カラズ攻防戦(4)
前回のあらすじ)フィシアの作戦成功。敵と全面衝突。
最近短くてすみません。
〖フィシア視点〗
トルネード。ライトニング。
竜巻を作り出し、さらにそこに雷を落として、帯電する竜巻にする。
「攻撃来るっ――」
「ぐっ――」
「飛び降りろ。巻き込まれたら死ぬぞ!!」
敵の援軍はたぶん精鋭なんだと思う。
予想以上にぶつけられなかった。
それに、この魔法を打ち消そうと攻撃してくる人も少ない。もし、攻撃してくれていたらさらに勢いが強まっていた。属性も増える。
逃げるために飛ぶ人も少ない。かなり強い風が周りに吹くから、いい判断。
敵は、次々と階段から飛び降りていく。
「でも、それは読めてる。」
グラビティ。
下向きに重力を増大させる。
「なっ!」
「くそっ!」
半数ぐらいが下に落下して潰れていて、残り半数は何とか耐えようとしている。
「とどめ。」
天から降る光の槍。
上空から光が降って来る。
だけどそれは途中で横からの激流に飲み込まれた。
え?
「君か。盗賊をテレポートさせたのは。」
セーブリングが発動した。
ガキィン!
「へぇ、魔道具。セーブリングだったけ?」
テレポートして距離を取ってから振り返った。
声は女。獺族。短い髪。
魔王の家臣!!
♢
「フィシア。ちなみにカラズにいる魔王の家臣のことは知ってる?」
「魔王の家臣?」
私は首を傾げた。
「そう、魔王の家臣。」
「知らない。」
「名前はレイ。獺族で短い髪が特徴的な女よ。水属性の魔法使いなのに、近距離戦を最も得意としているわ。」
「そうなんだ。」
水魔法なのに近距離・・・珍しい。
水魔法に限らず、魔法は基本的に遠距離。魔法が自分に当たって消滅しないようにするためと、そもそも遠距離で倒せるならそっちの方が安全だからだ。
それに、魔法使いは魔法の練習をしないといけないから、剣とかの練習をする時間はない。
「まず会ったら、逃げたほうがいいわね。少なくとも一人では勝てない。」
「そんなに強い?」
「ええ。そうね・・・魔法の質というより・・・」
「量の暴力。水の狂戦士。」
♢
「しっかし、すごくたくさん属性を持ってるんだね。いくつあるの?」
「・・・。」
「答える気はない、か。まあそりゃそうだよね。じゃあ、いくよ。」
!! 速い!
一瞬で目の前まで距離を詰められた。
ライトニングウォール。
雷の壁を何とか作り出す。
だけど、水の激流がレイの右手から放たれた。
・・・っ!防ぎきれない!
ライトニングウォールを突き抜けて、水が再びセーブリングの障壁に当たった。
まただ。
また、守られた。
「あれ?あー。」
ここで、レイが何かに気づいたようで、攻撃の手が止まった。
「君の頭のそれ、隷属の輪でしょ?なるほどねー。さすが盗賊。ひどいことするなぁ。あれ、でもそうなるとおかしいな。」
レイは何かに引っかかったようで、頭を押さえている。
何が?
「だって、君。複数属性持ちでしょ?それで真っ当な生まれだったらあの人にも連絡がいっているはずだし、僕にも知らされるはず。たぶん軍にスカウトされる。だから盗賊の間で生まれて、ある程度成長したから初陣に来たのかと思っていたけど、隷属されられているということはそうじゃない。」
!!
ここまで来て、ようやくレイが言いたいのか分かった。
「そして君は虫人だ。この世界では珍しい。というか、もともとはいない種族。となると・・・」
「君は家臣だな?」
・・・まずい。
「うん、君のその反応からして当たりかな。でも、僕は君を知らない。騎士団の隊長あたりに新しい家臣ができたか、あとは・・・あー、あれか。」
「魔人の家臣。」
「あっ、あと、帝国側の可能性もあるか。最近そっち側にこの盗賊行ってたらしいし。・・・ううん。やっぱないね。勇者とか皇帝には人間の家臣しか付かないし。」
・・・ん?琉斗って勇者じゃなかった?
「まあ、とにかく。その隷属の輪を壊してあげないとね。」
家臣だとばれてしまった。
だけど、これは絶対にばれてはいけないことではない。
問題は隷属の輪が壊された場合。
私はこれが壊されて自由になったとして、どうするべきか。
レ・サーベルを倒しに行く?
それは無理。
あの人たちは仲間を助けるために戦っている。
じゃあ、カラズの兵士たちはどうなんだ、と言われると言い返せないけど、私はあの人たちが悪い人には見えなかった。
でも、レイと戦うこともできない。
そうしたら自主的に戦っているんだとばれて、琉斗の立場が脅かされる。
どうしよう・・・。とりあえず、この人を倒さないと・・・
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「はぁ、はぁ・・・・」
「はい、これで解放されたよ。君は誰の家臣?」
私はレイに負けた。
なんで。どうして・・・。
どうして帝国軍がレ・サーベルごと攻撃してくるの・・・




