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ライブの日

桜のように短い夏が来る。夏休みが始まる。ライブの日が来る。先生の目を気にせずに自由に化粧をして、青いワンピースを着てわたしは外に出る。早めに出たからまだまだ時間があった。狸小路ととらのあなは近い。わたしはついでに今週のワンピースを買いに行く。店長はわたしを見て、ずいぶんとめかしこんでるねという。あれから、店長とは毎週話している。


「ど、同級生の、ら、ライブがあるんです」


「へえ、俺も昔バンドやってたよ。大学までやってたなあ。どこでやるの?」


「こ、ここからすぐそばの、た、狸小路の」


「moleかな?」


「そ、そうです」


「そうか、楽しんで」


まだ時間があるのでわたしはドンキホーテを彷徨うことにする。商品が熱帯雨林のようにある。その量にくらくらする。moleに着くと小さな黒板に今日のラインナップが書いてある。いくつかのバンドや演奏家が集まって今日のライブをやる。わたしはそこでバンド名を聞き忘れていたことに気づく。どのバンドだろう。何番目にやるのだろう。


階段を降りて、受付でチケットをもぎってもらってフロアの中に入る。まだ時間があるせいかそんなに人はいなかった。わたしは知った顔がいないか探す。クラスメイトがいる。サカダチ君がいる。そして星野さんがいる。わたしはドキッとした。彼女も学校とは違って着飾っていた。彼女も五十嵐くんに会うために来たのだろうか。星野さんと目が合う。お互いに近づく。


「藤原さんも来たんだね」


「う、うん」


「今日の五十嵐くんきっとすごくかっこいいよ」


「そ、そうだね」


「一緒に見ない?他の子も呼んで」わたしたちはクラスメイトに声をかける。


「い、五十嵐くんのバンド。な、なんていうの?」


「ポストマンズだよ。最後から3番目」


人が集まってくる。ライブが始まる。五十嵐くんと出会って、同じものを好きになりたくて音楽を聴くようになった。鳴らされる音楽のいいわるいはよくわからないのだけど、このステージに上がる年の近い人たちは先行する音楽を聴きながら、自分の中にあるものを表現したいと思ったり、夢や目標を胸の内で温めてここにいるのだろう。どれもわたしには無いものだった。そう思うと、感心というか、なんというか、どの曲もなおざりにはできないのだった。わたしは一生懸命聴く。

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