第15話:吸血鬼のホテルで出会った真祖の吸血鬼
睡眠勇者をお手に取って頂きありがとうございます!本作品は基本的に1日3話投稿で7:10、11:10、18:10になっております。それでは、睡眠勇者夢一郎もといはレイズの冒険を読んで頂ければ幸いです!
第15話:吸血鬼のホテルで出会った真祖の吸血鬼
セングラート帝国のやや温暖な気候の風を浴びながら、僕は空を仰ぐ。良い太陽だ。
だが、ライラはかなり辛そうに下を向いている。
「どこから向えばいいと思う?」
ライラは白のベレー帽を深く被り、顔を見えづらくさせると一言。
「帝国城警備局」
「ずいぶんと物騒な場所だね。どこにあるの?」
「帝国城の前」
「……ライラ、新しくできてそうな宿屋を探そうか」
「……うん」
ライラは不安なのか僕の手を握りながら体を寄せる。やはりお父様の賄賂疑惑か……
しばらく市場を歩き回ったり、丘に登ったりもしたが宿屋はほとんど増えておらず、夕暮れ時が近付いていた。
「ごめんねライラ。こんなに歩かせて」
「いいんだ……私の……私の責任だから……」
さてとどうしようと思った時に後ろから幼い子の声がする。
「す、すみません!勇者様ご一行でしょうか?!」
振り返ると可愛らしいクマのワッペンが付いたちょっと古めのエプロンドレス姿の少女……なのだが耳がエルフ耳だったり、吸血鬼のようなコウモリの羽の見た目をした体の部位が頭から可愛らしくちょこんと生えてる。
「そうだよ。もしかして宿屋さんだったりする?」
「はい!ヴァルパイアホテルです!実はその……吸血鬼が経営してるホテルという事でお客様がほとんど来なくて……今日誰か泊まっていただかないとホテル免許が取り消しになってしまって……」
吸血鬼の少女は泣き始める。
「大丈夫だよ、僕達もホテルを探してたんだ。案内してもらえるかな?」
すると少女は笑顔を見せて、はい!と元気よく答える。
10分ほど歩くと他の建物よりちょっと立派なくらいの煉瓦と木造の二階建てのホテルに着く。
少女は元気よく扉を開けて第一声をあげる。
「お客様2名ご来泊!」
すると少女と似たような身体的特徴を持つ長身長女性、見た目は20代後半くらいだろうか。
「おかえりなさいませ。2名で400ルドシアになりますがよろしいですか?」
「大丈夫ですよ。食事はつきますか?」
「はい!明日のお昼まで食堂は3回使用できます!温泉もありますよ!」
なるほど。これは贅沢できそうだ。だけど吸血鬼か……
「その……血を吸われたりは……」
「当ホテルの従業員全員にお客様の吸血は厳しく禁じているのでご安心ください。あと吸血鬼でよければ地下の酒場に勇者パーティ希望の吸血鬼の方も何名かいるので宜しければご利用ください」
「ライラもここでいい?」
「あ、あぁ。大丈夫だ」
「では、203号室になります。食事及びご入浴はお客様のご自由なのでごゆっくりお過ごしください」
階段を登り、生き物の気配が無くなるとライラは帽子を外し、一言。
「その……迷惑をかけてすまなかった……」
「ライラのおかげでこんな良いホテルを見つけられたんだ。むしろ僕としては感謝してるよ」
そう言い、203号室と書かれた扉の鍵を開けて中を見ると街を一望できて、キングサイズのベッドが2つ、そしてラジオみたいな機械も置いてある。
「ライラ、あの機械って……」
「ラジオか?私がこの国を出た時にはチャンネルが4局あったが今は……」
ライラはラジオに駆け寄りダイヤルを回すと子供のようにワクワクしながら答えてくれる。
「8局もあるのか!しかも新聞に予定表も書いてあるのか!便利になったなぁ!!」
新聞まであるのか。考えれば当然か、ここまで大きな国だと自然と生まれるだろう。
「ライラはラジオは好き?」
「あぁ!子供の時に勉強や剣術を頑張ったらお父様が好きに聞かせてくれたよ」
ライラの目は輝いており、童心に戻ったような今でも若いが、さらに若く見える。この街に来てからの初めての笑顔に僕の心は落ち着く。
「じゃあライラはラジオ聴いてていいよ。僕はちょっと地下に様子を見てくる」
「大丈夫か?吸血鬼だぞ。私よりも強い者が多いんだ」
ライラは心配そうな表情を見せてくれるが、手元の新聞にも目が行っている。とても楽しみなのだろう。僕はラジオは聞いたことが現実でも無いし、好きに聞かせてあげよう。
「まぁ、勇者の仲間になりたい吸血鬼なら大丈夫でしょう。それにあの子のお父さんが酒場の店長さんみたいだし、血を吸われたら大問題になるから多分大丈夫」
「そうか……悪いな。晩御飯は一緒に食べような」
「もちろん。1、2時間くらいで帰ってくるよ」
地下の酒場まで灯りが灯されており、吸血されないか不安ではあったがそんな心配を吹き飛ばすような張り紙がされていた。
『お客様の血を勝手に吸ったら帝国城公安局と吸血鬼連合治安維持隊に通報します。そして罰金1000万ルドシア頂きます。また魅力等の感覚を狂わせる能力使用時も同様です。』
「凄いな……さて、開けてみるか」
ドアを開くと少し暗めの照明の中にビリヤードを楽しむ吸血鬼やカウンターバーで酔い潰れてる吸血鬼など人間とさして変わらない様子を呈する。
「おっ!お客様!本日はご宿泊ありがとうございます!当店ではノンアルコールのカクテルもありますがいかがですか?」
とやはり酒場の店長はあの子のお父さんらしい。責任関連の状況を考えれば宿の取り壊しになるくらいならこの宿の最高権力者が酒場を見張るのは当然だろう。
「じゃあ、甘くて飲みやすいのをお願いします」
「任せてくれ!今日は疲れたでしょう。軽く栄養ドリンクも入れておくから楽しみにしてな!」
そう言うと酒のラックから3種類ほどのドリンクを取り出し氷と共にシェイクする。
待ってる間に店内を見回すと銀髪長髪に、戦闘とは縁のなさそうオシャレな黒い服装の男性の吸血鬼が声をかけてくる。
「やぁやぁ、勇者レイズ様。お会いできて光栄ですよ〜」
「あ、どうも。失礼ですがお名前は?」
「おっとそうだった、僕はラインハルト・ロード・アスタル魔爵だよ〜よろしくね〜」
そう言うとラインハルトと名乗った吸血鬼は僕の手を熱く握る。気持ちは熱いが、手は冷たい。病院で吸血鬼伝承の本も読んだことがあるが、元々は死者が蘇った存在などと吸血鬼の誕生伝承は地域によって様々だ。この世界ではどうなのだろうか?
「もしかして真祖のような方ですか?」
「あ、気づいちゃった?そうだよ〜真祖十二家の第八位の家の長男だよ。ちなみに職業は武器商人兼吸血魔剣士だね」
吸血魔剣士というと敵の血を吸う事で自らを強化し、ダメージを与える高位職業だと第2王子の記憶にある。そして非常に上位な職業でもあり、仲間になってくれたら心強いことこの上ない。
ご拝読ありがとうございます!黒井冥斗です!ご拝読お疲れ様です!1日3話というスケジューリングなので前書きも後書きもテンプレートなのをご容赦ください。
これからも睡眠勇者をよろしくお願いいたします!レビューや評価も面白ければお気軽にして頂けると励みになります!




