静かなものたち
国道を進み、離れ、わたしたちは祈念公園に着く。はいおつかれさんとごんちゃんがいう。
「ご、ごんちゃんも、来る?」
「俺はここで昼寝してる」
駐車場から礎の場所へと向かう。日盛りを過ぎてもまだ光の強さを感じる午後だった。公園は整然と管理されている。芝生は等しく刈り込まれて、道は葉ひとつ落ちていない。辺りには人気が無かった。ここでは動くものたちは息をひそめて、静かなものたちに気を使っているのかもしれない。わたしたちは広い道に導かれるように礎へと着く。お互いがお互いを必要とするように、葉の広い樹々と刻銘碑は共につづらに並べられている。碑はたくさんあるのだった。
道の終わりに円形の広場に着く。広場の先はすぐに柵になっていて、柵の向こうは白く波の立つ海が広がっている。ここは空がとても、すごく近い。
振り返って、広場から眺めなおすと扇形に刻銘碑はそれぞれある。探そうかとわたしはふたりにいう。ひい爺ちゃんの名前とその文字をふたりに教える。三人一緒に探す。石に刻まれた者たちの名を読んでいく。
「と、都道府県別に、な、なってるみたいだね」それがわかってから、北海道の文字をわたしたちは探す。
他は目に流し読む。
それなりに時間をかけてひと通り巡る。見つからなかった。
「な、無かったよね?」「無かった」「無かった」とわたしたちはいう。
「見逃しちゃったのかな?」
「そうかも」
「も、もう一回、見てみようか」今度は前より注意して刻まれた文字を読んでいく。巡る。碑の最後の一枚にさしかかる。読み終える。わたしたちは困惑している。
「な、無かった」
「変だな」
「他の場所にもあるとか?」
「そ、そんなことは、な、無いはず。ここだけだよ」
「暑い」
「ち、ちょっと休憩しようか」わたしたちは木陰の下に行く。ペットボトルのぬるい水を回し飲む。しばらく立っているとぽたりと鼻水が垂れた心地がした。手で触れる。血だった。ぽつりと白い制服が染まる。あわててティッシュを出す。ちょっといばら大丈夫?座って。リュックを下ろして木の幹に凭れてわたしは座る。鼻にティッシュを入れ上から押さえる。売店で冷たいもの買ってくるね、とふたりは走っていく。ふたりがいなくなってわたしはひとりになる。意識ははっきりしている。具合も悪くない。




