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出会う・・・までの時間

泣きだしてからどれくらい時間が経ったのだろう。

ふと、そんな事を思いつき顔を上げて時計をみる・・・


9時を少し過ぎたところ。

布団にもぐりこんで泣きだしてからまだ30分・・・だが、もう涙がでてこない。

仰向けになりながら考える。


やはり『別れる予感』がしていたせいかな・・・?


ふっ…なぜか笑えてきた



「なんかお酒飲みたい・・」



私は如月音色。28歳一人暮らしのOLだ。

会社はこじんまりとしていて人間関係は良好。

大学を卒業してから就職したから勤務歴6年になる。


そして、たったいま付き合って半年の彼氏と別れたところ。

付き合いだしてたったの半年


出会いは合コン


なぜか私に一目ぼれ・・・とやらをしたらし。

「音色ちゃんすっげぇ可愛い!!俺の好みだわ!!」

「絶対、今までに付き合ってきた男以上に大切にするからさ!」

なんて言われて、なかば強引に付き合うことになった

(断っても断ってもしつこかったので根負けしたのだ。)


しかし、彼との付き合いは終始寂しかった。



メールは1日に1回、電話はほとんどしないしかけるのはいつも私から

会うのも月に1回ほどだ。

距離が離れているせいもあったのだが・・・


彼は『俺、ケータイって嫌いなんだよね。ちまちまメール打つの苦手!』

と言って、メールはしてくれないし、電話をすれば

「なにかよう?」


何か用って・・・用がないと電話しちゃだめなのかな?

なんて考えてしまう、そしてとても寂しくなるのだ。

・・・そしていつしか涙がでてくるようになった・・・


「用事はないの・・・寂しくて声が聞きたかっただけ・・・」

震えた声で言うので泣いているのがばれてしまう

「いや・・・泣くなよ」

「うん・・・ごめん・・・・」

「寂しいなら今度あうか?」

「・・・うん、会いたい」

「わかった・・・じゃぁ会おうな。今日はもう切るぞ?」

「・・・・・・・・」


ツーツーツー・・・・


そして・・・また布団かお風呂に入り、一人で泣く


友達には「音色!あんたは寂しがり屋なのよ?その彼はあなたに向いてない」

「もう、いい加減に別れなさい!」など、言われていた。


だが、自分からは別れを切り出せなかった・・・



さ み し か っ た か ら




でも、私は彼にとっては重い彼女でしかないだろう

いや、彼じゃなくてもきっと私を彼女にした人は「重い」と感じるのかもしれない


会おうなといってもはっきりした日にちを言ってきてくれない・・・

しびれを切らせて、今日彼に電話をしたのだ


「なにかよう?」


「うん・・・」


「ん~?なに?」


「・・・いつ会えるの?」


「あ~…まだはっきりとした事いえないわ。ごめん」


「・・・・・・・・・・・・・・・・」


私は少しの間なにも言えなかった


この人は・・・ほんとに私の事が好き・・・なのだろうか?

・・・答えはわかりきっているが

あえて、聞いてみよう


「私の事・・・好き?」


あなたが、どうに答えるかわかってるよ。

でも、どうしても聞きたくなったの・・・・・・・・・・



そして私は30分間泣いていた。


「あ~・・・お酒飲みたい!」

こういう気分の時に飲むお酒を『やけ酒』というのだろう・・・

だが、私は普段お酒は飲まないので家にはなにもない。

コンビニまで行こうか・・・?でもさっきまで泣いてたし目が腫れてるかな?

引き出しから鏡を出して確認してみる。


「ん~・・・・・まぁ、そんなに腫れてないし知り合いにも会わないだろう」


と、言う訳でコンビニに行くことにする。

今は9月の下旬・・・すっごく暑い日が続いていた!なんて思っていたら急に寒くなってきた。

最近、暑い時と寒い時の気温差が激しいから着るものに困る。

私は白いロンTにグレーのパーカーを着て外に出る。


「・・・さむ!なんかもう、気温極端すぎ!」

思わず声がでてしまった。


さて、コンビニまでは歩いて10分ほどだ。

繁華街の先にある。

繁華街と言っても、田舎の方なのであまり賑やかというほどではない。


焼鳥やカレーなど良い香りがしてくる。

「あ~・・・焼き鳥食べたいわぁ。でも一人で居酒屋は嫌だしな。

 コンビニにあったら買って食べよう。」

なんて思いながら歩いていたら、ふと路地に目がいった。


「ん・・・?明り? なにかお店があるの?」


路地にひっそりと、明りのついているお店があった。

今まで気にした事もなかった道だし、お店があったのも知らなかった。


「・・・なんのお店?」


なぜか気になる。

振られたばかりだしちょっとした気分転換もしたいのだろう。

「お店に入る必要はないし、ちょっとだけお店の近くまで行ってみるか・・・。」


と、いうわけでお店まで近づいてみる。


お店はレトロな雰囲気のレンガ調の外壁。木製の重みのある扉。

外壁にはステンレスせいだろうか?看板が貼られていて


「BAR JULY」と彫られている。


「バー・・・こんなところに・・・。」


・・・入ってみたい

そんな衝動にかられ、扉に手をかける。


カランコロン・・・

扉の内側に取り付けられた小さな鉦が鳴る・・・


そして


「いらっしゃいませ、こんばんは」


とても・・・心地よい声が聞こえてきた・・・


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