プロローグ どうしてこうなった
初投稿です!
至らぬ点は多分あるのでお手柔らかに!!
「応募よし!口座にも必要額は入ってるな!」
時は2xxx年。飯を食べるくらい当然のこととなった『VRゲーム』。
技術が進歩し、『フルダイブ型』といわれるゲームが駄作扱いされるものや、神ゲーの類もひっくるめてかなりの数が出ている。
そして今日も、新たなゲームの応募が開始される。
今応募したのは、剣と魔法の世界が舞台のVRMMORPG。
名前は確か、『BAS』だっけ?略称しか覚えてないや。そして、時を同じくしてP〇KEM〇NをVRMMORPGにしたようなゲームも応募が開始される。がしかし、あまり興味はない。
しかし、そんなことはどうでもいい。
俺は重度の剣中毒!!
剣が好きすぎて他のゲームでも「剣の人ね」といわれた伝説(笑)のプレイヤー!!!剣を使えないのなら死をも選.....ばないね流石にね。
有識者によるとどうやら当選確率は8%。
ちょっと低すぎて笑えない。
確か枠が800人分しかなくて?となると........1万人が応募しているわけか。
いや、枠足りて無くない?
まぁでも、2回目から枠を増やすらしいから、こんなに少ないのは最初だけなのだろう。というか、かなり高価なのに結構買いたい人多いな?
だが、そんなことは些細な問題にすぎない
「どうせ当選するさ!!剣に愛されしこの俺ならな!!」
高笑いをしつつ結果が出るのを待つのであった。
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・・・・・・・・・・・。
落選しました。
ええ、そりゃもう普通に。
「はぁぁぁ~~~」
そりゃため息も出ますよね。こちとらβテストも参加して、どういうスキル構成で遊ぶかなんて考えなかった日がないのに。
全く、現実とは非情なものだ。
しかし、こんな心中穏やかではない状況でもネタにしてやろうとSNSアプリを開くのは、現代人の悲しい性なのだろう。するとそれを見たのか、友人の一人からとあるゲームのリンクが送られてくる。
「Myriad Tamer Online?」
なんだっけ。
いや....なんだっけ?
「あぁ、二大巨頭の片割れか」
そういえばあったなそんなゲームも。
『BAS』は圧倒的なグラフィックと王道のMMORPGといったゲーム。対して『Myriad Tamer Online』はモンスターテイム主体のゲームだ。その二つで新作ゲーム二大巨頭と呼ばれている。
『Myriad Tamer Online』ではプレイヤーはテイムと戦闘補助くらいしかできず、基本モンスターに戦闘を任せるといったものとなっている。
はぁ.....しゃあないなぁ。
ゲームは一人で楽しむ派なので、余りその友人と会うつもりもないが応募だけはしておいてやろう。
それに......
「どうせ落選して散るなら!いっそのこと笑い話にしてくれるわ!!!」
すでによくわからないテンションになっている。落ちるならとことん落ちてやろう。大丈夫だ。なんてったって今SNSで確認したところ、枠は同じく800で応募人数は約8000人。10%なぞ外れるに決まっている!
さぁ落選ろ。せいぜい落選て笑い話となってくれ。
「ふーはっはっはーーーーーーーー!!!!!」
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「なぜ....なぜだ.....」
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青木 刀祢 様
此度は、新作VRMMORPG「テイマーズオンライン」の当選、大変おめでとうございます。
つきましては、下記リンクから購入手続きをご確認下さい。
doushitekounatta.VRMMORPG.kounyuu
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何度読み直しても、その現実に変わりはない。確かに、応募したのは俺だ。それはそうだ。しかし、こうも忠実に物欲センサーを再現しなくてもよかったのではなかろうか。正直今ここで泣きたい気分だ。
「っていっても、当選したのも何かの運命ってやつか......クソ!!」
そう思おう。
そう思わないとやっていけない。
「リリース開始日は.....一週間後か」
確かに俺がやりたかったのは『BAS』だったが、こうなればやけくそだ。楽しみつくしてやる。一週間後が楽しみだな。・・・・・楽しみであってほしい。
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「ついに来てしまったか」
今日はリリース開始日。あと30分でゲームが開始される。ゲーム機であるヘッドギアや疲れたときに食べるお菓子など、もちろんゲームの準備は万端にしてある。
今のうちに『フルダイブ型』のゲームのおさらいをしておくとしよう。
まず、ゲームの世界では、現実の2倍の速度で時間が進む。現実での30分は、ゲームでの1時間相当というわけだ。これは、時間加速機能がどうとか言ってたな。あんまり興味ないけど。
そして、『Myriad Tamer Online』。.....長いし『テン』でいいか。『テン』の会社は特殊な技術だか何だかで最大10倍まで加速できるらしく、それは大規模イベントの時のみ使用するらしい。脳への負荷はどうなるんだ?とも思うが、頭のいい人たちがいい感じに調整しているのだろう。そこらへんは知らん。
あと、『テン』の情報はあまり調べていない。せっかくほとんど知らない状態なのだ。初見プレイというのもまた乙なものだろう。そんなことをうんうんと考えていると、掲示板では既に残り一分のカウントダウンが始まっている。
あ、そうそう。このゲームについて知っていることが二つだけ。どうやら、『掲示板機能』と『動画配信機能』が内蔵されているらしい。まぁ攻略動画や攻略板は見るつもりはないが、その他の所でいい感じに利用させてもらおう。
・・・。
あと、10秒。...9….......8….…..…7………...…...6…….…..…….5…………………4……………..….……..3………………………………….2
……………………………………..1………………………………………………………………………………………………..0。
「よっしゃスタート!!」
プレイ可能になった瞬間にゲームをスタートする。この瞬発力の速さなら負ける気がしない。最速(自称)で、意識が落ちていく。
・・・・・・・・。
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【テイマーズオンラインへようこそ】
【チュートリアルAIナビゲーターです。気軽に、ナビとお呼びください】
「おぉ.....」
流石最新のゲーム、音声から分かる技術の高さだ。全く人工音声に聞こえない。
【では、最初に名前を登録してください】
「んじゃあ....ブレイで」
ちなみにブレイドのドをとっただけだ。未練たらたらだよ。悪いか?
とはいえ、そもそもほとんどのゲームはこの名前でやってきてるし、今更変えるのもねぇ....
【ではブレイさん。あなたの容姿を決めてください】
【注意点として、現実と乖離している容姿はプレイに影響が出るのでおすすめしません】
まぁ、これもお決まりの奴だな。答え方も最初から決まってる。
「いつも通り、AI補正で頼む」
『フルダイブ型』のゲームにはAI補正が基本的に備わっており、これを付けると少しだけ美男美女になれるのだ。俺以外にも結構使っている人は多いだろう。かくいう俺もずっとお世話になっているんだがな。リアルでばれるリスクも軽減できるし、補正はかけるだけ得だと思ってる。
【了解しました】
【補正をかけましたので、ステータスからご確認ください】
目の前に画面が出現し、ステータス画面が表示される。
やっぱりAIって凄いんだよな。たまに昔の名作をプレイしたりするんだが、ナビがAIか否かでここの快適度がまじで変わってくる。
だが、ステータスを眺めているとすぐに他ゲーと大きく違う点が見つかる。
「ナビ。これって質問できるんだよな?」
【はい。私はAIですので、ある程度の受け答えができます】
「ステータス、『HP』と『MP』しかないのか?」
【はい。この表記は全てにおいて共通です】
まじか。最悪『STR』に振って無理やりにでも剣を使おうとしたが、ステータス割り振り自体が不可能なのか。
「ってことは、モンスターもか?」
【はい。細かな数値は内部で計算されており、確認は不可能です】
つまるところ、内部で計算されるからプレイヤーから素の数値に干渉はできないと。多分、プレイヤーのステータスは低めにされているんだろうな。そうじゃないと最悪拳で語り合えるしね。
「なら次だが、プレイヤーは完全に戦えないのか?」
ステータスが低いとはいえ高性能な武器防具はあるだろうし、まだ理由が足りてない気がする。
これはただの勘だが、昔からこの手の勘は何故か当たる。以前のゲームでも.....いや、前のゲームの話はやめよう。死にたくなってくる。
【いえ、プレイヤーも戦闘に参加すること自体は可能です】
「自体は??」
含みのある言い方だな。本当にAIなのか?こいつ。
【このゲームには適正装備という概念があります】
【適正装備は、適性のあるモンスター以外が使用すると、効果が1/4になります】
「プレイヤーの適正装備....いや、武器はないってことか?」
【はい】
なるほど。戦闘に参加はできるものの、攻撃に使う能力が大幅な下降補正を受けるから実質戦力外ということか。ということは、薬草とか回復薬を大量に持っていって使うのがプレイヤーの仕事って感じだろうな。当たり前とはいえ、悲しいなぁ。
「質問はいったん終わりだ」
【それでは、最後に最初の相棒となるモンスターをお選びください】
よし来た。最初のモンスターなんてもちろん調べてないが、よさげなのがあったらいいな。出来れば剣士になれそうなやつとか。俺の意志を継いでくれ。
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スライム
ザ・最初のモンスター
戦闘能力は低め
突進で敵に突っ込んで、まとわりついて動きを阻害する
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ゴブリン
ずるがしこいモンスター
基本的に主の言うことは聞くがたまに無視する
幅広い範囲で武器が使えるので好みの武装ができる
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ウルフ
獣型のモンスター
時間をかけることで心を通じ合わせ、以心伝心すら行える
チームワークが得意
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スケルトン
骨のモンスター
非力だがなかなかやられない
自慢の不死性を用いた持久戦が得意
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「う~~~~ん」
なんとも、何とも言い難いぞこのラインナップ。確かに定番だ。定番ではある。しかし剣士を務められそうなのがゴブリンとスケルトンしかいないとはいかがなものか。
「これって、今後モンスターをテイムしたいときはどうするんだ?」
【すべての町にテイムショップが存在します。テイムショップの品ぞろえは基本的に全て同じです】
「それじゃ、今決めずにテイムショップで詳細を確認する....てのはありか?」
正直この情報だけだと決めきれない。俺は優柔不断なんだ。刀が最優先なだけで。
【それでしたら、選択権をチケットにする。というのはいかがでしょう】
「???」
どうやら説明によると、現在進行形で俺みたいに困ってるやつが結構多いらしい。そこで運営がリアルタイムで作り出した苦肉の策。”後回し”。今出ている4匹から一匹を交換するチケットを渡し、テイムショップで使うという方式を今作ったそうだ。
運営の方々が有能すぎるぞ。
「それじゃあ、俺もチケットにしてくれ」
【了解しました】
【現時点をもってチュートリアルの全工程が終了しました。何か質問等ございますか?】
質問ねぇ.....いや、あるな。
「テイムできる数と、一度に連れ歩ける数は?」
正直上限いっぱいまでテイムしない気もするが、一応聞いておこう。あとからもうテイムできませんとなっては後悔しそうだしな。
【一度に連れ歩ける数は5体までです】
【その数を超える場合、ギルドに預けるもしくは、購入できる自宅へ待機となります】
自宅とかが買えるのか。悩みの種が増えそうだ。しかし、連れ歩ける数が思ったより少ない....これはなかなかに悩みそうだ。まぁしかし、とりあえずはチュートリアルを終わらせてから考えるとしよう。
「これで終わりだ」
【了解しました。では、プレイヤー:ブレイを最初の町「ファストール」へと転移します】
その声が聞こえると同時、再び意識は闇の中へと消えていくのであった。