに、るのに……………


ねぇ、信じていいの?


「そうだけど、夜奈の口からじゃないと信じられない」

「……誇張されてるかもよ」

「それでも聞かないと、分からないだろ」

悪戯っぽくニヤッと笑った奴は、天使と悪魔の混血ハーフみたいに見えた。

その瞳に背中を押されたように話し始めた。


────────────────────────────────────。


「……辛かったね」

話し終わって、ぼろぼろ泣いているあたしの髪を優しく撫でているかみちゃんが呟くよに耳元で言ってくれた

その言葉が嬉しくて、話せてホッとして、また涙の雫が溢れてきた。

「言ってくれれば、いつでも助けてあげるから」

「………ウ゛ン゛」


「僕が涙を拭いてあげるから、守ってあげるから」


「…………ありがと、、」

夕方の、昼と夜の光が混じった色に染まる空がとても印象的だった。


この間のお昼休みにトイレに行ったら、はさみと紐とバケツを持った女子どもがいた。

急いでUターンしたけど、やっぱし捕まっちゃった。

やっぱり女子トイレは男子が入らないから都合がいいのかな?

で、その後はお縄にかけられて拷問………じゃなかった、黒ミサ………でもないや。なんだっけ?

あっ、そうそう強制髪切り。いや〜、脳が思い出すのを拒否ったもんで…………。

ガムテープを口に貼ったら準備万端らしい。

「その髪ウザぃんだよ!」

ザクっ、

「髪と一緒に上久保とも別れたらぁ?」

はら…

「ほら、先生からも切れって言われてたから丁度いいでしょ」

ぱらぱら……

「〜〜〜んーー!」

叫んで(そのつもりだったけど実際は↑のような声になった)抵抗したけど、

「黙ってろ!!刺されたい?」

とか言われて、鋏を喉に突きつけられたら誰でも抵抗力無くすでしょ。

っていうか、ちょっと刺さってる!刺さってる!

下手くそ〜〜。

キ〜ンコ〜ンカ〜ンコ〜ン…………

チャイムと同時にそいつ等も撤収していった。

後に残ったあたしは途方に暮れていた。

だってこんなに髪ボサボサで出られるわけ無いじゃない!!

どうしよう…………………(汗

とっ、取り合えず早退しよう……。


その後近所の美容室に行って、髪型をベリーショートにしてもらった。

どうせ奴には隠し通せるなんて思わないけど。

次の日に学校に行ったら、すぐに数人の女子が振り向いてクスクス笑った。

えぇそうですよ、イジメられてんのが可笑しいんでしょうが。

あんた達もイジメられてみればそんな能天気なクスクス笑いなんか出来ないよ。

「おはよう、髪切ってみたんだけどどう?」

さすが、普段はKY(空気読めない)のクセにこういう事だけは空気読めるんだから。

「うん、ベリーショートの方が似合ってると思うよ」

「あんがと(笑」

冷たい目で見られんのはもう慣れっこだし、ヒソヒソ話も日常になってきちゃてる。

そんな時、日溜りにある席はすごく慰めになる………事がある。

その時、

「ちょっといい?」

と、居たって存在感なんか無い女子生徒2人が話し掛けてきた。

「いいけど」

と言って席を立った。

廊下の端の教室からは死角になった場所に付いて行ったら話を切り出された。

「ホントに夢野さんだけイジメに遭ってて可哀想だと思うんだけど、……何も出来なくて」

「あの日に泰菜がクラスの全員を呼び出して、『夢野をイジメないとそいつもイジメる』って言ったから、

それでクラスのほとんどはイジメるって言って、私達も……ホントはイジメたく無いんだけど、イジメられる

のは嫌だから……ほんとゴメ」

「よーするに、あんた達も自分が可愛いんだ。別に一生懸命弁解しなくてもいいよ、もう覚悟は決まってるから」

「そっ、そんなつもりじゃな」

「どうせそんなつもりなんでしょ、ウチには転校して来たばっかだから消すのに丁度良かったんだよね?」

「………………」

「そういう奴らばっかりだからあたしが孤立しなきゃいけないんだよ、分かってる?自分のやってる事」


「あんた達は、自分に関係ないからと言って、1人の人間の存在を、消そうとしている」


「………………」

「まっ、あたし強いし仲間も居るからそう簡単に消されないから」

言い残し、教室に帰っていった。

その後ろ姿を見ながらさっきの女子生徒が呟いた。

「泰菜はその【御命令】に逆らった唯一の人物、上久保もシカトしてるよ」

「それからあの脚の傷、泰菜に命令された雲間が斬ったんだ。包丁で」


そんな事を聞いた帰り道、やっぱりかみちゃんと世間話をしながら歩いていた。

「そういえば、小沢代表が辞めるって話、打ち切りになったみたいだよ」

「へぇ〜、なんで?あんだけ大騒ぎしといて今更………」

「なんか民主党の鳩山幹事長が辞任はやめろって言ったからみたい」

「ふ〜ん、鳩山って小沢に物申せるほど偉かったっけ?」

「幹事長だから言えるんじゃない?」

「あそっか」

そこで会話が終了してなんかちょっと沈黙になった。

考え事は無駄だと分かっても、考えずにはいられなかった。

「ねぇ、もしかしてかみちゃんってイジメられてる?」

すると奴は、にやっと笑って、

「そうだけど全然平気さ、あんなの」

「もしあたしの責でイジメられてるなら………」

「だ〜い丈夫だって、心配しなくてもOKOK」

「でも………んっ!」

公園の街灯の下にさしかかった時、キスをした奴の顔は笑顔と自信に満ちていた。

「前に夜奈も言ったろ、『大丈夫だって何回言わせるの!!』って」

「そ、そうだけど…………」


「オレは大丈夫だから!夜奈を守ってやれる程強いから」


「……初めてオレって言ったよね」

「あ、うんまぁ」

ちょっと照れている奴の顔を下から見上げながらふふっと笑った。

「あたしも大丈夫だよ」

「ほんとかな〜?」

「ほんとだってば!!」

ほの暗い夕闇の空の下、東の方にまたたき始めた星のように明るい笑いを振りまきながらあたし達は帰って行った。


次の日、教室に入ると同時に先生がツカツカと来た。

何かな〜と思っていると、

「夢野さん、ちょっと警察に行ってきてもらいます」

は??

「何でですか?別になんか犯罪をした覚えはないんですが………」

「理由は後で話します」

あちゃ〜、さてはなんか濡れ衣着させられたかな?

まいっか、弁解がんばろー。

「どうかした?」

早速かみちゃん来た。

「なんか訳わかんないけど警察のトコ行くみたい」

「………ッ(絶句)、なにもしてないのに?」

「さぁ、ただの事情聴取であってほしいけどね、あ先生呼んでるからじゃあ行くね」

「気を付けてな」


警察の人に連れて来られたのは薄暗い、窓に鉄格子がはめてある部屋。

ホントに事情聴取なのかな?取調べ室みたい。

「さて、何でここに連れて来られたのか分かるかな?」

ぅざっ、コイツうっざ〜。ちょーし乗ってるな、これは。

「いいえ、全然見当も付きません」

「そうか、じゃあこれは何かな?」

う〜ん、やっぱコイツウザぃわ。

そう思った矢先、あの写真を見た。

青白い手がてのひらを上にして写っている。

その掌には『夢野死ね死ね死ね死ね死ね…』と彫られていた。

「なっ、ナにこレ………ヒドイ………」

しかもその手は手首から下2cmの所で切断・・されていた。

あまりの残虐さにあたしが何も言えないで居るとさっきの警官が、

「その手首は、多分行方不明になっているあなたのお父さんの物だと思われます。何か特徴的な所があった

ら言って下さい」

そんな事急に言われても………、実感が無い。

お父さんが、死んだなんて

お父さんは手の小指に火傷の傷があった。

確かそうだったはず……はたしてそこに火傷それはあった。

「間違いなく私のお父さんの手です」


認めてしまうのは嫌だった


認めなければお父さんは生きていたかも知れないのに………


でもあたしは認めた


あたしがトドメを刺したんだ


もうこれでお父さんは完全に死んだ


生き返ることは無い


そう思っても、


どんなに傷つこうと、


あたしは、何も感じないだろう


だって、自分で精一杯だから…………


他人ヒトになんか構ってる余裕は無いの


踏ん張らないと、次に溺れるのはあたしかもしれない


ふと気が付くと、外はもう昼だった。

「最後にひとつ、その足の傷、同級生にやられたんだって?」

「あ〜、別にそうじゃないです」

笑顔で言い切ったあたしを不審そうに見ていた警官に、

「もう帰っていいですか?」

と聞いた。

「あぁあ、いいよ」


警察署に行った帰り、面倒くさいからもう学校へは行かなかった。

家の近くの自動販売機でココアを買って、飲みながら自分の部屋に入った。

この部屋は家の中で唯一落ち着ける場所。

最近の女の子の部屋らしくピンクでまとめてある。

ネム……ぁふぁぁぁ、ちょっと寝よ。


起きると夕方頃だった。

ヤバ、散らかしたままだった。

片付けよ。

ベッドの上のお菓子の箱をゴミ箱に投げ込んだとき、チャイムが鳴った。

ピィンポ〜ン

ま、間抜けなチャイム………

「はいは〜い、誰ですかぁ〜」

「僕、今日学校来なかったからハイ、明日の予定」

「かみちゃんサンキュゥ、うちに上がってく?」

「あじゃ、おじゃまします」

「どーぞどーぞ、誰も居ないけどね」

リビングに案内してお茶を出したら、警察署での事を全部話した。


──────────────────────────────。


「お父さんが……死んでる??」

「そうみたい、今警察が捜査してるみたいだけど……ウチお母さんはロンドンだし、爺さん達はしょっちゅう

旅行に行ってるし」

「え?じゃあご飯とかはどうしてんの?」

「フツーに自分で作って食べてる」

「さすが…………」

「そーかな?」

「そーだよ、大体イマドキの女子なんて料理なんか出来ない子が多いから、すごいと思うよ」

「へぇ〜、楽勝だと思うけどな。そうだ!ウチの手料理食べる?丁度ご飯時だし」

「まじで!?いいんだ、じゃあ食べてくよ!」

じゃあ作ってくるからその辺で待ってて、と言ってあたしはキッチンに入った。


──────────────────────────────


「お・待・た・せ〜♪得意中の得意、カレーだよん」

「お〜、なんかゴージャスなカレー、結構具沢山だね」

「どうぞ、どうぞ〜♪口に合うかわか」

「おいひぃ!!すっげぇうまいよコレ!」

「ちょっとー、人がせっかく喋ってるのに!」

「ごめん、でもコレすっごい美味しいぜ」

「そぉ、よかった(にこっ)。誰かの為にご飯作るっていいと思うよ」

「おかわり!」

「早っ、はいはい分かりましたよ」

おかわりをしにまたキッチンへ行った。

「全くすごい食欲なんだから………」

ふふっと笑いながらカレーをよそった。

「はーい、お待たせ」

「よっ、待ってました!」

またまた勢いよく食べだす彼をみていると、すごくシアワセな気分になってきた。

小さな子供みたいに食べてる彼が可愛くて、笑みがこぼれた。


「あぁー、おいしかった〜〜。ごちそうさま!」

「おそまつさまでした!」

「いや全然粗末じゃないから」

取り合えず、後でお皿を洗おうと思って流しに水を張って漬けといた。

おいしかったって言ってもらえて良かった。

リビングのソファーに座っているかみちゃんとこに行って、隣にちょこんと座った。

こうして何も言わずに、ただかみちゃんの肩に寄り掛かっているのが一番落ち着く。

「そうだ!歯磨きしていい?」

「いいよ、キッチンの隣に新品の歯ブラシが山ほどあるからそれ使って」

しばらくして洗面所から出てきた彼は、やっぱりあたしの隣に座った。

そして何をするかと思えば、いつは縛っている髪を弄りだした。

「ちょ……なに?いつもこんな事しないじゃん」

すると、

「いいじゃん、可愛いんだから」

「えぇ!?そんな………んぁっ」

横向いた途端、唇を強く吸われた。

肩を抱かれ、舌は口の中で彷徨っているうちにかみちゃんの舌に捕まってからめとられた。

「ぁっ、………はんっ」

声が漏れる。

その濡れた唇を耳に押し当てるから、嫌。

いつもは制服のシャツの第2ボタンまで外しているんだけど、なぜか第3ボタンまで外れていた。

「ぃ…ゃめて……ぁ…」

首筋には無数の唇がなぞっている様な変な感覚がする。

「そっ…、こはダメ……ぁあ!」

開いたシャツの隙間から手が入れられた時はおかしくなりそうな程気持ちよかったけど、反対に理性は

危険だと叫び続けていた。

「か……み、、ちゃ……ぁっ、…ん」

「え?」

少しかすれた、気持ちよさげの楽しんだ声。

「や、……めて……ぁんっく」

「止めれるならとっくの昔にそうしてる」

熱い雫が流れた。

それは頬を伝って奴の手の甲に落ちた。

ハッとして顔をあげたかみちゃんが見たのは今まで一度も泣かなかったあたしが泣く所だった。

「ほん……とに、やめってって、言ったのに……ぅッ」

こんなに派手に泣いたのって小学生以来かな?

「………ごめん、オレ、止まらなくなって…」


謝罪は聞きたくない


ただ、やめて欲しかっただけ


それだけなのに…………


「い…いよ、あたしも……もうちょっと大人になってもいいのにね。ごめん」

「………ごめん」

泣かせちゃったみたい。

【ごめん】

を、言い合いながら、2人してお互いの首に手を回して、泣いていた。

最後にはキスをしながら、許しあった。

二人の道の境になる日だった。


その日から、あたし達はもっと仲良くなった。


どんなに手が冷たい日も、


唇が血を流していても、


手を繋ぎ、


キスをして、


日々を過ごしていた。


同じ繰り返しの日々。

学校クラスではイジメられ、その傷を癒してもらう日々。

その日々も今日でいったん終了の日、冬休みに入る為の終業式。

列に並んでいても紙飛行機は飛んでくるは、酷いときには上靴まで飛んできた。(それも体育教師のくっさい靴)

どうしても我慢できない程でも無かったからほっといた。また教室に戻ると、先生(担任)から通知表を渡された。

数字は以下の通り。

現代国語…3 数学…3 英語…5 科学・物理…4 社会…4 

体育…3 家庭・技術…4 美術…3 音楽…4

個人的には結構うまくいったほうだと思う。

英語5だし。

ちなみに横田&北河はオール1or2、ウチ的に逆にすごいと思う。

狙ったってそんな点数出るわけ無いじゃん。

てかよく受かったね。

かみちゃんはオール4or5、さっすが。

なにも言うことないな、ウン。

その日の帰り、当番の仕事で1人教室に残って掃除をしていた。

そしたら廊下からボソボソと話し声が聞こえた。

「…う中にやれ、いいな?」

「……報酬は?」

「その時に渡す」

「分かった、今日中な」

遠すぎて所々よく聞こえないし、男か女か分からないな〜。

にしても、物騒な話してんじゃない?

あ、掃除掃除。


その後かみちゃんと一緒に帰っていたら、向こうの空がカァっとあかくなった。

「!?火事………?」

「向こうって夜奈の家の方じゃなかったっけ?」

「とにかく行って見る」

走り出すその時も、炎は暮れかけた薄暗い空に大蛇の舌のように不吉に踊っていた。


「そ…………そんな、、、何……で?」

燃えているのは夜奈の家だった。

最近暴走気味です。

ぁ〜〜、もうめちゃくちゃ!!

あ、次で最終話です。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ