第5話:レイズ勇者としての旅立ちと想定外のトラブル
睡眠勇者をお手に取って頂きありがとうございます!本作品は基本的に1日3話投稿で7:10、11:10、18:10になっております。それでは、睡眠勇者夢一郎もといはレイズの冒険を読んで頂ければ幸いです!
第5話:レイズ勇者としての旅立ちと想定外のトラブル
「勇者様、そろそろ起きないと間に合わないですよ」
聞き覚えのある声がする。まさかあの夢の続きなのか?そう期待しながらゆっくり目を開ける。
「クラリスメイド長……おはよう。もう着替えたんだね」
「さすがにあの姿で起こすのは色々と誤解を生みそうでしたので」
「お気遣い感謝するよ。さてとこの城での最後の朝食を頂こうかな」
「既にご用意させて頂いております。さぁ、こちらへ」
またクラリスに着替えさせられて、食堂へと向かうとお兄様が座っていた。
「勇者レイズ、これは私からの餞別だ」
と皮袋いっぱいの何かを渡してくれる。重たく、ジャリジャリと音が鳴り、恐らく金貨か?
「お兄様、これは?」
「10万ルドシア分の金貨だ。勇者様ならお分かりだと思うが民間人の平均給与の3年分に匹敵する額だ。これだけあれば当分は苦労しないだろう」
そんな大金を持ったこと自体現実でもなかったため、イマイチピンと来なかったがとにかく大金を貰った以上礼を述べるが常識のはず。
「ありがとうございます。お兄様、こんな大金を頂けるとは……」
「まぁ普段は鎧の内側のポーチに隠しとけ。必要になりそうな分は鎧の表側のポーチに入れておけば多分気付かれない」
朝食を食べる前にもう一度お礼を言ってからパンを口にする。相変わらず小麦の香りと温かいバターのあまじょっぱさは癖になる。もう少しばかりこの城にお世話になりたかったが仕方ない。
そして、いよいよ旅立ちの時が迫り、王宮戦士の方が師団長クラスのかなり立派な鎧を着せてくれて、最初は重たくて姿勢が崩れそうになったがしばらく着てみれば案外慣れそうな感じでもあった。
次は片手剣が渡される。王国剣パラディアと呼ばれるこの剣は鍔と柄は金で出来ており、剣身は……鋼材だろうか。非常に固く、重たい。
城門前でふらつく訳にはいかず、重心を何とか整えながらメイン大階段を降りる。
パラグレス城正門前には多くの国民が集まり、「勇者様万歳!!」と地を揺るがすほど声が北の街まで響きそうなほどだ。
僕も門の前に着く頃には国王陛下に殿下、クラリスメイド長、政府高官達が見送ってくれた。
「皆さん、お世話になりました。必ず魔王を倒してみせます!」
「勇者様に最大級の敬礼!!」
国王陛下がそう叫ぶと周りにいた城の者が一斉に敬礼し、門が開かれる。
「では、行って参ります!」
城外に出た瞬間に国民達の熱いくらいの声援が鳴り響き、一人一人に手を振りながら大陸横断鉄道の駅に向かう。
「えーと、あそこか……デカイな……この時代にこれほどの建築ができるのか」
地図に示された通りの場所には煉瓦で作られた日本の東京駅風の建物があり、まだ朝早いせいか、あるいは勇者様を先に使わせるという礼儀なのか。とりあえず駅に入ると駅長の腕章を着けた駅員さんが血相を変えて走ってくる。
「勇者様!大変申し訳ございません!現在鉄道で不具合が起きてまして……復旧には1週間ほどかかる見込みです……」
「そ、そうですか……それは大変ですね。復旧する前までどこまで列車は来れますか?」
「北の街アルドスまで線路は続いているのでそちらまでなら列車は行けます。実はちょうどアルドスの魔物討伐隊が人員不足らしく、増援を送りたくても列車がこの状態なので大規模な増援が送れません……そこで勇者様に向かっていただけませんか?もちろん足はこちらが手配させます」
勇者として魔王を倒すのは当然だ。だけど人助けも勇者の仕事だし、1週間宿屋でゴロゴロするのも品位に欠けるだろう。
「承知致しました。それで足というのは?」
「緊急連絡用の高速グリフォンです」
グリフォンって言ったか?え、魔物だよね?食われたりしないよね!?
駅長は笛を鳴らすとどこからともなく翼の音と共に猛禽類のような黒い翼と顔つき、そして獅子の身体をしたまさしくモンスターが現れる。
「あの……襲ったりはしないんですよね?」
「もちろんでございます。専門の調教師の訓練を受けているので。それではお乗りください」
駅長と共に足掛けに足を踏み込み、グリフォンの身体に乗る。1度だけ体調が良かった時に馬に乗ったことがあるが、と言っても乗馬体験だがそんなのとは比べ物にならないほど高い視野に、揺れるグリフォン。落ちないことを祈りながら飛び立つと世界大戦期の戦闘機くらいの速さじゃないかと思われるスピードで15分ほどの地獄のフライトの後に銀世界に入り、アルドスの入り口まで着く。
「駅長さん、ありがとうございます。1つお聞きしたいのはこのグリフォンがいればセングラード帝国まで行けたのでは?」
駅長さんはグリフォンの手綱をしっかり握りながら、風音にも負けない声で伝えてくれる。
「実はセングラード帝国まで行こうと思うとグリフォンでも1時間かかるのでグリフォンの調教による理性を超えてしまう可能性があるのと世界中の魔物討伐隊を管理するアルノア世界決戦防衛軍の指示でパラグレス王国の勇者は先にアルドスで慣れさせた方がいいと言うご命令がかかっておりまして……」
なるほど、それもそうだ。僕の夢一郎としての記憶はもちろんの事、レイズの記憶にも魔物と戦った記憶は無い。それなら慣れる方が優先だろう。
風が徐々に冷たくなり、北の街に近づいてるという感覚が湧いてくる。
「ご配慮いただきありがとうございます。大陸横断鉄道の復旧をお待ちしております」
そして雪も鎧を優しく叩き、人生で初めての大雪を目にする。そのまま降下すると銀世界が広がっていた。
「はっ!勇者様のため全力を尽くします!」
そう言うと猛烈な吹雪のような風と共にグリフォンと駅長さんは飛び立つ。
ご拝読ありがとうございます!黒井冥斗です!ご拝読お疲れ様です!1日3話というスケジューリングなので前書きも後書きもテンプレートなのをご容赦ください。
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