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プー太郎と悪ガキ達

 夕方・・・。

アーケードに灯りが灯る。

どこからともなく少年達が店の前に集まって来る。

店の前の道路は二つのグループに分かれる。

今日の仕事にアブれた路上生活者(プー太郎)と、落ちこぼれた少年達(悪ガキ)である。

道路は少年達の『自転車』と『潰れたダンボール』や『チューハイの空缶』だらけである。

少年達は道路に座り込み、股の間に唾を吐いている。

静子は少年達のその『仕草』が気になり石田さんに、


 「イッちゃん、あの子達、どうしてあんなに唾を吐くのかしら」


石田さんは少年達を見て、


 「あ~、はやりっスよ、ハヤリ(流行)!」

 「ハヤリ? 変なハヤリねえ。・・・どこから来るのかしら、あの子達」

 「あのタオルを頭に被ってるヤツは北中、 隣の茶髪は浅中(浅草)、 銀髪は御中(御徒町)、学ランが南中、 ボウズが二中、 いま裸に成ったヤツが竜中(竜泉)、その他みんな パープー中 っス」


静子は石田さんの説明に関心して、


 「よく知ってるわねえ」

 「常連っスよ、常連。アタシの後輩も居るし」

 「コウハイ? でも、オカ中って御徒町でしょう。よくこんな所まで来るわねえ」

 「アイツ等、機動力があるからどこえでも行きますよ」

 「キドウリョク?」

 「チャリっスよ、チャリ。ママチャリとガキチャリ!」

 「あ~あ、あの自転車ね。でもあれじゃあ通行の妨害に成るわ。ちょっと、イッちゃん! オーナーを起こして来て」

 「オーナーっスか? はい」


暫くして私は売り場に出て来た。


 「ハイ。何か?」

 「何かじゃないわよ。何やってたの?」

 「いや、ちょっとストコンで明日の発注を。難しいねえ。あとで教えてくれる」

 「いいわよ。その前に店の周りを掃除してくれる」


店の周囲を見ると非常に散らかっている。


 「・・・そうだねえ。だいぶ汚れたね」


静子が、


 「ついでに、アノ少年達もね」


私は道路にタムロする少年達を見て、


 「ああ、アレね。今、ああ云うタイプの子が多いねえ。分かった。任せなさい」


私はバックルームに戻り「チリトリとホウキ」 を持って売り場に出て来る。

静子は私をきつい顔で睨んで、


 「アンタ! 叩いたりしたらダメよ」

 「分かってるよ。じゃッ!」


表に出てると、どう云うわけか路上生活者の酔っ払い達が私に応援の掛け声をかけて来る。


 「おう、社長ッ! 頑張れよ。 イロ男ッ! 無理すんなよ。適当にヤレば良いンだ。ここに来て一杯、飲めやッ!」


店内で私を見ている石田さんが心配そうに、


 「オーナー、大丈夫っスかねえ・・・」

 「大丈夫でしょう。そのくらいの事はやってもらわないと」

 「いや、プー太郎達と話し込んじゃたりして」

 「え~え!?」


暫くして私は売り場に戻って来た。

外を眺めて、


 「どお、少しは綺麗に成ったろう」

 「・・・? あの子達まだ居るじゃない」 

 「 あ~あ、あの少年達ね。アレはもうすぐ帰る」

 「帰る?」


静子が店の外を見ていると少年達(悪ガキ)が一人、また一人と居なくなる。


 「ホントウだ。オーナー、何て言ったンすか?」

 「うん? ナ・イ・ショ」

 「へえ、アンタも結構使えるじゃない。用心棒ぐらいなら成れそうね」

 「何言ってるんだよ。僕は元秘書だったんだぞ」

 「今は私の秘書じゃない」


石田さんは驚いて、


 「ええッ! 教授って秘書もやってたんスか?」

 「うん? うん。そんな事より事務所の中、ハエだらけだぞ。あれじゃ恐ろしくて眠れやしない」


静子がキツイ顔で私を睨む。


 「眠る? あッ、そうだ! 殺虫剤」

 「殺虫剤? そんな問題じゃないと思うけどねえ・・・」


石田さんはひつこく私に迫って来る。


 「オーナー、オーナーは秘書だったんスか? 教授で秘書ッ! 格好良い。でも、ちょっと変わってますね。探偵なら分かるけど、秘書? 何でこんなトコに来たんスか? どこの会社で秘書やってたんスか? 秘書って普通、女っスよね? 男の秘書? 何かエッチぽいスね」


私はうるさく付きまとう石田さんに、


 「いいから、石田さんは仕事して下さい!」 


静子は石田さんを見て、


 「イッちゃん! 売り場に殺虫剤置いて有るわよね」

 「ありますよ。どうするんスか?」

 「事務所のハエを皆殺しにするの。何か多くない? この店」

 「ハエっスか? そうっスか?・・・」

 「あ、それからさっき大石さんから電話が有って、夕方の五時から店内の配線工事に来るんですって」

 「夕方の五時?・・・もう直ぐじゃないか。忙しく成る時間じゃないの」

 「天井の蓋を開けて管の中に線を通すだけだから直ぐに終わるって言ってたけど」

 「あ~あ、それだけ」


と、そこに軽ワゴン車が店の前に停まる。


 「・・・? アレじゃない」

 「え? ちょっと早くない?」

 「早い方が良いわよ。お客サンの邪魔にもならないし」


静子は石田さんのさっき言いそびれた言葉を思い出し、


 「ああ、そうだ。イッちゃん。さっき言ってたお昼の弁当の万引き件。それがどうしたの?」

 「あッ! いや、何でもないっス」


私は驚いて石田さんを睨んだ。

                          つづく

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